木村 裕幸 院長の独自取材記事
みなみ野レディースクリニック
(八王子市/八王子みなみ野駅)
最終更新日:2024/08/20

八王子みなみ野駅から徒歩5分ほど、大通り沿いのクリニックモールにある「みなみ野レディースクリニック」を訪ねた。院長の木村裕幸先生は、2004年に同院を開業。産婦人科の一般診療を中心に不妊治療にも力を入れている。「妊娠・出産だけでなく、女性のライフステージに合わせて相談してもらえるクリニックでありたいと思っています」と木村先生。同院には、更年期や思春期の悩み、がん検診、漢方の処方など幅広い相談があるという。木村先生に患者への思いや、強みであるホルモン療法や漢方診療、不妊治療などについて広く話を聞いた。
(取材日2024年3月28日)
不妊治療の相談を中心に、女性の悩みに幅広く対応
待合室が広々としていて居心地が良いですね。

中待合を造らず、待合室と診察室を分けて、完全に仕切られた状態で診療ができるようにしました。2人目、3人目の出産を考えたときに、お子さんと一緒に気軽に通えるように、清潔感や居心地の良さを感じられる内装にしています。待合室のソファーは医療機関用ではなく、あえてリビングに置くようなリラックスできるものを選びました。ふかふかで気持ちが良いととても好評です。スタッフも患者さんのご要望をよく聞いて臨機応変に対応してくれているので、心強いですね。院内の絵画は、当院の患者さんが描かれたもので、個展の合間に飾ってもらえないかと申し出てくださり、飾らせていただいています。当院ではこうした環境面に加え、患者さんに寄り添うことを大切にしています。
どのような患者さんが来院されますか?
八王子市内はもちろん、相模原など神奈川方面からも来院されますし、山梨から来院している方もいます。標榜する内科と産婦人科のうち、割合としては産婦人科、中でも、私の専門分野である不妊治療にいらっしゃる方が多いです。また、更年期の診断や治療で通院する方、プレ更年期と呼ばれる40歳前後の方、子宮筋腫や子宮内膜症、月経に伴う苦痛がある方、月経不順のご相談などさまざまです。更年期の相談で来院した患者さんの中には、血圧やコレステロール値が気になるというお悩みをお持ちの方もいるので、そういう場合は産婦人科の症状だけでなく、内科の症状も診ることが可能です。そのほか、妊娠を望んでいる女性にとって喫煙は大きな問題なので、不妊治療に入る前に禁煙指導をする場合もあります。
スマートフォンで使う体温管理アプリケーションを導入されたそうですね。

はい。体外受精とは違って、タイミング法や人工授精といった一般の不妊治療では、基礎体温表をつけることが大事です。ですので、少し面倒に感じられるかもしれませんが、妊娠を希望される方には必ずつけていただきたいのです。ただ、手書きで毎日記入するのはハードルが高いので、スマートフォンのアプリケーションを活用することにしました。妊婦さんがスマートフォンで入力したデータをクリニックのパソコンでも確認できるよう連携させることで、診療時の確認もスムーズになりました。
漢方診療やホルモン療法も強み
漢方診療を行っているのも特徴の一つですね。

産婦人科の医師で、漢方の専門家でもある村田高明先生に来てもらっています。私自身も日本東洋医学会漢方専門医の資格を持っていますが、より経験豊富な先生に来てもらえると患者さんも安心だと思いお願いしています。漢方がどのような患者さんにお勧めかはケースバイケースですが、例えば更年期のような不定愁訴、精神的な症状、自律神経の失調状態などの症状に対して行うことが多いですね。また皮膚のトラブルに対してや、更年期障害のホルモン補充療法と併用することもあります。いずれにせよ、産婦人科の医師が必要に応じて内診や超音波検査を併用しながら、漢方薬の処方を行っているのが当院の特徴であり、良さだと考えています。
他に得意とされている治療はありますか?
月経困難症に対するホルモン療法にも力を入れています。私が開業した頃は月経困難症の治療というと自費のピルしかなかったのですが、その後、ピルが保険適用となり、さらに、ジエノゲストという黄体ホルモン製剤が出てきて、治療の選択肢が一挙に広がりました。現在は、自費と保険のピル、黄体ホルモン製剤の3種類を使って治療を行っています。また、更年期障害に使われるホルモン製剤には、飲み薬、貼り薬、塗り薬の3つがあります。いろいろな薬を使って対応し、漢方薬も併用しています。薬はどのくらいの期間飲めばいいのかよく聞かれますが、更年期の症状は、閉経前から閉経後の女性ホルモンがガクンと下がる時期に出るので、症状が落ち着けばいつやめても構いません。具合が悪くなったら再開しても大丈夫です。
若い世代ではどのような目的でホルモン療法が行われるのでしょうか。

20〜30代の若い世代の場合、避妊目的以外にも、月経困難症、過多月経などでピルを使ったり黄体ホルモン製剤を使ったりします。例えば月経に伴う不調があると、仕事や生活上困ることが多いので、ホルモン療法でコントロールが図れるメリットは大きいですね。特に黄体ホルモン製剤は体に合いやすく、長期に継続している方が多いです。妊娠を希望する段階で服薬をやめることも可能です。ホルモン療法は初潮後から行うことができるので、思春期の生理痛の治療でも行います。成長期でもある中学生の頃まではかなり慎重に行いますが、最初から長期に行う治療と考える必要はなく、服用して合わなかったらいつやめても大丈夫です。
不妊治療の方針を教えてください。
まずは排卵日を予測して性交を持っていただくタイミング法で様子を見ます。それで難しいようなら、人工授精にステップアップするという流れになります。クリニックによってはタイミング法のみというところもあると思いますが、当院では人工授精まで対応しています。ただ、不妊治療については男性が検査や治療に参加する割合はまだ低いですね。昔に比べたら、増えているとは思いますが……。当院では男性の診察を行っているわけではありませんが、精液検査は積極的に行っています。ご本人が来院されなくても女性を通じて検査は可能なので、男性にも協力していただくことが大切だと考えています。
ライフステージに合わせた適切な治療を
医師をめざした理由を教えてください。

親は会社員だったので、逆に自分の技術や考えを生かした仕事をしたいという思いがあり、医学部か法学部に進学しようと考えていました。迷った挙げ句医学部を選んだという感じです。産婦人科を選んだのは、2人の先生の存在が大きな決め手となりました。1人は当時の産婦人科助教授の諸橋侃先生。自分が所属していた籠球部の部長で、大会に来てくださったり、熱心にご指導くださったりと、お世話になりました。もう1人は当時産婦人科に入局した際に教授だった飯塚理八先生。不妊治療の専門家で、仲人もしていただきました。産婦人科は命の誕生からがん患者さんのケアまで、人の人生をトータルで診ることができる科であるというところに大きなやりがいを感じましたね。
診療において大事にしていることは何ですか?
正確な診断を心がけることです。そのためには検査をしっかり行い、診断に関しては大きな病院と同様の診断を行っていきたいと考えています。そして手術が必要な場合には、信頼できる病院をご紹介するなど、スムーズな連携体制を整えています。また、患者さんの話をよく聞くようにしていますね。「前はこうだったからもう少し様子を見て」ということではなく、今目の前にいる患者さんの訴えに、真摯に耳を傾けることを大事にしています。
今後の展望をお聞かせください。

オンライン診療を通して女性の健康課題の改善を提案する企業と契約し、企業で働く人のオンライン診療を始めました。今はまだ限定的ではありますが、これをきっかけに、今後は一般の方向けにもオンライン診療を行いたいと考えています。対面での診察は必要ですが、間にオンライン診療を挟むことで通院回数を大幅に減らすことも可能です。これからも当院は、女性のライフステージごとに生じる悩みに応えられる場所でありたいと考えています。体調不良の背景には、ホルモンやストレスなどさまざまなことが関係していますが、それらを総合的に診療できるのが婦人科の良さだと思います。また、当院は、保険のピルが9種類、ジエノゲストが0.5mgと1.0mgの2種類を、すべて院内処方で出しています。つらい症状は我慢せずにぜひ気軽に相談してください。
自由診療費用の目安
自由診療とは精液検査/3500円(税込)
避妊用ピル/3600円(税込)
※詳細はクリニックにお問い合わせください。