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生方 聡 院長の独自取材記事

うぶかた循環器クリニック

(前橋市/中央前橋駅)

最終更新日:2022/04/20

生方聡院長 うぶかた循環器クリニック main

前橋駅より徒歩20分、上毛電気鉄道上毛線・中央前橋駅より徒歩5分。県道3号線の通りに面した「うぶかた循環器クリニック」は、病院の南側に駐車場もあり、車でも電車でもアクセスしやすい。もともと現在の顧問である生方茂雄先生が内科として開業し、2007年に生方聡先生が承継して院長となった。生方院長は、ペースメーカーを用いて心不全を治療する心臓再同期療法(CRT)について、フランスに留学し研究にあたっていた、ペースメーカー治療の専門家だ。心筋梗塞や心不全など心疾患を中心に、それらに影響を与える生活習慣病や一般内科領域まで幅広く対応しながら、きめ細かな診療を行う。常に最新の知識の吸収を怠らないという生方院長に、循環器内科での治療や今後の展望について話を聞いた。

(取材日2022年2月4日)

大学病院やフランス留学でペースメーカーの研究に従事

医師をめざしたきっかけと、医院承継までの経緯を教えてください。

生方聡院長 うぶかた循環器クリニック1

父が内科の医師ですし、開業して働く父の姿を見て育ったので、自然とこの道を選びました。医学部時代は形成外科にも興味があったのですが、ゆくゆくは父の医院を承継しようと考えていたので、内科を選んだんです。1990年に群馬大学医学部を卒業後、栃木県の自治医科大学附属病院に入ってさまざまな診療科で経験を積み、2年後に同病院の循環器内科に入局しました。そちらに所属している間にペースメーカーに関する研究のため、1996年から1999年までフランスに留学する機会を得ました。帰国後も同病院の循環器内科で勤務し、2006年から当院で副院長に就任しました。翌2007年には私が院長に就任しましたので、その際に当時の「生方内科医院」という院名から、より循環器を専門とした現在の院名へと変更しました。

大学病院の循環器内科ではどのような経験を積まれましたか?

最初の3年間は、狭心症や心筋梗塞のカテーテル検査、心臓超音波検査、薬物療法の研究と実践、また病棟の患者さんを診るなど、幅広い知見を得ることができましたね。特に不整脈に関する分野で、ペースメーカー治療に携わっていまして、当時日本ではまだ行われていなかった、ペースメーカーを心不全治療に応用することに興味を持ちました。この分野に先進するフランスの医師がたまたま自治医科大学附属病院まで来た際に、その医師に留学について打診して承諾を得て、フランスに留学することになりました。

フランス留学はペースメーカーの研究が目的だったということですか?

生方聡院長 うぶかた循環器クリニック2

そうですね。現在では日本でも普通に行われていますが、当時はまだ行われていなかった心臓再同期療法について学びました。この分野は当時フランスでの研究が特に進んでいましたね。留学中は手術の流れを覚えながら、ペースメーカーの機能を応用して、より悪性の不整脈を予測するといった研究もしていました。本来、ペースメーカーは脈拍の維持を助けるのが役割でしたが、私がフランスに留学した頃から、心臓の機能不全である心不全に対してペースメーカーを活用する方法が注目され始めていました。それまで心臓移植しか選択肢がなかったところ、移植の前にできることとして考案されたんです。

心臓再同期療法とはどのような治療法ですか?

動きが悪くなっている心臓は、収縮力がとても弱く、例えば一方の壁は押しているが反対側の壁は逃げているといった、力が不均衡な状態になっています。しかし、たとえ弱々しくても、両方から同時に収縮させるのが良いということがわかってきたので、それまでは右心室と右心房だけで収縮させていたところ、左心室側にもリード線を挿入し、右心室と左心室を同時に収縮させて同期させるという方法が生まれました。これが心臓再同期療法です。当初はフランスでの研究が進んでいて、以降ヨーロッパ、アメリカと広がっていきました。

循環器系疾患につながる生活習慣病の予防にも尽力

こちらの主な患者層について教えてください。

生方聡院長 うぶかた循環器クリニック3

患者さんの年齢層は幅広く、30代の若い方から90代の高齢者まで、老若男女問わずいらっしゃいます。ただし、若い方は男性が多いですね。また年齢層としては60代以降の層が厚いです。通院してくださる既存の患者さんのほうが多いですが、新規の方で、他院や大学病院からの紹介でいらっしゃる方もいます。他院での診察や健康診断で問題が見つかった、または大学病院や大規模病院での急性期治療や、特殊な治療を終えて、今後は経過を観察していく段階にあるといった方ですね。中には東京から定期的に通ってくださる患者さんもいますよ。前橋市は病診連携に力を入れているので、病院同士が患者さんを紹介し合う流れも盛んだと思います。当院もフォローアップに尽力しています。また、私自身、群馬県立心臓血管センターのペースメーカーの外来のお手伝いもさせていただいております。

どのような症状で来院される方が多いですか?

主に、ドキドキと動悸がする、息苦しい、息が切れる、不整脈があるといった症状ですね。高血圧症や脂質異常症、心房細動を抱えている方も増えています。特に心房細動はコモンディジーズ(日常で遭遇する頻度の高い疾患)といって、現在、爆発的に増加中です。放置することで血栓ができて脳梗塞を起こすことがあるので、早期発見が大切ですし、当院でも今、力を入れて治療しています。そして、やはり多いのは心不全の患者さんですね。循環器など専門の医師の間では「心不全パンデミック」という言葉があるほど警戒されていて、社会の高齢化に伴って増え続けています。今は新しい薬もどんどん開発されているので、放置して悪化させないようしっかり治療していただきたいですね。また当院では、ゆくゆく心筋梗塞や脳梗塞につながらないよう、コレステロール値を下げる、血圧を安定させる、糖尿病の状態を良くしていくための予防法にも積極的に取り組んでいます。

診療で大切にしていることはありますか?

生方聡院長 うぶかた循環器クリニック4

患者さんは心から納得できないと、治療にも前向きに取り組めないものです。薬も必要だから処方していますが、「薬は嫌いで飲みたくない」とおっしゃる方もいます。そんなときこそ、心臓模型など道具を使って心臓の構造や働きをご説明し、なぜ今症状が出ているのか、薬を飲まない場合のリスクは何かといったことを、丁寧にわかりやすくお伝えすることを心がけています。理解して納得いただくためには、極力、専門用語も使いませんし、同じ病気を抱える芸能人などの例え話をすることもあります。患者さんが満足し安心して治療に取り組めるよう、努めています。

前橋市医師会で理事も務めているそうですね。

そうですね。例えば学校保健関連で、学級閉鎖や新型コロナウイルス感染症対策について、教育委員会と連携して議論したり、会員の医師のスキルアップのための卒後研修会の企画を考えたりしています。現在はやはり新型コロナウイルス感染症の対策に奔走している先生方が多いですね。

新薬や新しい治療法に目を光らせ治療法をアップデート

休日はどのように過ごされていますか?

生方聡院長 うぶかた循環器クリニック5

趣味は、読書と料理と音楽なので、それぞれ楽しんでいます。読書は小説をよく読みます。料理は、もともと食べるのも好きですが、料理本を見ながらフランス料理を作りますね。音楽はクラシックが好きで、ピアノも弾きます。自宅では子どもとピアノの連弾もするんですよ。

今後の展望についてお聞かせください。

新薬や新しい治療法について情報を常にアップデートするために、研究会や講演会などに参加しながら、専門誌も読み込んで知識を吸収しています。心不全も治療法がどんどん変わり、スタンダードとなる薬も変わっていきます。大規模病院で使われる前に当院が新薬を使用し、講演会で症例の報告を求められることも多いんですよ。今後も患者さんには、常にアップデートされた治療を提供していきたいと考えています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

生方聡院長 うぶかた循環器クリニック6

たまたま予防接種を受けに来て、血圧測定や心音で異常が見つかり、心電図検査によって心房細動が発見されたというケースもあります。自覚症状の有無に関わらず、循環器系の疾患や生活習慣病などが気になる方は、ぜひ気軽にご相談ください。

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