腎臓病や透析患者を支えるチーム医療
多角的な視点からサポート
小平北口クリニック
(小平市/小平駅)
最終更新日:2022/02/02


- 保険診療
透析治療だけでなく、内科、腎臓内科など、総合的な腎臓病診療を行う「小平北口クリニック」は、院長の小澤尚先生とともに、看護師や栄養士など、多職種がチームとなり患者を支えている。腎臓の治療は、透析を含め一生涯継続しなければならない。病気の状態やメンタル面、そして家族との関わりなど患者の生活背景は時間の経過とともに変化していく。同時に、治療技術も年々進歩している。そのときどきに何が必要なのか、どういった取り組みをすべきなのか、スタッフは常に切磋琢磨し、職種ごとの勉強会や他の部署との連携など、横のつながりを意識して患者の治療に生かしている。院内で実際にどのように患者を支えているのか、小澤院長や看護師の海津さんと白石さん、そして栄養士の松田さんと水野さんに話を聞いた。
(取材日2021年12月3日)
目次
多職種との連携で、患者のQOL向上をめざす
- Qこちらのクリニックの特徴をご紹介ください。
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A
▲患者に親身に寄り添う小澤院長
【小澤院長】透析治療だけでなく、内科や腎臓内科の診療を行っています。腎臓病の患者さんは、自分の体が今後どうなるのか、病気に対する不安や、家族との関わり、また、独居や認知症の進行など、年齢とともにさまざまな問題点が出てきます。こうした不安が少しでも解消できるよう、医師や看護師、栄養士、臨床工学技士、理学療法士やソーシャルワーカーなどがチームを組んで、患者さんの生活を支え、QOLの向上を行っています。
- Q栄養指導ではどのような取り組みを行っているのでしょうか。
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A
▲患者の生活を考えた提案でサポート
【松田さん】食事は生活の一部です。特に腎臓病の方は一生にわたって食事療法を続けなければならないので、長期的な視点で患者さんができることからアドバイスしています。患者さんの意志を尊重し、「これならできそうだ」と話してくれそうな、具体的な工夫の仕方を提案するようにしています。 【水野さん】こちらから提案しても、患者さんが納得しなければ継続が難しくなるので、患者さんができそうなことや、ここは変えることができるという部分を一緒に見つけていくようにしています。
- Q看護師としての取り組みや心がけていることはありますか?
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A
▲他の職種とコミュニケーションを取りながら治療に携わる
【海津さん】患者さん自身の人生を尊重し、話をしっかりと聞いて、患者さん自ら話してもらえるように心がけています。当院の看護師は10年以上勤務するベテラン看護師ばかりなので、それぞれが患者さんの悩みにアドバイスしていますが、それでも治療や仕事、家族の間で問題があるという場合は、他職種からの意見も聞き、問題解決に取り組んでいます。 【白石さん】腎臓の働きが低下し、透析治療が必要となったとき、受け入れることに時間のかかる方もいらっしゃいます。患者さんやご家族がどのような不安があるのか、その気持ちを受け止め、患者さんに合った治療法を医師や栄養士とともに話し合いながら関わるようにしています。
- Q多職種との連携によりどのようなメリットがありますか?
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A
▲多職種のスタッフがチームとして患者を迎え入れる
【松田さん】栄養指導の面から言うと、医師からその方の医療情報を受け、看護師から生活の状況や具体的な様子を聞くことで、患者さんの食生活のイメージがしやすくなります。また、栄養指導中に、患者さんが「薬は飲めている」と言っていても、実際には飲めていないことがわかるときもあります。その場合は看護師や医師にフィードバックし、薬の量を増やすのではなく適切に飲めるようフォローしていただいています。適切な指導を行い、治療の成果を上げるためにも、他の職種の方たちとの連携は重要ですね。
- Q院内の連携を図るための取り組みについて教えてください。
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A
▲積極的な意見交換が、チーム医療の質を高める
【海津さん】月に2回行うカンファレンスや検討会では、患者さんと関わっているすべての職種が参加し、ベッドサイドで解決できない問題を話し合っています。独居や認知症などで通院できないなど高齢化に伴う問題も多く、その場で問題解決のための意見交換を行っています。 【小澤院長】突出した専門職を作り出すのではなく、組織全体が一体感を持てる形にしていくのが理想だと思っています。1人のスターではなく、全員が成長していける雰囲気づくりが大切であり、それが患者さんをチームで支えることにつながっていると思います。