全国のドクター9,103人の想いを取材
クリニック・病院 158,819件の情報を掲載(2024年3月29日現在)

  1. TOP
  2. 群馬県
  3. 前橋市
  4. 群馬総社駅
  5. 医療法人 戸所小児科医院
  6. 戸所 誠 副院長

戸所 誠 副院長の独自取材記事

戸所小児科医院

(前橋市/群馬総社駅)

最終更新日:2022/02/14

戸所誠副院長 戸所小児科医院 main

国道付近の閑静な住宅街が広がる地域に「戸所小児科医院」はある。同院は1977年に戸所正雄院長が開業した小児科だ。2007年には院長の息子である戸所誠副院長が診療に加わり、アレルギー科への対応を開始。地域医療・予防医療・アレルギー疾患の早期介入・早期治療の3つを診療方針に掲げており、やるべきことを黙々と行うのが戸所副院長のモットーだという。小児科はハブ空港だと表現する戸所副院長は、自らの専門ではない症状や状態の重い患者を必要に応じて、他科・他院に紹介することも大事な役割だと話してくれた。患者である子どもの気持ちを尊重し、丁寧かつ真剣に診ることを心がけているという戸所副院長。知識だけでなく経験も大切だと語る戸所副院長が、どのような思いを持って日々の診療にあたっているのか、話を聞いた。

(取材日2021年12月24日)

オールマイティーな小児科の医師をめざして

先生は、なぜ小児科の医師をめざそうと思ったのですか?

戸所誠副院長 戸所小児科医院1

当院は1977年に父が開業して、今もずっと同じ場所で診療を続けています。当時はあまり小児科の医師がいなかったようです。だからというわけではありませんが、もしかしたら無意識に父の背中を追っていたのかもしれません。私には兄弟が2人いて、2人とも他科ではありますが医師になっているので、家庭環境も影響したかもしれませんね。父から医師をめざせというのは一度も言われたことがありません。私自身子どもが好きだということもあって、小児科を選びました。回復して元気な姿が見られるのは本当にうれしいです。少しの時間かもしれませんが、その子の未来に自分が携わることができたと考えると、誇らしい気分にもなります。アレルギーの勉強をしたのも、小児科とアレルギーは切っても切れない関係にあると思ったからです。

小児科で大変だと感じることはありますか?

一番は感情表現や意思表示が大人とは異なる点ですね。言葉の数も種類も大人と比べたら圧倒的に少ないですし、病院というのは子どもにとって天敵とも言えますから。大泣きして患部や状態を診るのが難しいことは珍しくありません。大きな病院で勤務していた時は当直がありまして、救急対応で寝れませんでした。小児科というのはこんなにも体力が必要なのかと、その時実感しましたね。そんな中でもうれしいエピソードがあって、私が研修医だった頃に大きな病気で入院していた子どもがいたんです。その子が退院して成長して、群馬での就職が決まったと医院に来てくれました。そういうことも経験して、今では小児科を選んで良かったと思っています。

診療においても小児科と他の科で違う部分はあるのでしょうか?

戸所誠副院長 戸所小児科医院2

小児科はハブ空港だと思っています。とにかくお子さんに何かあったら小児科に連れていくという保護者の方は多いと思うんです。そこでわれわれ小児科は、例えば骨に異常があるとわかれば整形外科を、耳に症状があれば耳鼻咽喉科を紹介します。小児科が玄関口となって、患者さんを誘導していくイメージですね。それから重症の患者さんを見分けることも、小児科のクリニックの大切な役割のひとつだと考えます。今は症状が重くなくても、このままだと重症化するであろう状態だとか、同じ発熱でも症状や患者さんの既往歴によっては紹介の対応を要することもあります。幸いにも前橋市には大きな病院が多いので、私もすぐに動くことができます。整った受け皿があるので、私だけでなく保護者の方も安心だと思います。

地域に根差して貢献できるクリニックにしたい

どのような患者さんが多く来院しますか?

戸所誠副院長 戸所小児科医院3

地域の方が多いですね。たまに私が昔働いていた病院の患者さんが来院されることもあります。それから意外かもしれませんが、海外のお子さんも結構来院されますよ。父もですが、私も学校医や園医を務めています。時々保育園から講演会をお願いされることもありますよ。アレルギーについて、保護者向けの講演会をしています。アドレナリン自己注射薬というアナフィラキシーショックの薬があるのですが、その薬が販売された頃は特に講演会の要望が多かったですね。皆さんの、アレルギーについて知りたいという気持ちが伝わってきました。

昔と比べてアレルギーの患者は増えたように感じます。

増えたと思います。特に花粉症は増えたように感じますね。反対に喘息は少なくなった印象です。喘息で入院される方も昔ほどいないのではないでしょうか。というのも、喘息は昔と比べて治療法や薬の技術が進んでいるからです。アレルギーというのは予防が大事なんですよね。花粉症なんかは発症しやすいシーズンがありますから、そのシーズンに入る前から薬を服用することが重要です。アレルギーというと薬の長期服用やステロイドのイメージもあると思いますが、そのイメージは大体合ってるんですよね。昔はそういうことが嫌われていたようで、薬を拒否したり、薬をもらってもお子さんに与えないようにしたりする方もいらっしゃいました。でも今は保護者の皆さんの理解も進んで、そういうことは少なくなりましたね。

予防接種についてはどのような印象をお持ちですか?

戸所誠副院長 戸所小児科医院4

皆さん真面目に接種してくださっていると思いますよ。当院ではお子さんへの予防接種の時期について、カレンダーを作って見やすくしたものを提供しています。ホームページにも掲載しているので、気になる方はご覧になってください。私は前橋市医師会の理事をしているので、保健所と連絡を取ることが多くあります。予防接種について、市長と交渉することだってあります。実は前橋って、保健所と医師会が密な関係を構築している地域なんですよ。ゆえに群馬は地域医療が強いんです。今は新型コロナウイルスのワクチン接種に力を入れています。

子どもだけでなく保護者の診察も

診察のときに心がけていることはありますか?

戸所誠副院長 戸所小児科医院5

当院で働くようになって漢方を勉強しました。夜泣きや神経性の腹痛を訴える患者さんに対して、今までは様子を見るだけで終わっていたのが、現在は漢方を処方できるようになったんです。保護者の方の中にも、お子さんの対応でいらいらしたり気分が落ち込んでいる方が少なくないはずですが、そういう保護者の方にもお子さんと一緒に漢方を処方することができます。お子さんの診察だけでなく、保護者の方との会話も大切にしていますよ。お子さんの病気に対して、「私のせいですか」と責任を感じてしまう親御さんが多いのは今も昔も変わりませんから。小児科は保護者の方の対応も大切にしています。お子さんに対しては自分の気持ちや症状をうまく言葉にできないので、丁寧に話を聞き出して、どんな話でも真剣に聞くようにしています。

子どもの意思を尊重しているのですね。

もちろんです。保護者の方の中にはお子さんの採血を希望される方も少なくないのですが、子どもは注射を嫌がりますよね。そういうときは無理強いせず、覚悟ができたらまたおいでと話すようにしています。お子さん本人が納得しているかどうかで、状況はまったく違ってくるんですよ。もちろん、覚悟を決めて来院されてもいざ注射器を見ると泣き出すお子さんもいらっしゃるでしょう。そういった場合も無理に針を刺すことはしません。治療も、お子さんのペースに合わせて少しずつ進めていきます。これは当院のポリシーでもありますね。例えば、水イボの治療は痛いのでお子さんが嫌になってしまうことが多いんです。なので、麻酔を使ってゆっくり少しずつ取っていくようにしています。

最後に今後の展望をお聞かせください。

戸所誠副院長 戸所小児科医院6

前橋のために、これからも貢献していきたいと思っています。当院は歴史がある小児科ですから、地域との信頼関係も守っていけるように努力しているつもりです。私はまだまだ未熟な小児科の医師だと思っていますので。いまだに父と治療について話すことがあるのですが、経験の差は大きいと感じています。以前、院内の照明をLEDにしたことがあるんです。でも父は電球にこだわる人で、父は電球の色にこだわっていました。私はあまりLEDの色にこだわらずに変更したんです。そしたら照明の色が影響して、貧血かチアノーゼか見分けがつかなくなってしまって。すぐに別の色に変えましたね。そういったこともあって、私は知識だけでなく経験で得たことも重要視しています。突発性発疹などは、発熱しているときは機嫌が良くても熱が下がると不機嫌になる傾向にあるということを経験してきているので、保護者の方には具体的なアドバイスをするようにしています。

Access