骨粗しょう症治療とロコモ予防の重要性
健康寿命を延ばす秘策とは
西野整形外科
(小平市/花小金井駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
西野敏温院長が疾患の治療とともに整形外科の大きな使命として捉えているのが、「運動器で健康寿命を延ばすこと」だ。現在、日本人の平均寿命は世界的にトップクラスだが、健康寿命とは約10年の差がある。この10年間は、健康上の問題で支援や介護が必要の期間であり、いかに健康寿命を延ばし、この差を縮めるかが大きな課題となっている。「要介護や要支援の原因で最も多いのが骨、関節、筋肉や腱といった運動器の障害です。最近では、ロコモティブシンドロームという概念も生まれており、健康寿命を延ばすため、運動器の機能維持・回復が注目を集めています」と話す西野院長。「西野整形外科」での取り組みについて話を聞いた。
(取材日 2017年3月15日)
目次
運動器の機能低下が寝たきりや要介護を引き起こす。早期の治療と機能回復が大切
- Q健康寿命を延ばすために大切なことはどんなことですか?
-
A
▲「運動器で健康寿命を延ばすこと」が重要と語る西野院長
健康寿命を延ばすためにはまず、骨や筋肉、腱、神経などの運動器の機能維持や回復が重要となります。2007年に日本整形外科学会では、運動器の機能障害によって、立つ、歩くといった移動機能が低下した状態を指す「ロコモティブシンドローム」略して「ロコモ」という概念を提唱しました。このロコモを起こす代表的な疾患は、骨粗しょう症、変形性膝関節症、腰部脊柱管狭窄症などです。中でも骨粗しょう症は、骨折を起こしやすく、特に太ももの付け根の部分である大腿骨頸部の骨折は、移動機能を低下させるだけでなく、寝たきりや生命予後にも大きな影響を与えてしまいます。ロコモの予防という観点からも骨粗しょう症はとても重要な疾患です。
- Qその骨粗しょう症はどのように治療を行うのでしょうか。
-
A
▲自覚症状がない骨粗しょう症には、早期検査・早期発見が重要
骨粗しょう症は骨の強度が低下して骨折のリスクが高まる病気です。初期の頃はほとんど症状がないので、早い段階で発見し、骨折を起こす前に治療を開始することが大切です。背中や腰が曲がってきた人、背が2センチ以上低くなった人、糖尿病や脂質代謝異常のある人、女性であれば閉経後の人は、骨密度や脊椎のレントゲン、血液検査による骨代謝マーカー、カルシウム濃度などの検査が必要です。検査の結果、骨粗しょう症と診断された場合は、薬、食事、運動療法によって治療します。薬には骨代謝を改善させるものや骨の質そのものを改善するものなどがあり、患者さんの症状に合わせて処方します。また食事と運動療法についても詳しく指導します。
- Q治療の進捗がわかりにくく、継続の意思が薄れてしまいませんか?
-
A
▲院長のみならず、スタッフも専門的な知識を持って教えてくれる
骨粗しょう症の治療は自覚症状があまりないため、治療のモチベーションが下がって途中でやめてしまう人も多いですね。長く続けるために、まず治療の重要性を説明しています。治療中は、半年ごとに骨密度検査や血液の骨代謝マーカー値を調べて改善効果を示しています。骨密度検査も、より精度が高く、変化がわかりやすいよう腰椎と大腿骨頸部で計測しており、そのデータをお見せしています。また骨折リスクの高い人に対しては、骨折の定期的な評価予防などが行えるよう、看護師や理学療法士には骨粗しょう症について専門的な知識を身に付けてもらい、医師とのリエゾンサービス(連絡係り)ができるよう準備しています。
- Q「ロコモ」についても詳しく教えてください。
-
A
▲ロコモを防ぐためにも外に出かけることは重要
ロコモは、運動器の障害によって、立つ、歩く、走る、座るといった日常生活に必要な移動機能が低下した状態です。その始まりは、単に筋力の低下、骨量の低下といったことです。筋肉の量や骨量は20~30代がピークで年齢とともに自然と低下していきます。適度な運動や日常生活で刺激を与えないと、減少に拍車がかかります。それがやがては骨粗しょう症や変形性関節症になり、腰痛、ひざ痛を引き起こし、転倒、骨折、歩行障害となり、最後は寝たきり、要支援、要介護状態となってしまうのです。ですので、ご高齢の方は、少しでも早くロコモになっているかどうかを知っていただいて、その危険性があればすぐに予防に取り組むことが重要です。
- Qでは具体的にどんなことをするのでしょうか?
-
A
▲理学療法士を中心に適切な指導やわかりやすい説明が受けられる
まずロコモの状態を把握するために、『ロコチェック』と『ロコモ度テスト』を行います。『ロコチェック』は、片脚で靴下がはけるかどうかなどの簡単なチェックで、『ロコモ度テスト』は立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25という3つのテストです。結果、ロコモが始まっている人には、ロコモーショントレーニングを習慣付けるとともに食事の指導も行います。移動機能の低下が進んでいる人には、原因疾患の治療とともに運動療法や生活指導、食事療法なども合わせて行います。重要なのは、これらを途中でやめずに継続することです。当クリニックでは理学療法士が運動継続の重要性について随時説明しています。