石田 孝雄 院長、石田 千晶 先生の独自取材記事
いしだ内科外科クリニック
(川崎市宮前区/宮前平駅)
最終更新日:2026/09/25
2014年、川崎市宮前区に開業した「いしだ内科外科クリニック」。院長を務める石田孝雄先生は東京医科歯科大学(現・東京科学大学)の関連病院で長年研鑽。その過程で、専門性のみを追求することの危険性を実感したことから総合診療を決意し、同院の開業に至ったという。「専門性の垣根を越え、すべての可能性を考慮しながら総合的に診ることが大切です」と孝雄院長は語る。内科、消化器内科、外科、皮膚科、心療内科と幅広い診療科目を掲げ、これまで数多くの地域住民に寄り添ってきた。今回はそんな孝雄院長に加え、専門である消化器内科を軸に同院を支える石田千晶先生の2人に、現在取り組んでいる医療と、これからの展望について話してもらった。
(取材日2026年5月26日)
目標は、幅広い診療に対応する「街の小さな総合病院」
診療方針を教えてください。

【孝雄院長】「街の小さな総合病院」として気軽にご相談いただける場でありたいと考えています。総合病院で病院長も経験し、専門性のみを追求することで見落とされるリスクもあると感じました。専門性は必要ですが、初期段階から診療科を区切ることで、かえって病気が見えなくなる危険性もあるのです。専門外だから関与しないのではなく、あらゆる可能性を考慮しながら総合的に診ることで、病気の早期発見につなげられると信じています。
【千晶先生】消化器内視鏡を専門としており、早期発見に強い使命感を持って診療にあたっています。孝雄院長が掲げる「総合的に診る」という方針のもと、患者さん一人ひとりの状態を丁寧に把握することを大切にしています。気のせいと済ませず、まずは検査をという姿勢で、女性医師ならではの視点も生かしながら安心して受診いただける環境をめざしています。
診療体制を伺えますか?
【孝雄院長】午前中は二診制を中心に、千晶先生や大学病院からの先生方が曜日ごとに担当しています。午後は私が診ることが多いですが、今後も新たな先生をお迎えしながら柔軟に対応していく予定です。心の病に悩む方も増えているため、精神科専門の先生に月に一度来ていただき、一人あたり約30分、丁寧に面談を行っています。
【千晶先生】スタッフ同士の連携もこのクリニックの強みの一つです。受付スタッフが事前に症状をヒアリングして情報を共有してくれるので、診察がスムーズに進みます。患者さんの待ち時間を減らしながら、一人ひとりの話をしっかり聞ける診療を維持することが今の大きな目標です。
総合的な診療に取り組むメリットは何ですか?

【孝雄院長】例えば「足が痛む」という訴えの裏に糖尿病が潜んでいたり、「背中が痛い」という症状が解離性動脈瘤のサインだったりすることがあります。胸の痛みや倦怠感の原因に精神的な問題が見つかるケースも少なくありません。おなかの張りや吐き気、頭痛といった症状を「よくあること」と片づけず、さまざまな可能性を考慮しながら総合的に診察することで、膵臓・胆嚢・大腸・胃のがんや脳腫瘍といった重篤な疾患の初期段階での発見をめざせます。そのために、問診だけでなく触診・聴診を組み合わせ、丁寧な診察を心がけることも大切です。
総合的な診察と精密な検査で、病気の早期発見をめざす
消化器がんの早期発見にも注力されているとか。

【千晶先生】特に大腸がんは症状が出にくい病気で、症状がなくても内視鏡で早期に発見できるケースが多くあります。50代の方でも見つかる事例があるため、通院中の患者さんで必要と思われるケースには積極的に内視鏡検査を勧めており、市の大腸がん検診で引っかかった場合は必ず精密検査を受けていただくようにしています。
【孝雄院長】院内には上部・下部消化器内視鏡のほか、超音波検査装置、動脈硬化測定検査装置など新鋭の機器を用意しました。適切な検査と診断が早期発見・早期治療に直結すると考えており、機器の更新にも継続的に取り組んでいます。
在宅医療にも取り組まれていると伺いました。
【孝雄院長】地域の高齢化が進むにつれ、これまで通院されていた患者さんが来院困難になるケースが増えてきました。かかりつけ医としてしっかりフォローしたいという思いから、昼の診療の合間を使って訪問診療を行っています。ご家族を含めた信頼関係が大切ですから、長年通っていただいた気心の知れた患者さんを中心に対応しています。高齢患者さんのケアは今後ますます重要な使命となるのではないでしょうか。
【千晶先生】訪問診療では看護師など他のスタッフとの連携が欠かせません。患者さんやご家族との関係性を大切にしながら、一人ひとりに寄り添ったケアを心がけています。また最近は大きな病院で通院が難しくなった方が当院に来られるケースも増えており、地域の受け皿としての役割を果たしていきたいと思っています。
最近、患者さんからのご相談で増えているものはありますか?

【千晶先生】ワクチンに関するご相談がとても増えています。特に帯状疱疹ワクチン、麻疹ワクチン、RSウイルスワクチンについての問い合わせが多く「打つべきかどうか迷っている」という方も多いようです。年齢や体力によって判断が変わるため、一人ひとりに合った情報をお伝えするよう努めており、当院でもこれらのワクチン接種に対応しています。
【孝雄院長】受診エリアが広がっていることも最近の変化の一つです。引っ越し後も通い続けてくださる方や、クチコミで初めていらっしゃる方も増えています。生活習慣病のフォローアップにも改めて力を入れており、血圧や血糖値の変化をわかりやすく数字でお伝えしながら、食事や運動の指導も丁寧に行っています。「薬に頼らなくて済む医療」をめざし、患者さんと一緒に目標を設定し、食事や運動の指導、BMIの定期チェックなど、患者さん自身が健康を守るためのサポートも含めて丁寧に行っています。
何でも相談できる場として、心と体の両面からサポート
心療内科の診療についても教えてください。

【孝雄院長】心の不調を訴える方が増えており、40〜50代の方、特に更年期の影響を受けやすい女性だけでなく、更年期症状に悩む男性も見受けられます。月に一度、精神科を専門とする先生に来ていただき、「定期的な通院が必要なほどではないが、一度診てほしい」という方にも対応できる環境を整えています。
【千晶先生】駅前などの混み合うクリニックでは時間を取りにくいと聞きますが、当院では30分かけて話を聞いていただけるのは患者さんにとって大きな安心につながると感じています。心療内科に限らず、内科・外科と併せて「何でも相談できるクリニック」として、体と心の両面からサポートできることが当院の強みです。
診療の際に心がけていることはありますか?
【孝雄院長】血圧・血糖値などの変化はわかりやすく数字でお伝えし、必要に応じて紙に書いて説明することで理解を促しています。自分ができないことは患者さんにも押しつけないのがモットーです。生活スタイルを急に変えるのは難しいと理解しているので、ご本人やご家族と話し合いながら「これならできる」というラインを一緒に探すことを大切にしています。長く続けられることが健康につながると信じています。
【千晶先生】待ち時間が長くなってしまうことへの申し訳なさを常に感じており、システムの改善も検討しています。ただ、待ち時間を減らすことで診察が雑になってはいけないというジレンマも。順番予約システムを活用しながら、スタッフとの連携を深め、患者さん一人ひとりとしっかり向き合えるよう診療の質を保っていきたいです。
今後の展望とメッセージをお願いします。

【孝雄院長】これまでの医療を着実に継承していきたいと思っています。また、AIや医療テクノロジーの活用にも可能性を感じており、母校である東京医科歯科大学が東京工業大学と統合し東京科学大学となったことを機に、理工学系の知見を医療に生かす学際的な連携も視野に入れています。体に不調を感じても、病院に行こうと決心して時間をつくるまでがとても大変だと思います。でも来てしまえば、いろいろなことが動き出すはず。気がかりがあれば、ためらわずに早めにいらしてください。
【千晶先生】今後も内視鏡を中心とした早期発見・早期治療に取り組みます。体の症状はもちろん「こんなこと相談して良いのかな」と思うようなことでも、患者さんのお気持ちに寄り添いながら、一緒に解決策を考えていきたいと思っています。どうぞ遠慮なくお話しください。

