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大杉 健 院長の独自取材記事

いまだ病院

(広島市西区/横川駅)

最終更新日:2021/10/12

大杉健院長 いまだ病院 main

JR山陽本線の横川駅北口から駅を背にして徒歩5分、可部街道左側に「いまだ病院」の建物が見えてくる。開院44年、移転から18年、変わりゆく街の中で地域住民に親しまれてきた医療機関は、美術館のようなれんが造りの重厚な建物だ。外科・胃腸科から始まって現在では幅広い診療に対応し、手術・入院も可能という、規模が大きな医療機関に成長した同院。それでも、院長の大杉健先生は「僕らは町医者」という。自身の専門である整形外科にこだわらず「どんな病気でも地域の患者に頼ってもらえる病院にしたい」と考える大杉院長。通いやすく親しみやすい病院でありつづけるための取り組みを、力強い言葉で語ってくれた。

(取材日2020年7月2日)

患者の利便性を優先し、昼休み時間も受付を開ける

院長に就任されたのはいつ頃のことでしょうか。

大杉健院長 いまだ病院1

開院は1976年ですが、僕は2012年から院長を務めていますので、8年になります。当院は妻の父が設立し、僕が引き継ぐことになりました。病院は18年前にこの場所に移転・新築し、外構も院内もこだわりをもって造りあげました。ここはJR山陽本線の横川駅からも近く、周辺ではマンション建設が続いているため、世帯数も人口も増加しているようです。市の中心地と住宅街が隣接している土地柄で、子どもから高齢者まで幅広い層の患者さんが来院されます。当院を訪れる患者さんのほとんどは、患者さん同士のクチコミによる紹介です。というのも、理事長の方針もあり、あまり宣伝を行っていないのです。大きな費用をかけて宣伝するより患者さんに還元したい、心地良い病院環境を整えたいと思っています。

診療内容や病院の基本的な情報を教えてください。

大杉健院長 いまだ病院2

病院で診療しているのは、整形外科、外科、胃腸科、肛門科、眼科、リハビリテーション科です。常勤・非常勤の医師、理事長の今田も診察を行っています。僕自身は整形外科医師で、当院で手術もします。僕の患者さんの希望で多いのは、膝と股関節、外傷の処置や手術、慢性疾患の治療や管理ですね。病院の特徴は、まず1つ目に昼休みがないことです。昼時でも必ず誰か受付にいて、対応にあたります。2つ目に、薬は院内処方です。高齢の患者さんも多く、整形外科には足が痛む人も来るのだから、あちこち歩かないで済むほうが助かると思います。リハビリをしている間に薬ができあがるという時間的なメリットもあります。

患者さんの立場になって、診療体制をつくっているんですね。他にも気をつけている点はありますか。

通いやすい病院をめざしたら、自然にこういうかたちになっただけなのですけれどね。当院では「正確・迅速・親切」の3つを理念としています。どれも大切ですが、人に対する仕事である以上、親切に対応することが最も重要だと考えます。僕は人と話すのが苦にならないほうですし、患者さんに対しても親切に、自分から声かけをするように心がけています。「迅速」についても、患者さんの病院滞在時間が短くなるように、仕組みだけでなく職員みんなで努力と工夫を重ねています。例えば、受付や事務のスタッフから看護師など現場のスタッフまで、患者さん一人ひとりの顔と名前を覚えて、すぐに対応できるようにというものですね。

リハビリテーションに力を入れる

開放感のあるリハビリ施設が魅力的です。

大杉健院長 いまだ病院3

リハビリ室は、仕切りを開けると食堂とつながっています。食堂の窓から外光が入って、広々と明るい空間になるんですよ。私はスポーツジムや体育館のような雰囲気のリハビリ室はつくりたくありませんでした。リハビリの前後にちょっと休めるような、アットホームで居心地が良い場所にしたかったので、天井照明一つもそんな観点から選びました。利用については予約不要です。毎日でもリハビリに通いたい患者さん、調剤の待ち時間を使って訓練したい患者さんなど、多様な要望に応えるには予約制ではないほうが合理的と考えました。スタッフの手やリハビリ機器が空いていないときはお待ちいただくことになりますが、その間に物理療法の機器を使ったり、食堂でお茶でも飲みながらゆっくり過ごしたりできます。

リハビリテーションは何人くらいで運営しているのでしょうか。

大杉健院長 いまだ病院4

理学療法士とリハビリ助手で17人です。当院はリハビリに力を入れていますので、技術だけでなく、患者さんやスタッフ間のコミュニケーションも大切にしています。患者さん一人ひとりの状態を見極めてやる気を引き出しながら、良い治療にしていかないといけません。どの診療科でもそうですが、リハビリテーション科でも、患者さんに対して自分の家族のように接するよう指導しています。スタッフの育成はリハビリ室長に任せていますが、みんな診療方針を理解してよくやってくれていますので、今はとても満足しています。

再生医療にも注目されているそうですね。

整形外科分野でも、自分の血液中の血小板に含まれる「成長因子」と呼ばれる成分を利用して行うPRPを用いた再生医療の研究が進んでいます。関節など傷ついた体の組織の自己治癒力を高めていけないかという狙いですね。整形外科分野での関節の治療としてはヒアルロン酸注射が知られています。そのような治療や関節鏡手術など、やるべきことはやったけれど結果につながらない患者さんにとってPRPを用いた再生医療が新たな選択肢の1つになればと期待しています。

専門にこだわり過ぎず、患者を全人的に診ていきたい

整形外科を専門に選んだ理由を教えてください。

大杉健院長 いまだ病院5

子どもの頃は野球少年で、小学生の頃から真剣に取り組んできたのですが、中学時代に野球肘とも呼ばれる離断性骨軟骨炎になってしまいました。野球は諦めないといけないと思っていたのですが、手術を受けて高校生まで続けることができました。医師になろうと考えた理由はこれだけではありませんが、整形外科に進もうと決めたのは間違いなくこの経験です。当時はリハビリが気軽に受けられる時代ではなかったので、自分で工夫して自宅でトレーニングをやっていたんですよ。野球に復帰できた時は、本当にうれしかったです。大学は愛媛大学医学部に進学しました。医学生は自分の専門を決めるのに意外と悩んで時間がかかるのですが、僕はとにかく整形外科医師になりたかったから一切迷わず、整形外科の勉強だけは一生懸命しましたね(笑)。

こちらでは手術も入院もできるそうですが、病診連携も並行して行っているそうですね。

大杉健院長 いまだ病院6

僕や他の先生が手術適応と診断しても、絶対に当院で手術をしないといけないことはありません。手術はどこで受けてもらってもいいし、紹介もします。ただ、地域の基幹病院は、入院日数の関係で早く退院することになりがちで、長期間を要するリハビリを十分に受けられないことが多いのです。病診連携では、当院から基幹病院を紹介するだけでなく退院後の受け皿として、基幹病院の先生にも信頼し任せてもらえるようなリハビリ設備とメニューを用意し、術後管理も行っています。また、大学病院勤務の医師も非常勤で外来診察にあたってくれています。そこでは大学病院での治療について、相談をすることも可能です。

今後の展望や目標についてお聞かせください。

整形外科の患者さんは膝や腰が痛いという主訴が圧倒的で、命を預けるような科ではないですよね。でも僕らはここで「町医者」をやっているので、整形外科分野に限らず、体に何かあったら気軽に来てもらいたいと思っています。院長として医師として、地域の患者さん一人ひとりを全人的に見ていきたいです。患者さんから「何かあったら先生のところで相談させてくださいね」と言われたり、「俺の最後は、大杉先生に診てもらいたいんだ」と言われたりするとき、この仕事をしていて本当に良かったと実感します。当院で18年間「町医者」を続けてきて、入職した頃に診ていた患者さんが、結婚して子連れで来てくれることも増えてきました。これからも、地域の患者さんに親しまれながら、通いやすく質の高い医療サービスを提供していきたいと思っています。

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