膀胱炎や尿漏れの泌尿器科疾患について
何でも相談できるよう配慮
薬院ひ尿器科医院
(福岡市中央区/薬院大通駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
泌尿器科への受診をためらう女性は多いとされる。症状の説明を男性医師に説明する気恥ずかしさや、これくらいはよくあることだからという思い込みで、我慢したり諦めたりする人が少なくないそうだ。「薬院ひ尿器科医院」の宮崎啓成院長は、泌尿器科の男性的なイメージをなんとか打開したいと、2016年に女性に特化した泌尿器科外来を設置。担当に重森香織先生を招き、女性専用の診察室や待合室を設けるなど、女性目線の外来診療に力を入れた。膀胱炎や尿漏れ、過活動膀胱など泌尿器系の悩みを感じながらも受診を迷っている人のために、今回は、女性の泌尿器科疾患の主だった病気と注意点、そしてクリニックで行う改善指導の内容について、宮崎院長と重森先生に話を聞いた。
(取材日2020年7月13日)
目次
女性の我慢強さは、時に疾患を重症化させる。違和感を感じたら早めに受診を
- Q女性の泌尿器疾患の主だったものを教えてください。
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A
▲女性の尿疾患に応える薬院ひ尿器科医院
【重森先生】急性膀胱炎、過活動膀胱、尿漏れ(尿失禁)の3つですね。急性膀胱炎は排尿時や排尿の終わりにかけての痛み、頻尿、残尿感などの症状があります。過活動膀胱は、急にトイレに行きたくなって我慢が利かなくなるような尿意切迫感があって、我慢しきれずに尿が漏れてしまうこともあります。そして頻尿を引き起こすこともあります。咳やくしゃみ、重いものを持つなどおなかに力を入れた瞬間に起きる尿失禁は、腹圧性尿失禁という病名で呼ばれます。いずれも幅広い年齢の方に起こり、お薬で治療するものもありますが、骨盤底筋という筋肉のトレーニングで改善をめざす場合もあり、症状に合わせた正しい治療が必要です。
- Q症状を我慢し過ぎると、どんなリスクが起こるのでしょう?
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A
▲女性専用の診察室
【重森先生】過活動膀胱や尿漏れは、トイレに間に合わなくなるのではないかという恐怖から、外出を控える方が少なくありません。映画や旅行を楽しみたいのに、長時間トイレに行くことができないイベントや、知らない場所に行くことをためらってしまうんですね。すると生活の質そのものが低下しますし、パッドの長時間使用により皮膚のトラブルを起こすケースも見られます。急性膀胱炎は軽症のうちなら投薬で治せるものですが、受診をためらって重症化してしまうと膀胱炎の原因となる菌が腎臓に逆流し、腎盂腎炎に発展する危険性があります。腎盂腎炎が重症化すると入院治療が必要となりますので、決して軽く見てはいけない病気だといえますね。
- Q泌尿器疾患は、男性と女性では違うものでしょうか?
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A
▲男女それぞれの悩みに対応してくれる
【宮崎院長】違う場合もあります。例えば男性の尿漏れは非常に少ないとか。女性と男性は尿道の長さが違うので、耐える力が違ったり、女性の場合は菌が侵入しやすかったりするんです。男性でも尿意切迫感はありますが、前立腺肥大症が原因だったりもします。過活動膀胱は男女ともにかかる可能性のある病気で、比率は女性のほうが多いですね。過活動膀胱は、治る病気ではなく内服でコントロールしていくかたちになるので、うまく付き合っていく気持ちを患者さまに持っていただくことが必要です。また、似た症状でも原因が違う場合もあるので、正しく診断することが大切です。ご夫婦で一緒に受診される方もいらっしゃいますよ。
- Q過活動膀胱や尿漏れは何が原因で起きるのですか?
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A
▲女性医師がしっかり説明してくれる
【重森先生】腹圧性尿失禁は出産時や、加齢などにより骨盤の底にある筋肉が弱くなってしまったことで生じます。加齢や体重増加などを契機に症状が進行することもあります。私どもが特に重要視しているのは骨盤底筋トレーニングです。テレビや雑誌、パンフレットなどでご存知の方も増えましたが、自己流の誤った方法で行うと効果が得られない難しさがあるので注意しなければなりません。当院では正しくトレーニングを覚えていただくために、きちんと環境をそろえております。
- Q正しい骨盤底筋トレーニングの指導を貴院で受けられるのですね。
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A
▲何でも相談できる先生たち
【重森先生】普段使わない筋肉を動かすというのは、とても難しいですからね。まずは正しくトレーニングができるように指導をして、うまくできないとおっしゃる方には、ほかの治療法が必要かどうか、段階を踏まえて検討します。内診の際には、心の準備が必要という方もいらっしゃいますので、必ず予告をして、患者さまの準備が整うのを待ってから行うようにしています。また、骨盤底筋トレーニングというのは、病気が何もなくても女性にとってはメリットのある体操だといえますので、当院の場合は、内診を行った際に必ず一回は私が直接指導をさせていただいています。