白矢 勝一 院長の独自取材記事
白矢眼科医院
(小平市/小平駅)
最終更新日:2025/03/14

小平駅の近くにある「白矢眼科医院」を訪ねた。院長の白矢勝一先生は、白衣の下にのぞく色鮮やかなシャツとジーンズがトレードマーク。東京大学眼科に入局後、大宮赤十字病院(現・さいたま赤十字病院)や九段坂病院に医長として勤務し、さらに、東京女子医科大学病院で非常勤講師を20年以上務めた経験豊富なドクターだ。近年は日帰りで白内障などの手術もできるように手術室も増設。手術に使う機器なども先進の物を導入するなど設備の充実に力を入れる。眼科医として活躍しながらも、画家として個展を開いたり、敬愛する画家について考察した本を執筆するなど、自らの人生を謳歌しているという印象も受けた。そんな白矢先生に、地域で開業するまでの経歴や、日々の診療において大事にしていること、楽しく生きるための秘訣など、幅広く話を聞いた。
(取材日2025年2月1日)
患者を身近で支えるクリニックとして地域に貢献
先生は、農学部を卒業後に医師へキャリアチェンジをしたという経歴をお持ちなのですよね。

はい。もともとは東京大学理科II類に入学しましたが、当時は学生運動が盛んな時代。東大紛争が広がっていく中、勉強はあまりしていませんでした。でも最終的に農学部畜産獣医学科を卒業し、獣医師の免許を取得しました。それで、卒業後は製薬会社に入社し、薬局の人たちに薬について指導をする仕事を担当していたんです。でも、少し肌に合わないなと感じ、獣医師になりました。ただ、僕が担当していたのは牛などの大きな動物。牛が病気になると、治すというよりは、と殺場送りになることが多いのです。畜産農家にとっては経済的な問題もありますから、仕方のないことなのですが。だけど何だかがっくりしてしまって、改めて人を助ける医師をめざそうと思ったのです。
開業前はどのような経験を積んでこられたのですか?
島根大学医学部(旧・島根医科大学)を卒業後、東大眼科に入局し、博士号を取得するために動態薬理学の研究をしていました。具体的には、薬剤を目に入れるとどんなふうに目の中に広がっていくのかというような研究です。その一方、東京大学医学部附属病院をはじめ、大宮赤十字病院(現・さいたま赤十字病院)、九段坂病院などに勤務して一般の患者さんを診察したり、網膜症などの手術を行っていました。そんな中、自分なりの医療をやってみたいという気持ちが出てきて、1990年に開業したのです。患者さんにとっては、家から通える地域のクリニックで治せることが一番だと思います。当院にはお年寄りから子どもまで、さまざまな症状の患者さんが来院します。手術などが必要な場合は病院に紹介していますが、基本的には大学にいた頃と同じように診療していますし、どのような病気であっても、できるだけ当院で診ることができればと思っています。
患者さんはどのような主訴で来られることが多いのでしょうか?

眼病の症状はかすみ、充血、痛み、かゆみ、目やになどさまざまですが、一番多いのは視力の低下や視野が欠けるといったような“見えにくい”という状態ですね。特に怖いのは緑内障です。緑内障は高齢者に多く、進行性の視神経損傷を特徴としており、進行すると視野が狭くなっていき、最後は失明に至ることもある病気です。基本的に完治することはなく、進行をできるだけ遅らせることしか望めません。早期に発見できれば良いのですが、病状が進んでからですと、少しでも見えるように保っていくことをめざすというアプローチしかできません。同じように見えにくくなる病気で多いのが白内障です。
手術室も増設。患者の助けになれるのが喜び
最近は白内障の手術にも対応されているそうですね。

2023年の10月に手術室を増設し、当院で日帰りの白内障手術ができるようにしました。白内障手術はひと昔前と比べると格段に進歩しています。眼内レンズも以前はつまんで目の中に入れていましたが、今はチューブ状の器具を使って折りたたまれたものを入れ、中で広がるような仕組みです。そうなると極小切開で済みますから患者さんの負担軽減にもつながります。他にも検査装置や手術装置も進化しており、安全性を重視しつつ精密で効率的な手術ができるようになっています。当院では先進の白内障手術装置を使用して手術を行っております。白内障が著しく進行した状態で、手術の難易度が高いとされる難治性白内障についても対応可能です。また、遠近両用の多焦点レンズも扱っています。今では白内障の手術を希望して来られる患者さんも多いですね。
診察で心がけていることはありますか?
心がけているのは診断をできるだけ早くすることです。今は眼底カメラやOCT(光干渉断層計)などの検査機器が充実していますので、迅速にどんな病気か、どんな状態かを見極められます。早く診断して適切に伝えることで、患者さんの不安な時間も少なくなるでしょう。あと、病気によってかける言葉も変わりますが、患者さんは安心したいと思うので、「大丈夫ですよ」と治療に前向きになれるような話し方を意識しています。病気によっては治療が終わるまで時間がかかることもあるし、検査の際の写真なども見せながら、患者さんが理解できるようにきちんと説明するように心がけています。
眼科の医師という仕事はどこにやりがいを感じますか?

やはり患者さんの症状が改善につながったときです。例えば、緑内障の患者さんだと、目が見えなくなって痛くなるばかりか、発作を起こすこともあるのですが、それは本人にとってはものすごくつらいことなんです。原因を突き止めて治療することができた時の患者さんの喜ぶ姿を見られたときが、医師として一番うれしいです。獣医師から医師をめざすことにしたのも人を助ける仕事をしたいと思ったからですしね。また、結膜炎とか1度の治療で完結する病気もありますが、緑内障や網膜症の人は定期的に通院してもらう必要がありますから、そういった人たちに丁寧に説明をして、その必要性を理解していただいて、いい状態に保つよう図ることもやりがいの一つです。
仕事や趣味を楽しむため、自分の体のケアも習慣に
プライベートはどのように過ごされていますか?

油絵に写真、音楽はギターとドラムをやっています。油絵は、母が私を画家にさせたかったようで、小学生の頃から描いていました。当院の中にアトリエを併設しており、そこで描いています。2014年と2018年には新宿で個展も開催させていただきました。最近は人物画を描くことが多いです。とある画家の研究も行い、本も出版しています。音楽などはプロに教わって、練習しています。バンドを組んで院内のアートスペースで定期的に演奏会みたいなこともやっていて、患者さんも聞きに来てくれるんです。仲間と一緒にやるので、楽しいですね。趣味以外だと、最近はSNSにはまっているんですよ。SNSで良くも悪くも世の中が変化していくのを見てすごいなあと感じています。あと、音声でコミュニケーションできるSNSもありますよね。あれで、仲間ができまして、たまにオフ会もするんです。たわいない話をしてご飯を食べるだけなのですが楽しいですね。
仕事も趣味も楽しんでいる印象ですが、元気に過ごすため日々心がけていることはなんですか?
朝起きたら、まず体操をするようにしていますね、それが終わったら立ちクロール、スクワット、腕立て、腹筋などを50回ずつ行います。合計15分ぐらいの運動ですが、自分の体のことは自分でケアしていかないといけないので、欠かさず続けるようにしています。あとは、スキンケアも必ずするようにしています。他にはサプリメントも飲んでいますし、睡眠をしっかり取ることも心がけています、最低でも7時間は寝るようにしていますよ。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

先ほどもお話しさせてもらいましたが、白内障は手術の選択肢がある病気です。手術を怖がる人もいますが、手術装置の精度もどんどん上がってきていて、切開も極小で済むようになってきていますので、違和感があれば一度、検査に来ていただきたいです。同様に緑内障も早期発見であればあるほど、進行を遅らせることがめざしやすいです。1年に1回ぐらいで構いませんので、高齢の方ほど定期検診を受けていただきたいですね。壮年の方も緑内障には注意が必要です。40代を超える20人に1人が発症しているともいわれますので、40代を迎えたら一度検査を受けることをお勧めします。生きている限り、見えているようにしてあげたいというのが私の願いです。
自由診療費用の目安
自由診療とは白内障手術時の多焦点眼内レンズ(片目)/30万円