富永 雅巳 院長の独自取材記事
祐天寺整形外科クリニック
(目黒区/祐天寺駅)
最終更新日:2022/07/01
東急東横線祐天寺駅から徒歩約5分のところにある「祐天寺整形外科クリニック」。2013年の開院以来、気軽に通院できるアットホームな整形外科をめざし、患者とのコミュニケーションを大切にした診療を提供しているクリニックだ。富永雅巳(まさみ)院長はスポーツ整形外科を専門とするスペシャリスト。自身も大のスポーツ好きで、さまざまなスポーツ体験が同院での診療にも生かされている。また、10人の理学療法士が患者をサポートし、リハビリテーションを行うトレーニングセンターとリハビリテーションで連携するなど体制も充実。「できる限り最初から最後まで患者さんを診ていきたい」と話す富永院長に、同院の診療方針や専門のスポーツ整形外科について話を聞いた。
(取材日2021年9月14日)
わかりやすい言葉で患者に説明し理解へと導く
地域に根づいたクリニックという印象です。
開院から8年、おかげさまである程度地域に定着してきたように思います。近隣の患者さんはご紹介で来てくださる方が多く、最近ではホームページを診て少し遠方から来られる方も増えていますね。当院は一般整形外科とスポーツ整形外科を専門にしているため、体の動きや運動能力の改善を図る理学療法士(PT)や看護師兼クラーク、トレーナーなど計15人が在籍しています。患者さんとの会話を大切にして、時に雑談を交えることで緊張を和らげるなどしながら、スタッフが一丸となって話しやすい雰囲気づくりに取り組んでいます。例えば僕の場合、自分の体験談を語りながらアドバイスをすることが多いですね。以前に四十肩になったことがあるので、同じような症状の患者さんに「僕もなったことがあるから痛みがわかります。つらいですよね」と一言添えるだけでも、患者さんは相談しやすくなるのではないでしょうか。
どのような年齢層の患者さんが多いのですか?
小学生からお年寄りの方まで幅広い年齢層の方に来ていただいています。「整形外科」と聞くとご高齢の方が多いイメージがありますが、当院はスポーツ整形外科も専門にしているので、若い患者さんもたくさんいらっしゃいます。スポーツ関係が5割で、残りの5割は腰痛や膝痛、肩の痛みなど体のさまざまな痛みを抱えている方ですね。祐天寺は昔から長く住んでいる方が多いので、やはり加齢に伴って体にトラブルが起きる患者さんは多くいらっしゃいます。今はコロナ禍で中高校生の部活動が休止になったり、高齢の方でもスポーツをする機会がなくなってしまった方も多いので、運動不足になっているケースが増えています。当院にいらっしゃる患者さんには、筋肉を落とさない運動や指導も行っていますので、気軽に相談に来ていただければと思います。
診療時に心がけていることを教えてください。
わかりやすい説明をしてご自身の状態や治療の内容についてしっかり理解していただくことです。医療の世界は難しそうな専門用語が多くて、例えば「変性」などといきなり言われても患者さんは戸惑われてしまうのではないでしょうか。「変性」の意味は「老化」なのですが、医師をしているとつい医療用語が出てしまいがちです。そこは一つ一つ「患者さんがわかる言葉かな?」と考えながらお話しするようにしています。また、基本的なことですが患者さんとしっかり目を合わせて話すことも大切です。今は電子カルテが普及していて、問診と同時進行でキー入力をする医者もいますが、僕は開院当初から医療クラークに任せています。自分が話しているのに医師が下を向いたり、パソコンを見たりしていると患者さんは寂しく感じてしまいますからね。
早期の復帰を目標に治療に取り組むスポーツ整形外科
医師を志されたきっかけと、スポーツ整形外科をご専門にされた理由を教えてください。
高校生の頃に救命救急の現場を紹介するテレビ番組を見て、「医師ってかっこいいなあ」と思ったのがきっかけです。父も医師なので身近な職業だったことも影響していますね。医師になった後、実際に救命救急も経験しましたが、現実はかなりハードでした。最終的に整形外科を選んだのは、やはりスポーツに関わりたい気持ちが強かったからです。膝を専門に選んだ理由もスポーツで故障を起こすことが多い部位だからです。スポーツ選手を診る医師は産婦人科や内科などにもいますが、ケガに直接対応する整形外科が最もスポーツと密接に関係しますし、この道を選んで良かったと思います。
スポーツ整形外科の治療で大事にしていることは何でしょうか。
なるべく早くスポーツを再開してあげられるようにすることです。私自身がケガをしたり、他の選手を見たりしてきた中で、「もっと早く復帰できないものか」といつも思っていました。そのためにも、可能な範囲で体を動かしながら治療を行うことが多いですね。例えば肉離れの場合、一般的な整形外科では安静を勧められることが多いのですが、ある程度運動をしながら管理をしていくことをお勧めしています。患部を動かしていないと筋肉が線維化して硬くなり、動きが悪くなって筋力も落ちてきてしまいます。私は今までスポーツでケガをしたさまざまな患者さんを診療してきたので、種目によってどんな動きをしてどこの筋肉や骨をよく使うかわかりますから、治療しながら適切な運動をアドバイスすることができます。体の正しい動かし方がわかるようになれば、予防にもつながっていくと思います。リハビリの際にはトレーニングセンターと連携をしています。
トレーニングセンターの機能と全体的な治療の流れについて教えてください。
当院と連携しているトレーニングセンターは広く、筋力トレーニングやストレッチを行い、10人の理学療法士がリハビリテーションやトレーニング時に専門的なアドバイスができる体制を整えています。また、手術が必要な場合は、同じ世田谷区内にある提携先の東京明日佳病院へ出向いて手術をしています。リハビリテーションの初期は日常生活を支障なく行えることをめざすメディカルリハビリテーションを行い、状態が良くなってきたらスポーツへの復帰をめざすトレーニングセンターを使ったアスレチックリハビリテーションに切り替えます。
体制を整えてさらなる充実をめざすリハビリテーション
先生ご自身もスポーツに親しんでこられたのですね。
子どもの頃からスポーツが好きでした。小さな頃からスキーやテニスに親しみ、中学、高校はサッカー部に所属していました。体を動かして汗を流すのは気持ちいいですし、試合などに向けて、毎日練習を積み重ねることで精神力も鍛えられるのが魅力です。一番の趣味はスキューバーダイビングですが、今はコロナ禍で出かけることができないのが残念ですね。多くの人にスポーツを長く続けてもらいたいという思いが高じて、スポーツ整形外科に対応していくクリニックを開院しました。整形外科の中でも専門的な分野ですから、都内でも専門にしているクリニックは多くないと思います。
今後の展望についてお聞かせください。
私が自ら手術をしていたり、トレーニングセンターと連携したりしているのは、「患者さんを最初から最後まで診療したい」という思いがあるからです。治療からリハビリ、トレーニングまでを一貫して行うことで痛みの改善のほか、ケガを再発させない体づくりをめざすことができます。開院当初は2人しかいなかったPTが10人まで増え、途中からアスレチックリハビリテーションも行うようになったことで、私のそうした思いを実現できる体制が徐々に整ってきたと思います。この体制をさらに固めていきながら、地域のさまざまな患者さんが来院しやすいクリニックであるためにどうすれば良いか、今後も模索していこうと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
当院のリハビリ施設や機器が「これで十分」だとは思っていません。できるだけ早く復帰するためのツールはまだたくさんありますから、そこをもっと充実させていきたいですね。患者さんの中には、症状があっても受診を先延ばしにしてかなり進行してから来られる方も多いようです。症状の発見が遅れれば遅れるほど、治療に時間がかかるものです。少しでも気になることがあれば、まずは、そのままでいいのか、治療が必要なのかだけでも確認しに来ていただきたいですね。