自分と家族のためにも
「二十歳になったらピロリ菌チェック」を
おなかクリニック
(八王子市/八王子駅)
最終更新日:2023/10/13


- 自由診療
胃と大腸の内視鏡検査や痔の日帰り手術など、おなかに関係する病気の診療に専門的に取り組んでいる「おなかクリニック」では、2014年より開院10周年の社会貢献事業として、胃がん撲滅キャンペーン「二十歳のピロリ菌チェック」を展開している。自治体の胃がん検診は40歳からが対象だが、このキャンペーンは検診に焦点をあてるのではなく、胃がんの原因となるピロリ菌を除去することにより、次世代への感染を防ぐことと、将来の胃がん予防につなげることにあるという。今回は講演会での情報発信や大学での採尿キットの配布など、精力的に活動を続けてきた村井隆三院長に、具体的なキャンペーンの内容や検査の流れについて詳しく話を聞いてみた。
(取材日2023年2月14日)
目次
早期発見・治療よりも原因を撲滅することが胃がん予防に。タイミングは体力も十分な「二十歳」を推奨
- Q「二十歳のピロリ菌チェック」とはどんな運動ですか?
-
A
▲次世代にピロリ菌を引き継がないことが大切だと語る村井院長
「二十歳のピロリ菌チェック」は、胃がんになる原因を取り除こうという運動です。胃がん検診は40歳以上が対象で、早期発見・早期治療が根本の考え方です。当院でも胃の内視鏡検診を積極的に行っていますが、発見したときにはすでに手遅れで手術ができないという患者さんもいらっしゃいます。それなら原因となるピロリ菌の検査と除菌こそが一番の予防につながると考え、体力的にも十分な二十歳が、検査のタイミングとして最適だろうと考えました。また、次世代への感染を防ぐためにも若いお母さん方には、妊娠前に検査を受けてもらいたいですね。自分の胃がんのリスクを減らすことは、子どもたちへの感染を防ぐことにもつながるからです。
- Qピロリ菌はどんな細菌なのでしょうか。
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A
▲幅広い世代の患者を受け入れるべく、検査体制を整えている
ピロリ菌は胃の粘膜に生息しており、正式名称をヘリコバクター・ピロリと言います。螺旋型で一方にべん毛と呼ばれるヘリコプターの羽のようなものがついているのが特徴で、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんを引き起こすとされています。胃がんの原因のほとんどはピロリ菌だということもわかっています。ピロリ菌がどこで生息しているのかということはまだ解明されていませんが、胃酸の分泌が十分でない5歳くらいまでの子どもが経口感染すると言われています。また両親や祖父母、きょうだい同士での感染も確認されていて、下水道の普及率とピロリ菌の感染率は反比例していることから、生まれ育った生活環境が起因していることが推測できます。
- Q検査方法に尿中抗体検査を選んだ理由は何ですか?
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A
▲病気の早期発見のため、検査をより身近なものにしてほしいという
ピロリ菌の検査は大きく分けて、内視鏡を使用する検査とそうでない検査の2つです。内視鏡を使用しない検査では、血液や尿からピロリ菌の抗体を調べる「抗体測定」、薬を飲んで吐く息からピロリ菌の反応を見る「尿素呼気試験」、便の中にピロリ菌の抗原がないかを調べる「便中抗原測定」があります。その中で尿中抗体検査を選んだのは、簡単にできるということと、本人の尿さえあればご家族が持ち込んでも検査ができるというようなメリットがあるからです。
- Q具体的な検査の流れを教えてください。
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A
▲採尿キットを、大学の文化祭やNPOフェスティバルなどでも配布
採尿キットは当院や医療機関の受付、市民公開講座の会場などで配布しています。また、胃がんで手術をされた方のご家族にも、外科の先生方から検査を勧めていただいております。キットの中には「結果通知の返信用封筒」「採尿カップ」「検査の申込書」などが入っていて、採取した尿を試験管に入れ、名前を書いたラベルを貼り、返信用封筒に自分宛の住所を記載して協力医療機関に持ってきていただきます。検査自体は自由診療となります。結果は約2週間で通知します。多くの方に検査を受けていただきたいため、診察をなくして結果を郵送で知らせることでコスト削減につなげました。
- Q除菌治療はどのように行われるのですか?
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A
▲検査時の患者の負担を軽減することにも力を入れる
現在の健康保険診療では、まず胃の内視鏡検査を受けてもらい、胃がんなどの重大な病気がないことを確認してから除菌治療を行います。胃酸を抑えるための薬と、クラリスロマイシン、ABPCというペニシリン系の抗生剤2種類を、1日2回、朝と晩に飲み、1週間続けていただきます。まれにじんましんや下痢、むかむかする、味が苦く感じるといった副作用が表れる場合もあります。飲み終わってから1ヵ月後に再検査をしてピロリ菌の有無を確認します。まれに、正しい数値がでないこともあるので、1年後には再度検査を受けたほうが安心だと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは尿中ピロリ菌抗体検査/2200円~3300円