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川口 聡 院長、梅津 俊浩 事務長の独自取材記事

渋谷笹塚HDクリニック

(渋谷区/笹塚駅)

最終更新日:2023/12/20

川口聡院長、梅津俊浩事務長 渋谷笹塚HDクリニック main

京王線笹塚駅から徒歩1分、ビラージュ笹塚Ⅲの4階にある「渋谷笹塚HDクリニック」。川口聡院長をはじめ、開業時から在籍する梅津俊浩事務長、看護師や臨床工学技士、管理栄養士など多くのスタッフが協力し合いながら、患者に寄り添った透析医療を提供するクリニックだ。「透析の時間は、患者にとってポジティブで楽しく、何より過ごしやすい時間であってほしい」と語る川口院長。同院では、オンラインHDFという血液ろ過透析法を導入するほか、在宅透析にも対応し、患者の幅広い要望に応えている。今回は川口院長と梅津事務長に、クリニックの特徴や透析治療への思いなどを聞いた。

(2023年9月29日)

リニューアル後、透析治療専門クリニックへ

川口院長は心臓血管外科のご経験から低侵襲治療を重視されているとか。

川口聡院長、梅津俊浩事務長 渋谷笹塚HDクリニック1

【川口院長】私は東京医科大学心臓血管外科に長く在籍し、黎明期より大動脈瘤への低侵襲治療であるステントグラフト治療を専門に多くの手術を行ってきました。他の医療機関での技術指導も多く、日本中の病院にお伺いして治療の普及に努めてきました。その後、慶應義塾大学医学部外科学の非常勤兼任講師を経て、今も他の医療機関で手術や技術指導を行っています。看護師であり臨床工学技士でもある梅津事務長とは以前からの知り合いです。当院が患者さんの体に配慮したオンラインHDFを取り入れ、透析液の水質や機器のメンテナンスを通常以上に徹底管理した透析治療に尽力していること、初代院長の朝田一生先生の「患者さんに最高の治療を提供するために決して妥協はしない」という想いを聞き、領域は異なりますが、透析治療の分野でも低侵襲を追求できるのではないかと考え、体への負担に配慮した新しい透析治療に挑戦したいと院長に就任しました。

3年前にクリニックをリニューアルされたと伺いましたが、どのようなリニューアルだったのでしょうか?

【川口院長】リニューアル以前は、透析治療とともに循環器科などの外来診療を行っていました。ですが、本格的に新型コロナウイルス感染症の流行が始まった頃合いに、外来診療をやめて透析治療に特化することにしたのです。理由は、透析患者さんは健常な方より免疫力が落ちているため、外来と併せた診療体制だと安心して透析治療を受けにくいのではないかと考えたからでした。
【梅津事務長】まずは透析治療へ特化するため、待合室と診察室をコンパクトにして、透析室を拡充し、発熱のある患者さん専用のブースを設けました。新型コロナウイルス感染症だけでなく、風邪や骨折などでも発熱することはあります。発熱した方も、一般の透析治療を受ける方も、安心して来院していただくことが大切ですからね。

患者さんの安心を第一に考えたリニューアルだったのですね。

川口聡院長、梅津俊浩事務長 渋谷笹塚HDクリニック2

【川口院長】そうですね。一般外来の出入りがなくなるということは、感染症にかかるリスクがそれだけ下がるということ。コロナ禍においても、発熱の外来の要請などもお断りして、透析患者さんのことを第一に考えました。
【梅津事務長】コロナ過の最中には、よほどの事情がない限りクリニック間の患者移動がありませんでしたが、落ち着きを取り戻し始めてからは、ご自身の希望で転院してくる方が増えたように思います。当クリニックのホームページを見て来られる方も増えていますね。

透析治療室の作り方、設備には人一倍こだわった

透析治療室の設備には大変なこだわりがおありだと伺っていますが、具体的には?

川口聡院長、梅津俊浩事務長 渋谷笹塚HDクリニック3

【梅津事務長】患者さんは基本的に2日に1回透析を受けますが、その際は治療用チェアの上で長い時間を過ごすことになります。ですので、その時間をどれだけ有意義に過ごしてもらえるかは、極めて大事なポイントです。例えば、無線LANの通信速度を常に最新の状態に保つのは当然のこと。他に映画をよくご覧になる方のためにビデオオンデマンドを用意したり、読書をされる方であれば、書見台をつけてみたり。治療室全体の雰囲気づくりにおいても、空・海・大地を感じられるよう、パステル系のカラーで明るく彩っています。ベッドではなくあえてリクライニング機能のあるチェアにし、衛生面でも気にならないようにこまめな消毒はもちろん、表皮にへたりが見えたらすぐに交換。チェアはスタッフステーションから車座に配置し、常に患者さんの様子がわかる配置にしています。フットケアも行いやすいレイアウトですね。

患者さんが安心して快適に過ごせるよう、さまざまな工夫がされているのですね。

【梅津事務長】こうした工夫によって、当クリニックのコンセプトである「透析の時間は、患者にとってポジティブで楽しく、何より過ごしやすい時間であること」が、実現できていたらうれしいですね。患者さんの安心でいえば、治療でオンラインHDFを導入していることも特徴ですね。この導入により、透析アミロイド症という、透析特有の合併症が起こりにくくなります。必要な栄養素まで除去しないよう、透析器の種類を患者さんごとに変え、四肢のしびれや掻痒感の減少など、患者さんの負担軽減のために細心の注意を払っています。ただし、透析液の中には微量な酢酸が入っているので、まれに体に合わない人がいます。また、セロトニンなど体に必要なホルモンが抜けすぎてしまう方も不向きです。こうしたことを踏まえて、医師が通常の血液透析にするか、オンラインHDFにするかを判断しています。

オンラインHDFの場合、機器のメンテナンスなども大変ではないですか?

川口聡院長、梅津俊浩事務長 渋谷笹塚HDクリニック4

【川口院長】オンラインHDFは、今までの血液透析に比べ、より多くのろ過が可能になり、老廃物を除去しやすいです。当院では透析薬剤の開封から溶解まで、高いレベルで透析用水や透析液の質を管理しています。全自動透析液供給装置を導入し、送液までを全自動で行っています。そのぶん、メンテナンスによる機能保持はとても重要にはなりますね。一般的には、機器類のメンテナンスは外部業者に出します。でも、当クリニックでは、梅津事務長が専門的な技術を持っていますので、事務長指導のもと、スタッフでメンテナンスできる体制が整っています。つまり、メンテナンスによって患者さんの予定を大幅変更せずに、治療を行うことができるというわけなのです。

在宅透析のニーズにもしっかりと応える

在宅透析にも力を入れていると伺いました。

川口聡院長、梅津俊浩事務長 渋谷笹塚HDクリニック5

【川口院長】お仕事をしている方は、なかなか夜でも来れないことが多いものです。ですが、在宅透析だと夜遅い時間まで仕事をしなくてはいけない職業の方なども、透析を受けやすくなります。在宅のメリットはさまざまですが、時間の過ごし方の幅は間違いなく広がります。ご家族とだんらんを楽しみながら、ペットと触れ合いながら、趣味をしながらなど、QOL(生活の質)がまるで違ってくるんです。また災害時など、透析治療のために来院できないことが想定されるケースでも、自宅に透析のセットがそろっていれば、急場をしのぐことができるという利点もあります。

在宅透析は単身者などの場合受けるのが難しくなるのでは?

【梅津事務長】確かに、これは誰にでも受けていただけるというわけではありません。機械の操作が不得意な方や、手順を覚えるのが苦手な方は難しい面もありますし、ご家族が反対されるケースもあります。専用の配管を引く必要もありますので設置の費用もかかります。しかし、最近は単身者でも在宅透析を受けられるよう、看護師やホームヘルパーの派遣を行う企業とタイアップし、対応の幅を広げています。どのような形で実現できるかは、個々の環境や状態にもよりますが、まずはご相談いただければ幸いですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

川口聡院長、梅津俊浩事務長 渋谷笹塚HDクリニック6

【川口院長】当院では、安心して透析治療を受けていただけるように、さまざまな視点から見直しを行いました。在宅透析の拡張など、個々のニーズに合わせた透析治療をこれからも提案していきます。透析を受ける時間は、常にポジティブな時間であってほしい。スタッフ全員そう考え、QOLの高い治療になるよう引き続き努めてまいります。ご不安はお一人で抱えず、ぜひお気軽にご相談ください。

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