橋本 光司 院長の独自取材記事
ときわ台はしもと小児科アレルギー科
(板橋区/ときわ台駅)
最終更新日:2024/07/23
ときわ台駅徒歩1分という通いやすさが魅力の「ときわ台はしもと小児科アレルギー科」。重症例も含む多くの小児を診てきた橋本光司院長の「大学病院レベルの医療を地域で」という思いから、2014年に誕生したクリニック。小児科全般を診る総合的な診療体制と、橋本院長が長年にわたり経験してきた小児アレルギー疾患の専門性の高い診療が特徴だ。小児科医歴約40年というキャリアにより実現する、発達や夜尿症などの問題にまで向き合う包括的な診療を行う一方、「新しい情報を常にキャッチして患者さんに還元するために、勉強の時間は惜しみません」と話す橋本院長。その言葉からは、子どもたちの健康と幸せを願う強い思いが伝わってくる。現在の専門的診療の礎となるこれまでのキャリアや地域医療への思いなど、じっくりと聞かせてもらった。
(取材日2024年6月28日)
小児の感染症やアレルギー、育児相談にも総合的に対応
まずは、このエリアに開業した理由を聞かせてください。
開院前に私が日本大学医学部附属板橋病院や旧・日本大学医学部付属練馬光が丘病院(現・練馬光が丘病院)に長く勤務していたため、板橋区や練馬区のエリアに愛着があったからです。大学病院での患者さんが継続していらしてくださるだけでなく、子ども時代に診ていた患者さんが親御さんになり今度はお子さんを連れていらしてくださることもあり、小児科医冥利に尽きます。当院は駅から徒歩1分と便利な場所にありますので、近所の方に限らず、少し離れたところから足を運んでくださる方もいます。
どんな症状の患者さんが多く来院しますか?
当院はお子さんの健康に関する悩みに総合的に対応する、地域のかかりつけ医をめざしていますので、さまざまな症状の患者さんがいらっしゃいます。基本的には20歳ぐらいまでを対象としていますが、慢性疾患で成人まで持ち越した患者、お子さんのご家族の診療、花粉症に悩む成人にも対応します。感染症や一般小児疾患はもちろんのことですが、発達や育児での困り事の相談も受けております。夜尿症や便秘症は、専門の外来のある特別な病院へ行くイメージがあるかもしれませんが、近年は新しい治療薬も出て一般外来でもずいぶん治療ができるようになりました。お悩みがあれば気軽に相談していただきたいです。多くの患者さんは当院で治療が完結すると思いますが、必要に応じて日本大学医学部附属板橋病院、帝京大学医学部附属病院および東京都立豊島病院などの病院に顔見知りの医師がいますので、速やかに紹介することも可能です。
子どものことについて、さまざまな相談に乗っていただけるのですね。
小児科というよりも、「小児総合診療科」とでもいいますか、何でも診られるクリニックでありたいと思っています。私以外にも子育てを経験した後輩の女性医師が2人いますので、「病気ではないけれど困っている」という保護者の方に母親目線でアドバイスすることもできます。初ワクチンの来院時には、食物アレルギーの発症を回避するために皮膚を清潔にすることの重要性、離乳食を開始する時期と食物アレルギーの関係などを説明します。発達面についても、日本小児神経学会小児神経専門医も在籍しており、子どもの心の相談にも乗っています。これまでにとても多くの経験を重ねてきたので、それを生かした総合的な診療ができるのが当院の強みだと思っています。また、RSウイルス感染による重篤な下気道疾患リスクの高い赤ちゃんの発症抑制のための注射薬の登録施設にもなっています。
専門性の高い診療を、地域で実現したい
先生は小児科医として約40年のキャリアがあるそうですね。
日本大学医学部卒業後、同大学大学院で新生児仮死の研究をしました。小児アレルギー診療に関しては大学院卒業と同時に国立小児病院アレルギー科(現・国立成育医療研究センター)に国内留学し、恩師の故・飯倉洋治先生のもとで重症例も含めた多くの診療経験をしました。以後、日本大学医学部附属板橋病院で小児アレルギー科外来を現在まで継続しています。国立療養所足利病院(現・あしかがの森足利病院)では重症心身障害の子どもたちの病棟のほかに、慢性病棟には家庭での生活が難しいような難治性の喘息患者さんも多くいました。そういった患者さんは喘息だけでなく合併症や心の問題を抱えていることもあり、それも含めた診療も経験しています。1996年からは旧・日本大学医学部付属練馬光が丘病院の小児総合診療科で16年間勤務し、2014年に当院を開院しました。
医師になった理由や開業した理由も教えてください。
父が内科勤務医であったこともありますが、母方の伯父が小児科医で、日本の小児アレルギーの分野に大きく貢献したといえる人物であったため、医師になると同時に小児アレルギー学の道に進むことを決めました。さまざまな経験を経て2014年に開院を決めたのは、大学病院のアレルギー専門の外来レベルの診療を地域医療で実現したいと考えたからです。そのためには、日々進化する小児科診療の情報をキャッチし、治療の選択肢を増やし、患者さんに最適な方法を提案できる体制が必要だと思っています。花粉症やダニアレルギーに対する舌下免疫療法について5歳から使用できるようになったり、これまで小児では使えなかった新しいアレルギーの薬が近年は使えるようになってきています。そうした治療に役立つ情報を逃さないよう、時間を惜しまずオンライン勉強会等にも積極的に参加しています。
専門性の高いアレルギー治療が強みなのですね。
専門的に診れる医院が少ないといわれる食物アレルギーと喘息にも対応していますが、それだけに特化するわけではなく、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎を含むすべての小児アレルギーの診察を得意としています。アレルギー治療には歴史があり、喘息は2000年頃から新薬が発売されたことで治療が進化し、以前は入院が必要な重症な喘息患者さんが多くいましたが、最近は外来で対応できることがほとんどとなりました。アトピー性皮膚炎は2018年頃から新薬が出て治療の幅が広がり、ステロイド以外の軟こうの選択肢も増え、さらに中等・重症例には経口薬や生物学的注射製剤も導入しています。そういった時代の変化も見てきた長年の経験を生かし、適切な治療法をご提案します。当院にはアレルギー疾患に対して専門的に学んできたスタッフも在籍しているので、より細かなケアが実現できると考えています。
小児のあらゆる困り事に、誠実に向き合いたい
治療する際に心がけていることは何でしょう。
長期化するアレルギー治療や慢性疾患については、完全なゴールが見えないこともあるかもしれませんが、患者さんの意欲を保てるよう目標を設定するようにしています。「このぐらいの重症度なら、これぐらいの年齢までには治ることも期待できますから頑張りましょう」と、目安となる目標を作りながら説明します。慢性疾患のお子さんの移行期医療も意識しており、成長や転居等で私が診れなくなったときに患者さんが困らないよう、一人で医師に症状を伝えたり通院できたりするようにサポートすることも心がけています。
今後の展望を聞かせてください。
迅速な検査による早期診断をこれからも重視したいと考えています。新型コロナウイルス感染症が流行した際に、PCR検査の結果が出るのに数日かかり、行動が制限され苦労した患者さんも大勢いたと思います。早期の診断は開業当時から意識していましたが、コロナ禍を機に、改めてその重要性を痛感しました。必要な機器も導入し、診断結果を迅速に明らかにすることで患者さんの安心につなげていきたいと思っています。また、小児医療の進歩の一つが既存ワクチンを確実に接種することと新規ワクチンの開発といわれています。予防接種についても新しい情報をキャッチし、患者さんのためにも速やかな導入を検討していく予定です。早速、妊婦へのRSウイルスワクチンを導入しました。
ありがとうございました、最後に読者にメッセージをお願いします。
大学病院レベルの診療を行いながら、敷居が低いクリニックでもありたいと思っています。金曜日の午後は私が大学病院で診療しているため不在ですが、それ以外は原則休診日を設けず、いつでも患者さんが相談できる環境を整えています。さまざまな小児の困り事に誠実に対応したいと思っていますので、気になることがあればまずは相談に来てください。この地域のお子さんのホームドクターとして、これからも子どもたちと保護者の方に、良質で喜んでいただける医療を提供していきたいと思います。