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佐々木 巌 院長、佐々木 みのり 副院長の独自取材記事

大阪肛門科診療所

(大阪市中央区/天満橋駅)

最終更新日:2019/08/28

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地下鉄谷町線、京阪本線の天満橋駅から徒歩5分。1912年の創立から一世紀以上にわたり肛門外科の診療をする「大阪肛門科診療所」がある。セラピードッグの「ラブ」が迎えてくれるので、和やかな気持ちで診察を待つことができる。現在、5代目院長を務めるのは、佐々木巌(いわお)先生。妻で副院長のみのり先生とともに、痔の専門治療に力を入れている。痔は手術が標準治療とされているが、2人の考えは違う。患者にとって何がベストな治療かを追求した結果、痔の根本治療は便通にあると確信し、型にはまらない治療で痔に悩む多くの患者を救っている。自分たちが信じた治療を貫き通す覚悟と勇気から、肛門に関するアドバイスまで、多岐にわたり話を聞いた。
(取材日2017年6月23日)

ほとんどの痔は手術せずに治療ができる

クリニックの特徴を教えてください。

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【院長】当院は、痔の専門治療をメインに行う、肛門外科一筋のクリニックです。「大腸は診ないの?」と思われるかもしれませんが、両方の領域を扱うとなると、肛門科は外科、大腸は内科、それぞれの知識や経験が求められます。二足のわらじを履くと、どうしても専門性が低くなるため、大腸領域は内視鏡の高い技術を持った消化器内科の先生にお任せして、私は肛門外科に専念する道を選びました。クリニックの創立は1912年と歴史は古く、初代院長である曾おじいさんが開業し、現在は私が5代目院長を務めています。

痔の治療に力を入れられていますが、痔になる原因は何ですか?

【副院長】実は、肛門外科を受診される方の多くは、毎日きちんと便が出ている方なんです。お通じがいいのに、どうして痔になるんだろうと不思議でしたが、調べていくうちに患者さんの多くは、腸の中の便は排泄できていても、肛門付近に便が残っていることがわかってきました。便の出し始めが固い時があると思いますが、それは肛門付近に出し切れない便が残っていたためです。古い便は時間が経つと固くなり、肛門周辺の毛細血管をうっ血させ、痔を引き起こします。痔になる原因はさまざまですが、「腸の便秘」ではなく、この「肛門の便秘」が大きな要因だと考えています。痔の根本治療はこの「肛門の便秘を改善すること」というのが当院の治療方針です。

手術をしなくても痔の治療ができるのですか?

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【院長】むしろ、手術でいぼ痔だけ取っても、原因である便秘が治らなければ、解決したことにはなりません。ですが、今の医学会では手術が痔の標準治療とされており、手術ありきの治療が一般的です。当院のように、肛門と腸を分けて考え、手術よりも保存治療を優先するのは、極めて珍しいスタイルなのです。私たちも以前は、手術が正しい治療選択だと考えていましたが、患者さんにとってベストな治療とは何かを突き詰めていく中で、それは手術ではなく、便通を最適化することだと気づいたのです。体質や状態にあった便の出し方を提案していく治療こそ、多くの患者さんを救える治療だと確信しています。現行の保険制度では、病気ごとに治療内容が決められているため、治療実績があるとしても保険適用外になってしまいますが、標準治療で治らなかった方や、私たちの診療方針に共感した方がたくさん治療に来られ、長年のお尻の悩みから解放されて喜んでいます。

痔のことを忘れて、快適な生活が送れるように

院長の診療モットーを聞かせてください。

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【院長】以前は、当院も手術主体の治療を行っていました。私自身、手術は大の得意で、痛みが少なくなるように配慮した手術が強みであり、それが私たちの価値だと思っていました。手術こそ、一番正しい治療選択だと信じて行っていましたが、患者さんの中にはきっと、手術をせずに治療したいという方や、大事な仕事があるから今は手術を受けたくないという方もいたはずです。現在の診療スタイルでは、自分の考えを主体にせず、患者さんの都合や希望を第一優先で考えています。それと、治療技術が進歩し、患者さんのニーズが変化していく中で、「今、自分にできることで、患者さんにとって一番いいものは何か?」を常に考え、最良の治療を提供していきたいと思っています。

副院長の診療モットーを聞かせてください。

【副院長】「治療のゴール」=「痔がなくなること」ではありません。患者さんが希望をしている状態に持っていくことが、私の役目だと思っています。例えば、いぼ痔一つとっても、「出血が困る」「痛みがつらい」「イボの存在自体が気になって仕方がない」など、人によって悩みは違います。医師は、「痔を治してあげたい。手術をしてあげたい」と思うものですが、患者さんの話を聞くと、「悩みが解消されるなら、痔があってもなくても満足なので、手術は避けたい」という方が多いです。診療では、まずは患者さんのゴールを明確にします。そして、そのゴールに近づくために、どうしたらいいのか、何ができるのかを患者さんと一緒に考えていくようにしています。いつもお尻の心配をして、外出もままならず、人生が暗くなっている方がたくさんいます。患者さんがお尻のことを忘れて、毎日を楽しく生活できるようにすることが私の目標ですね。

女性の先生がいると、同性の患者さんは安心ですね。

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【副院長】それはよく言われますね。ですが、肛門科選びをする時に、女医にこだわり過ぎると失敗します。肛門科を標榜している先生はたくさんいますが、肛門外科を専門的に診られる女医の先生というのは、全国で20人くらいしかいません。「女医なら優しいだろう」という期待も間違いです。私を含め、女医の先生のほうがはっきりものを言う人が多いと思いますよ(笑)。男の先生のほうが絶対に優しいですよ。女性であることだけが、女医の価値ではありません!

便秘を治さずして、どんな薬を使っても意味はない

肛門科にかかりづらくて、市販薬で対処されている方も多いようですね。

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【院長】市販の塗り薬は合えばいいですが、ほとんどのものにステロイドが含まれているので、長期使用すると毛細血管が拡張して、皮膚が赤く、薄くなってしまいます。一度、皮膚が菲薄化するとなかなか戻らないので、2週間使っても効果がない時は中断してください。市販の便秘薬の多くにセンナやアロエなどが含まれていて、常用すると「大腸メラノーシス」といって、大腸が真っ黒になってしまいます。がんを引き起こす原因にもなりうるため注意が必要です。下剤だけでなく、キャンドルブッシュや天然ハーブなど一見、体に良さそうなネーミングのものも例外ではありません。座薬も浣腸は人によって容量が違い、まれに迷走神経反射による血圧低下が起こることもあるので、使いたい方は診察を受けてもらったほうがいいですね。

温水洗浄便座は要注意?

【副院長】患者さんのお尻を診察すると、シミとほくろで真っ黒な方がいます。原因は、温水洗浄便座の使い過ぎ。皮膚は洗い過ぎると、メラノサイトという色素を作り出す細胞が増殖するのです。他にも、皮膚のバリアー機能が低下し、微小外傷を形成しやすくなり、外部からの細菌が侵入しやすくなります。温水洗浄便座を使えば、何となくお尻がきれいになるイメージがしますが、考えてみてください。ノズルの先は掃除できても、ノズルの中まで掃除できないですよね。しかも、温水が溜まった状態というのは、カビやばい菌が繁殖しやすい環境で、その温水シャワーを浴びせられるお尻はたまったものじゃありません。膀胱炎や膣炎を発症する方も多く、温水洗浄便座の使い過ぎを指摘する泌尿器科や産婦人科の先生もいますよ。

最後に、読者へのコメントをお願いします。

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【副院長】私が一番うれしい瞬間は、患者さんが笑顔で帰って行く時です。もともと皮膚科でしたが肛門科に転身し、今では肛門外科の診療は私のライフワークとなっています。休みの日も、ブログでの情報発信に力を入れています。一人でも多くの方が、お尻のことを忘れて楽しい生活が送れるように、これからもサポートしていきます。
【院長】痔だと思っていたら、大腸がんだったという方がたまにいます。40歳を過ぎたら、2~3年に一度は大腸がんの検査を受けていただきたいですね。また出血がある方は年齢問わず、できるだけ早く検査を受けてもらいたいです。検便では見つけきれないがんもあるので、できれば大腸内視鏡検査をお勧めします。大腸がんは、日本人の死因1位ともいわれています。痔で亡くなることはありませんが、大腸がんは命を奪います。まずは大腸がんの心配をして、それから痔を治しましょう。

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