鳥海 晋之介 院長の独自取材記事
とりうみデンタルクリニック
(横浜市青葉区/江田駅)
最終更新日:2024/09/02

「とりうみデンタルクリニック」は、江田駅の目の前のビル4階にある。鳥海晋之介院長が手がけるのは、精密根管治療を中心とした精密治療だ。1回1時間以上かけて精度と確実性にこだわった治療を行っている。大学院時代には、歯周組織の炎症の成り立ちや、メカニズムを解明するための遺伝子研究に携わってきたという鳥海院長。臨床と研究の両方の視点を持ちながら精密根管治療について学び、積み重ねた知識と技術を今の診療に生かしている。非日常を感じるヨーロピアン調の待合室で、同院の治療の特徴や精密治療に対する考えを鳥海院長に聞いた。
(取材日2024年6月25日)
根管治療を中心とした精密治療で、歯の保存をめざす
これまでのご経歴と、開業に至るまでの経緯についてお聞かせください。

東北大学歯学部卒業後は、大学院で臨床経験を積みながら、歯周組織の炎症に関する研究に携わりました。歯の神経や根の病気、そして歯周病は基本的に組織の炎症です。炎症のメカニズムを解明するため、細胞を培養して遺伝子レベルでさまざまな研究を行いました。臨床も大事ですが、研究の世界から歯科治療を眺めることで、より深く疾患について理解できるようになったと実感しています。大学院修了後は宮城県や神奈川県の歯科医院で経験を積みました。中でも神奈川県大和市の開業医で、米国式の根管治療の普及にも尽力されている寺内吉継先生のもとでは、多くのことを勉強させていただきました。寺内先生は歯内療法の専門家で、早くから歯科用CTとマイクロスコープ(手術用顕微鏡)を導入し、自由診療で米国式の根管治療をされていました。特に「歯をできるだけ抜かないで残す」という治療の姿勢には、学ぶことが多かったですね。
こちらでも根管治療に力を入れているのですか?
はい。一般的な歯科診療も行っていますが、それ以外に、自由診療で行うCTやマイクロスコープを駆使した精密な治療、特に精密な根管治療に力を入れています。根管治療とは、虫歯などで傷んでしまった歯を抜くことなく、長持ちさせるために有用な治療です。歯科治療における根管治療の重要性は、歯科医師の多くが認識しています。専門的な技術や設備が必要なので、どこでも受けられるわけではありませんが、徐々に根管治療に目を向ける患者さんも増えてきましたね。最近ではかぶせ物やインプラントなどと同様に、精密な根管治療が治療の選択肢に加わってきたと感じています。
なぜ歯を長持ちさせるために、根管治療が重要なのですか?

深い虫歯や歯の根の化膿によって、抜歯も検討されるような歯を抜かずに治療するためには「根管治療」が必要です。根管治療は、歯の神経を取ったり、歯の根を消毒する治療です。しかし一般的な根管治療で神経を取り除いた歯は、歯の根に感染を起こし再治療となるリスクがあるのです。再治療を繰り返すと、上質なセラミックの歯をかぶせたとしても、弱体化した基礎の上に家を建てるような状態になり、歯は駄目になってしまいかねません。一方、精密な根管治療を行えば根の感染リスクは大幅な軽減が見込めるため、再治療を回避できる可能性は高まります。特に早い段階で精密に根管治療をしておくことは歯を長持ちさせるためには有用です。いずれにしても再治療の可能性を低く導くことができれば、結果として歯を抜かずに長持ちさせることが望めます。根管治療後の土台やかぶせ物なども重要ですが、根管治療の精度はその後の歯の運命を左右するとされているのです。
時間をかけて丁寧に行う精度と確実性にこだわった治療
精密な治療をするための医療機器をそろえていらっしゃいますね。

当院では精密な治療をするための医療機器を「2人目の歯科医師」と位置づけています。私と、私以外にもう一人、「精密機器が診断をしますよ」という意味ですね。このような機器があるのとないのとでは、得られる情報量がまったく異なります。精密な根管治療においては、当然これらの機器が用いられますが、それ以外の歯科治療でも重要な役割を担っています。例えば、インプラント治療を行う場合、以前は一般的な平面のエックス線写真のみで行っていました。しかし現在は術前にCTを撮影し、コンピューターの3次元的な画像上でシミュレーションを行い、その診断に基づいて手術を行うのが一般的になりつつあります。術前に得られる情報量は一昔前とは比べものになりません。このような精密で適切な診査・診断・治療のために、これらの機器はなくてはならないものなのです。
診査や治療の精密さにこだわっていらっしゃるのですね。
根管治療に限らず、歯科治療というのはミクロな世界。例えば歯を削る場合も、たった0.1mm違うだけで結果が大きく変わってくるような、小さな小さな世界です。であるならば、少しでも大きく、少しでも詳細に、そして3次元的に捉えられれば、より適切な診断や精密な治療が望めます。それが歯を「抜かずに残す」「長持ちさせる」ことにつながるのです。例えば歯のかぶせ物一つをとっても、歯とかぶせ物の境目を精密に合わせることで、境目から菌が侵入するリスクを抑えることが期待できます。このような当たり前のことを高い次元で行えるのも精密治療のメリットといえるでしょう。
そもそもなぜ精密治療に携わろうと思われたのですか?

「自信をもって勧められる、家族にも施せるような治療をしたい」という思いから、取り組み始めました。歯科治療は基本的に手作業で行うもの。一人の患者さんに多くの時間を割いて丁寧に治療をすることで、良い結果が得られる可能性は高くなると考えています。そしてより精密に治療をしようと思うと、当然1回の治療時間は長くなり、残念ながら一度に多くの患者さんを診ることはできません。当院では1回に1時間以上かけて精密治療を行っています。当院で行う根管治療は自由診療ですが、自由診療の精密治療だからこそ、精度と確実性にこだわることができていると考えています。
歯に真剣に向き合う患者の悩みに、技術と設備で応える
ヨーロピアン調のすてきな待合室ですね。

ありがとうございます。既存の歯科医院とは違ったスタイルにしたいという考えがありました。それで、家具屋さんを見て回ったり、店員さんにアイデアをもらったりしたんですよ。暖炉があって光がたっぷり差し込み、日常とは違う空間でゆったりと過ごしていただきたい。そんな思いでホテルライクな空間をつくりました。治療技術だけでなく、患者さんが来院してからお帰りになるまで、すべての工程を「接遇」や「ホスピタリティー」のプロセスだと捉え、気持ち良く過ごしていただけるような空間やサービスを提供する。それもまた大事なことだと考えています。
治療環境の整備にも気を配り、水にもこだわられていると伺いました。
当院では治療の精度はもちろん、ラバーダムの使用など安全性にもこだわっています。給水管内除菌システムによる水質調整もその一環です。ユニット内を流れる水の塩素濃度を1回リセットすることで、配管に付着する菌の繁殖を抑制し、感染症の防止につなげています。アメリカでは、「医療現場で使う水が一定の基準を満たしていないと、治療ができない」という規定があるぐらいですから、水の安全性は非常に重要だというスタンスです。
診療の際、心がけていることを教えてください。

治療に入る前の診査・診断やその説明を丁寧に行うことです。削る、切るといった行為で体に侵襲を加える歯の治療は、医科でいえば外科に近いようなもの。外科に行っていきなりおなかを切られることはないでしょう? まず検査して診断し、治療方針を立て、患者さんに説明し、そしてようやく治療を始めるでしょう。歯科も同じで、治療前の診断は大事な部分。だからこそ、丁寧に行っています。また患者さんに状態をよく理解していただくために、口腔内カメラやマイクロスコープでの撮影画像も活用しています。視覚的な情報を共有することで、少しでも安心して治療を受けていただけるように心がけています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
当院にいらっしゃる患者さんは、歯や健康に意識的な方が多いです。そのような患者さんの思いに応えられるよう、今後も安心で安全な治療を追求していきたいと思います。「他院で受けた治療に納得がいかない」「どういう治療法があるのか知りたい」など、セカンドオピニオンのご相談でも構いません。ご自身の歯に真剣に向き合いたいと思われたら、ぜひ一度いらしてください。その思いに応えるだけの技術と設備が当院には備わっていると自負しています。
自由診療費用の目安
自由診療とは根管治療(かぶせ物を含め)/1本22万円~
インプラント治療(かぶせ物を含め)/1本50万円~