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齋藤 倫寛 院長の独自取材記事

さいとう医院

(小金井市/新小金井駅)

最終更新日:2026/08/12

齋藤倫寛院長 さいとう医院 main

西武多摩川線新小金井駅の目の前、静かな駅前の一角で長年にわたり地域医療を支えてきた「さいとう医院」。1959年の開院以来、世代を超えて通う患者も多い同院では、2026年6月に齋藤倫寛(みちひろ)先生が院長に就任した。大学病院や総合病院で約15年間、消化器内科、特に胆道・膵臓疾患の診療に携わってきた齋藤院長は、その専門性に加え、日本内科学会総合内科専門医として幅広い症状に向き合う。大切にしているのは、小児から高齢者までを診て、通院が難しくなれば在宅医療へつなぐ「切れ目のない医療」だ。父である齋藤寛和名誉院長が築いた地域との信頼や多職種連携の基盤を受け継ぎながら、新たな体制づくりに取り組む齋藤院長に、これまでの歩みと今後の展望を聞いた。

(取材日2026年7月17日)

専門性と総合力を備え、地域医療の道へ

医師を志した経緯とこれまでのご経歴を教えてください。

齋藤倫寛院長 さいとう医院1

父方の祖父、母方の祖父、そして父が開業医で、幼い頃から医療が身近にある環境で育ちました。地域の方が祖父や父に「いつもありがとうございます」と、声をかけている姿を日常的に目にし、人に感謝され、地域の暮らしを支えられる仕事はすばらしいと感じていました。そのため、進路を決める際も比較的自然に医師を志したように思います。大学卒業後は大学病院や総合病院に勤務し、約15年間にわたって消化器内科の診療に携わってきました。特に胆道・膵臓疾患を専門とし、内視鏡を用いた検査や治療、膵がんや胆道がんなどを抱える患者さんの診療を数多く経験しました。2026年6月に当院の院長に就任した現在は、これまで培った専門性を生かす一方、地域のかかりつけ医として、風邪や生活習慣病をはじめとする内科全般の相談に幅広く対応しています。

消化器内科を専門に選んだのはなぜですか?

大学を卒業して初期研修を始めた当初は、循環器内科を専門とする父と同じ道へ進むつもりでした。研修先の東邦大学医療センター大橋病院は循環器内科と消化器内科の双方に力を入れており、さまざまな診療科を経験する中で、次第に消化器内科の奥深さに惹かれていきました。また、将来父とともにこの医院を支える可能性を考えた時、2人の医師が同じ専門分野を持つよりも、異なる専門性を持ったほうが対応できる病気や症状の幅を広げられるとも考えました。母方の祖父が消化器内科医だったことも、進路を考える一つのきっかけになりました。中でも強く興味を持ったのが、胆のうや胆管、膵臓を診る胆膵領域です。診断や治療が難しい一方、医療技術が日々進歩している分野であり、そこに大きなやりがいを感じました。

大学病院での経験は現在の診療にどう生きていますか?

齋藤倫寛院長 さいとう医院2

母校の東邦大学では、「良き臨床医を育てる」という理念のもと、専門分野だけでなく、患者さんを一人の人として幅広く診る力を身につけることが重視されていました。当時所属した第三内科でも「まず内科医たれ」という考えがあり、消化器内科へ入局した後も、循環器内科や呼吸器内科などを一定期間ずつ経験しました。大学病院にいると、どうしても特定の臓器や病気に診療が偏りやすくなります。しかし、実際の患者さんは、複数の病気を抱えていたり、どの診療科に相談すればよいかわからない症状を訴えたりするものです。そのため、専門外の病気についても一定の知識を身につけ、全身を診る視点を持ち続けたいと考え、総合内科専門医の資格も取得しました。

地域の健康を支える「切れ目のない医療」

貴院の歴史と院長就任への思いをお聞かせください。

齋藤倫寛院長 さいとう医院3

当院の始まりは、母方の祖父が1959年に開院した「伊藤医院」です。その後、父の寛和が診療を引き継ぎ、2001年に現在の場所へ移転すると同時に、名称を「さいとう医院」へ変更しました。祖父の時代から数えると、60年以上にわたり地域の皆さんに支えていただいています。中には親子3代、4代にわたって通ってくださるご家族もいらっしゃり、患者さんから「おじいちゃんの頃から診てもらっています」と、言っていただくこともあります。私は2026年6月に院長に就任し、父は名誉院長となりました。父も体調が良い日には診療を担当しています。診療体制は変わりましたが、父が大切にしてきた診療姿勢や地域とのつながりは今後も変わりません。これまでの良い部分をしっかり受け継ぎながら、私の専門性や経験も加え、より安心して通っていただける医院にしたいと考えています。

先生がめざす「切れ目のない医療」とは、どのような医療ですか?

小さい頃から成人期、高齢期、そして人生の最終段階まで、一人の患者さんを長く継続して支える医療です。当院では、風邪などの身近な症状や予防接種で来院するお子さんから、生活習慣病のリスクを抱える世代、複数の病気を持つ高齢者まで幅広く診療しています。元気に通院できる時期だけでなく、高齢になって足腰が弱ったり、認知症が進んだりして、来院が難しくなった後も関係が途切れないようにしたいと考えています。必要になれば外来診療から在宅医療へ切り替え、住み慣れたご自宅での療養を支えていきます。当院だけで対応することが難しい病気については、地域の中核病院や専門医療機関へ速やかにつなぎ、治療後は再び地域で診療を受けられるよう連携します。

在宅医療にも力を入れているそうですね。

齋藤倫寛院長 さいとう医院4

当院を受診する患者さんの平均年齢は75歳ほどで、認知症や身体機能の低下が進み、どうしても一人では通院できなくなる方が増えています。そのため、在宅での診療も行っています。もちろん、在宅医療を専門とするクリニックへお願いする選択肢もありますが、患者さんの病歴や生活環境、ご家族との関係を長年把握しているかかりつけ医だからこそ、できる支援もあると考えています。また、がんの積極的な治療を終え、ご自宅で緩和ケアを受けたいと希望する方もいます。痛みやつらい症状を和らげながら、ご本人が望む場所で過ごせるよう支えていきたいです。

多職種と連携し、地域全体で患者を支える

地域包括ケアにおいて大切にしていることは何ですか?

齋藤倫寛院長 さいとう医院5

私たち医師が検査や治療に専念できるのは、そばで患者さんを見守る看護師やリハビリテーションを担う専門職、退院後の生活を調整するソーシャルワーカーなどがいるからです。医師だけで患者さんを支えようとするのではなく、医療・介護・福祉に関わるさまざまな職種が、それぞれの専門性を持ち寄ることが大切です。父は長年、小金井市医師会で地域医療連携の推進に携わり、ケアマネジャーや訪問看護師などが医師へ気軽に相談できる関係づくりに努めてきました。その影響もあり、小金井市は職種間の垣根が比較的低く、患者さんについて困ったことがあれば、互いに声をかけやすい地域だと感じています。父が築いてきた連携の基盤を大切にしながら、関係する皆さんがより円滑に情報を共有し、患者さんを地域全体で支えられる仕組みへ発展させたいと思っています。

現在の地域包括ケアに課題があるとしたら、どのような点だと思われますか?

小金井市は多職種同士の垣根が低く、比較的連携が進んでいる地域だと感じていますが、地域包括ケアの仕組みが完成しているわけではありません。課題の一つは、地域の診療所や訪問看護、介護事業所だけでなく、病院にも地域の支援体制へより深く加わってもらうことだと思います。入院中の治療と退院後の在宅生活が別々になってしまうと、患者さんやご家族は不安を感じます。病院と診療所が早い段階から情報を共有し、退院後の生活まで見据えて支援できれば、より切れ目のない医療につながります。

今後の展望をお聞かせください。

齋藤倫寛院長 さいとう医院6

外来と在宅医療の両方を充実させ、小児から高齢者まで、地域の皆さんが困った時に最初に相談できる体制を整えていきたいです。まず外来では、予約システムをより活用し、待ち時間の軽減や受診のしやすさにつなげたいと考えています。スマートフォンからの予約だけでなく、電話でも対応するなど、デジタル機器が苦手な方を取り残さないことも重要です。在宅診療については、現在、外来の合間や昼休みを利用して訪問することが多く、医師やスタッフへの負担も小さくありません。今後は非常勤医師に外来を担当してもらう時間を増やし、日中に余裕を持って訪問できる仕組みをつくりたいです。院長が変わっても、これまで通われていた患者さんが安心して受診でき、通院が難しくなった後も相談できる医院であり続けたいです。