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柏崎祐士 副院長の独自取材記事

かしわざき産婦人科

(さいたま市大宮区/大宮駅)

最終更新日:2020/04/01

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JR大宮駅の西側、県道214号線沿いに建つ「かしわざき産婦人科」は、50年以上地域とともに歩んできた歴史あるクリニックだ。プレハブからスタートしたという同院は、第2次ベビーブームなどのお産の増加などに合わせて、地域のニーズに応えて成長。現在は19床の病床を持ち、不妊治療から妊娠・分娩、腹腔鏡手術、婦人科検診、一般診療まで幅広く対応している。大きな吹き抜けを持った開放的な外来待合室には明るい光が差し込み、授乳用の「マミールーム」や病室、廊下のインテリアなどにも、患者がリラックスして過ごせる配慮がちりばめられている。長く日本大学板橋病院で経験を積み、現在は主に不妊治療と腹腔鏡手術などを手がける、副院長の柏崎祐士先生にお話を伺った。
(取材日2015年7月16日)

町と共に歩んできた地域の産婦人科クリニック

明るく広々としていて素敵なロビーですね。

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ありがとうございます。2000年に建て替えたものなのであまり新しくはないのですが、この吹き抜けの明るい待合室は院長の念願だったようです。最近はどこの産科もそうだと思うのですが、いかにも「病院」という感じにならないように、機能的ではあるけれど家のようなあたたかい空間にしようということで、色調やインテリア、丁度品なんかは義母と妻が女性の目線で決めてくれました。病室の毛布1つにしてもこだわって選んでいましたね。僕だけではとても無理でした(笑)。

50年以上の歴史がある院だと伺いました。

当院は僕の義理の両親にあたる現院長夫婦が開いたもので、創立は1962年頃だと聞いています。当時は敷地面積は今の5分の1ぐらいで、周りはほとんどが田んぼ。大宮駅との間に大きな建物は何もなく、駅からクリニックの建物が見えたそうです。プレハブからはじめて、第2次ベビーブームなどの影響でお産も高まり、ニーズに合わせて徐々に病院の規模も大きくなって、現在に至った形です。今は全部で19床、医師は私たち夫婦と両親の4人であたっています。外来診療はほぼ私たち夫婦の担当で、妻が分娩とか妊娠といった産科の方。僕はもともと不妊治療専門だったので主に不妊外来を担当していますが、産科を診ることもあります。病棟はすべて義母の担当です。院長は夜のお産を診ていて、緊急の場合や帝王切開などは私たち夫婦が担当しています。

不妊治療と分娩どちらでも診てもらえるんですね。

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はい。今はお産ならお産だけ、不妊治療は不妊治療だけで妊娠したらほかのクリニックへ行ってください、というところが多くなっているので、不妊治療と分娩が一体化していることが院の特徴といえば特徴かもしれないですね。こちら側としても、患者さんがどれだけ苦労して妊娠したかとか、経過がわかっているので治療も看護もしやすいですし、最初から最後まで診られるからなんとなく安心というか。1つのやりがいはありますね。ただ欠点は、待合室で不妊治療の患者さんとお腹の大きい妊婦さんが一緒になってしまうこと。やっぱりそこで落ち込む方はいらっしゃいますし、つらそうだなと感じたら、不妊治療だけのクリニックを勧めてみることもあります。入口を別にしようかとか待合室に壁を作ろうかとか考えたこともあったんですが、それも何か違うなと。不妊治療で妊娠した人の健診はそのまま僕が担当するので、治療中の患者さんには「僕の診察室に来ているお腹の大きな方は不妊治療で妊娠した人だよ」と言って励ましたりして、ポジティブに考えるように伝えたり、不妊カウンセラーの資格を持っている看護師も数人いるので、何かあればその都度カウンセリングを行ったりしています。

腹腔鏡手術、不妊治療からお産まで一貫して出産をサポート

先生が患者さんに接する時に大事にされていることは何でしょうか?

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月並みですが、昔のいわゆる「お医者さま」のように上からじゃなく患者さんと同じ目線でいること。特に不妊治療では、治療をするかどうか、どこまでするかはご夫婦の選択にかかっていますから、ほかの病気以上に患者さんに選択肢をもってもらえるようには気をつけて、こちらから決め付けるのではなくしっかり情報を提供した上で患者さんにお任せしています。不妊治療全体に言えますが、自然のタイミングでする性行為だけでそれ以上のことはいいやという人、病院に来てまで妊娠したくないという人もいれば、結婚してすぐ子どもがほしいから今すぐ体外受精をしたいという人、第三者の提供卵子や精子を使っても妊娠を望む人もいて、本当に千差万別。その両極の間にもいろんな考え方があるので、そこはご夫婦でよく話し合ってくださいねとお伝えしています。治療の主体はご夫婦なので、こちらはあくまで情報提供しサポートするという立場を守るようにしています。

不妊治療の需要は高まっているのではないかと思いますが。

その通りです。出産年齢が高齢化していますからね。今女性の平均結婚年齢は29歳。20代で不妊治療に来る方はほとんどいませんが、年を重ねれば妊娠はしにくくなるので、不妊治療に頼ってしまうということはあります。当院の不妊外来の患者さんの8割ぐらいは35歳以上の方ですね。でも今、不妊症の半分ぐらいは男性不妊ですから、女性だけじゃなく男性の方も最初から検査をしています。「不妊治療」というとネガティブなイメージがつきがちですが、最近よく聞くようになった「妊活」というのは前向きな響きがしていい言葉ですね。治療の研究も進んできて、体外受精や顕微受精、受精卵の凍結などいろいろな技術が使えるようになっています。ただ一時期騒がれた、若い時に卵子を取って凍結しておこうという「卵子バンク」は、実は解凍しても卵子の生き返り率は低く、巷で言われるほど夢の治療ではありません。一方受精卵はほとんど生き返るので、こちらは実用化されていてどこのクリニックでも実施しています。同じ時に受精した複数の受精卵を凍結しておいて、2〜3年後、4〜5年度にそれぞれ子宮に戻して妊娠というケースもありました。本来は二子、三つ子なのですが、実際は兄弟になるわけです。

腹腔鏡による手術も行っていると聞きました。

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そんなに大きな手術ではなくて、うちでできる範囲ですけれどね。子宮筋腫や卵巣のう種、子宮外妊娠などの治療に使うんですが、お腹の傷が小さくて済むので、通常の手術だと1週間〜10日は入院が必要なところを、3泊4日ぐらいで帰宅できる割と負担の少ない治療法です。大学病院の勤務医だった時に手がけていたので、こちらでも継続して行っています。結構大きい子宮筋腫を取ってそのあと体外受精で妊娠、出産したという方も何人もいらっしゃいますよ。そういう手術から体外受精、お産まで1つの院でできるというのは、よく言えばオールラウンダー、悪く言えば広く浅くということになるのでスペシャリストでないとも言われますが、開業医なので広く浅くでいいのかなと思いながら診させていただいています。

「妊娠したい」という思いに、可能な限り応えたい

先生が医師になったきかっけも教えていただけますか。

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両親は医療とはまったく関係なく、僕も最初は理工系志望でした。原子力畑の技術屋だった父を筆頭に、家中ほとんどが理工系で機械ばかり相手にしていたんで、「1人ぐらい人間を相手にしてもいいかな……」と思ったところからですかね。実際になってみると、人間相手だからいい意味でも悪い意味でも結果がすぐに返ってくるのはおもしろいなと。やはりお産だから上手くいけば喜ばれますが、大学で勤務医をしていた頃は悪性腫瘍の病棟で最期を看取ったりもしていて、医療の限界を感じたこともありました。いい面も悪い面も見えて、手ごたえのある仕事かなと思います。

中でも、産婦人科を選ばれたのはなぜなのでしょう?

いろんな科を2週間交代で回りながら1人の患者さんを担当して診ていく学生実習に参加した時、産婦人科で担当したお産の患者さんがいまして。でもその時は特にどうという印象はありませんでした。ですが、その後、2週間のうちに必ず1回実際のお産の現場を見なければいけない「産直」という制度があり、その日は病院に泊り込みました。その日の夜中にそれに当たって行ったら、たまたまその担当していた患者さんだったんですね。初めて分娩を見て感動したのはもちろんなんですが、お産が終わった後にふとその患者さんの顔を見ると、汗が光っていて、それはもうすごく、きれいに見えて。それまでは全然そうは思わなかったんですが、分娩が終わった後に見た顔は本当に美しく、「ああ、女性ってこんなにきれいなんだ」とそこで改めて認識しました。これが初めて回った科での体験で、その後いろんな科を回ったんですが、どうもその最初の印象が強くてこの科を選びました。よく「作り話でしょ?」と言われますが、本当の話ですよ(笑)。

今後の更に力を入れていきたいことなどはありますか?

不妊症に関しては、研究も進んできてかなりの確率で妊娠できるようになってきているのですが、それでもどうしても中々妊娠できない人はいます。最後の手段となる第三者の精子や卵子の提供を受けることは、現状日本ではできないのでアメリカのクリニックを紹介していますが、将来は日本でも受け入れられるような世論になってくればいいなと思っています。提供を受けるだけでも自身が生むわけなので、もちろん母性は出てきます。子どもが出自を知る権利の保障ということもあるでしょうけれど、昔なら絶対妊娠できない人も含めて少しでも救済できる方法が広まればいいと思うのです。どんなに研究が進んでも中々妊娠できない人は絶対いるので、そういう人のために門戸を広げたらいいのではないかと思い、今も希望者についてはアメリカのクリニックと提携して積極的に行っています。一方分娩に関しては、高級ホテル並みとか家族も泊まれるとか、すごく豪華な病院もたくさんできてその影に隠れがちになってしまうんですが、そもそもお産というのはある程度危険なものです。だから危険なものは危険なものとして、きちんと情報提供してあげることが大切で、「決して明るいことばかりじゃないよ」ということは、もう少し啓発活動をしていかないとなと思います。同じく卵子の老化の話なども知っておいてほしいのですが、あまり言うと「仕事をする女性を否定するんですか」と言われてしまったりして、なかなか難しいですね。

最後に、地域の人たちに向けて一言メッセージをお願いします。

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特に若い方、未婚の方には婦人科は行きにくい所という印象が強い場所かと思います。ただ、今だいぶ暗いイメージを払拭して、明るくしようとしていますので、婦人科系で困ったことがあったらいつでも、暗い所じゃないですから遠慮なく来てください。些細なことでもいいですからね。今はホルモン剤なども発達して解決できることも多いですから、何かあれば気軽に受診してください。

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