春日井 啓悦 院長の独自取材記事
さくら通りクリニック
(国立市/矢川駅)
最終更新日:2024/07/03

JR南武線矢川駅北口より徒歩6分、美しい桜並木が続くさくら通り沿いに建つ「さくら通りクリニック」。院長の春日井啓悦(かすがい・ひろよし)先生は、地域のかかりつけ医として高血圧や糖尿病をはじめ幅広い疾患に対応。最近では、自身の経験から睡眠時無呼吸症候群の検査・治療にも力を注ぐ。また、「患者さんが抱える心の荷物を、1つでも当院に置いて行ってもらえたら」と話し、患者が気兼ねなく相談できる雰囲気づくりに努める。温厚な人柄がにじみ出た、とびきりの笑顔が印象的な春日井院長に、クリニックの特徴や診療への想いを聞いた。
(2024年3月12日)
「患者が平均的寿命まで元気に歩けること」を目標に
開業17年目を迎えられました。クリニックの成り立ちや院内のこだわりについて、お聞かせいただけますか?

複数の病院に勤めて経験を重ねていく中で、今後どう診療していくかを考えた末、開業を決意しました。40代半ばの頃ですね。当時勤務していた相模原、住まいのあった立川など開業地の候補はいろいろありましたが、家族のライフスタイルとの兼ね合いも考えて、国立での開業を選択しました。大きな看板を立てなくても、車で走っているときに「あそこにクリニックがある」と気づいてもらえるよう、大通り沿いを選んだんです。今はバリアフリーの医院も多いですが、当院はあえてエントランスに数段の段差を設けています。院内に入る際も、上がり框で靴を脱いでスリッパに履き替えてもらっています。衛生上の問題もありますが、一番の理由は、高齢の患者さんに、それくらいの動作はいつまでもできるよう健康を保っていてほしいから。日常の中ですべてが便利になりすぎたら人は動かなくなってしまう。そうならないようにしてほしい、との思いを込めているんです。
患者層はいかがでしょうか?
幅広い年代の患者さんが来院されますが、その中でも60歳以上の方が多いでしょうか。ただ、皆さん実年齢よりかなり若々しいですよ。一方で、開業17年目になり、開業当時60代だった患者さんが現在は70~80代。開業当時は良かれと思ってやったことが、もしかしたら独りよがりだったかもしれないとも感じるようになりました。例えば待合室のソファーは大きくゆったりとして座り心地はいいけれど、高齢の方は一度座ってしまうと立ち上がりにくい。患者さんのニーズや本当に必要とするものは時とともに変わっていきますから、それをしっかりと感じ取り、どんどんいい方向にアップデートしていきたいと考えています。
どのような診療を行っているのでしょうか?

専門は循環器内科なので高血圧など慢性疾患を診ることが多いですが、内科全般の診療にも対応しています。また、発熱専門の外来も行っています。狭心症や不整脈の疑いがあり治療が必要な場合は、患者さんを抱え込まず、専門の大規模病院に紹介しています。他の慢性疾患でも糖尿病でも、専門的な治療が受けられるよう、道先案内人のような役目を担えればと思っています。平時のところは私が診て、専門的な治療は専門家に任せるという役割分担ができたら、それが患者さんにとってより安心できると思うからです。ある程度治療の方向性がついて往診が必要となれば、往診を行うことも可能です。患者さんの日常の中で、医療者としての必要な知識や助言をお伝えできればいいなと思っています。また、「患者さんが平均的寿命まで歩いて生活できるようサポートする」というのが、私の目標です。どんなふうに過ごしたらそれがかなうのか、模索しています。
睡眠時無呼吸症候群の検査・治療にも注力
どのような相談が多いですか?

症状に関することはもちろん、それ以外では、例えば「体が痛くて整形外科に行ったけれども、何を言われたのかよく理解できなかった。悩みが解消されない」とおっしゃる患者さんが時々います。もし患者さんから「他院の先生の言ってることがわからない」と言われたときは、「こんなふうに先生に聞いてみたらどう?」「自分が話したいことをメモに書いていったらいいよ」などアドバイスしています。患者さんはいざ診察室に入ると、緊張して症状をうまく説明できないこともあるんですよね。医師にとっても診療しやすいよう些細な準備をしていただくだけで、結果的に患者さんも満足できるような治療につながると思います。ですので、他院の先生との橋渡しのようなことをして、患者さんが医療に対して心配事を抱えないよう、少しでも解消できたらいいなと思っています。
患者さんに接する上で心がけていることは何ですか?
患者さんが本当に聞きたいことを何でも聞けるような、気楽に話してもらえるような雰囲気づくりを心がけています。患者さんはさまざまな想いを抱えて来られるので、心の荷物を1つでも当院に置いて行ってもらえればいいなと。例えば血圧のことで来院したけれど、生活上の困り事があって、医師に話したらすっきりすることってあると思うんです。それを話してもらえるように、まずはじっくりとお話を聞き、いくつか困り事があったとしたらそれを並べてもらって、その中で何が一番心配なの?とさらに聞いていった上で、私の考えを話すようにしています。患者さんに「相談して良かった」と思ってもらえたなら、これほどうれしいことはありません。
最近、新たに始められた診療があると伺いました。

はい、睡眠時無呼吸症候群の診療をスタートしました。きっかけは私自身が家族に指摘されて、後回しにしていた検査を受けたこと。「完全に睡眠時無呼吸症候群です」と診断されて、CPAP(持続陽圧呼吸療法)を始め、治療の重要性を実感しました。当院でも睡眠時無呼吸症候群の検査やCPAP療法に対応しており、治療によって、よく眠れるようになることや日中のパフォーマンス向上が見込めます。困っている方はたくさんいると思いますし、年齢のせいにして諦めている方も多いと思いますので、今後も力を入れていきたいと考えています。
一人でも多くの患者が笑って帰る姿を見たい
医師としてやりがいを感じる瞬間を教えてください。

クリニックに来てくれた患者さんが1人でも多く笑って帰る姿を見ることですかね。「その日が患者さんにとって良い日であったかな」「困ったことがなくなったかな」と日々考えて診療にあたっています。私にそこまで大きな力があるわけではないですが、クリニックに来てくれた患者さんが少しでも気持ちが楽になってもらえると、やはりこちらもうれしいです。病気で困っている方を助けるために、医師は存在しています。でもその一方、来院してくださる患者さんに支えられているし、その方々に医師として育ててもらったとも感じています。
最近の楽しみについて教えてください。
猫と遊ぶことですね。もしかしたら私が遊んでもらっているほうかもしれませんが(笑)。わが家に猫が来てもう4年くらいになりますが、猫が来てから、家族の会話が増えました。家族それぞれ違う方向を向いてたのが、猫が来てくれたおかげで、みんなで面倒を見るようになって、家族それぞれが役割を持つようにもなりましたね。「猫は人をつなげる力があるんだな」と思っています。これまでペットを飼ったことがなかったのですが、飼ってみてそう思いましたし、自分も人々をつなぐ架け橋になれたら良いなと思いますね。猫と遊んでいると癒やされるので、ゴルフに行くこともせず、一緒に遊んで楽しい時間を過ごしています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

具体的なことはまだ考え中ですが、今後は高齢の方の体力を増進させられるような取り組みができたらと思っています。自分の体をいい状態に維持するのは、医師ではなく自分自身。元気でいるための努力をする責任は本人にあり、そのお手伝いをするのが医師だと私は考えます。だからこそ、気軽に相談できる医師を探してほしいと思います。クリニックに来ていただければ、何かお役に立てることや、お手伝いができるかもしれませんから。そして「痛い」「かゆい」といった体の症状があるときは、友達などとの会話の中で納得してしまうのではなく、専門家に話を聞きましょう。また、内科を受診する方の中には、「どこにかかったらいいかわからない」という方が多くおられます。「この場合は、ここに相談するといい」といった道しるべのような役割を果たすのが地域の内科医である私の役目だと思っていますので、何でも気兼ねなく話しに来てくださいね。