高野 悟 院長、高野 茉友 副院長の独自取材記事
アベニュー歯科クリニック大泉学園
(練馬区/大泉学園駅)
最終更新日:2025/08/18

西武池袋線・大泉学園駅から徒歩6分。「アベニュー歯科クリニック大泉学園」は、虫歯や歯周病を未然に防ぐための予防歯科を中心に診療を提供している。高野悟院長は主に成人の治療を担当。歯が悪くなったそもそもの原因を捉えた上で再発予防も見据えた治療を行い、健康な口腔環境の維持をめざす。小児歯科を専門とする妻の高野茉友副院長はMFT(口腔筋機能療法)に力を入れる。今回は2人に、同院での取り組みや診療への思いについて語ってもらった。
(取材日2025年5月27日)
「予防」をベースにした歯科診療で患者の歯を守る
こちらのクリニックの診療方針を伺います。

【悟院長】虫歯や歯周病を未然に防ぐための予防歯科をベースにしています。治療を行う機会をできるだけ減らし、メンテナンスだけで患者さんの歯を守っていくことが理想です。歯科治療は一般的には「歯を治す」と言いますが、実際は削って詰めてを繰り返すほどに歯の寿命は縮んでしまいます。その現実の前に、対症療法ベースで削って詰めてを繰り返す状況をどうにかして打破できないかと、長年悩んできました。転機になったのは、2018年4月に予防歯科に精通した先生の講習を受けたことです。そこから、予防歯科の要となる歯科衛生士と話し合って診療の流れを変え、虫歯になった箇所に対処するだけの従来の歯科治療ではなく、虫歯や歯周病になった原因を調べ未然に防ぐことをめざす治療を始めました。手探りでのスタートでしたが、徐々に基盤が盤石になり、患者さんも予防目的で来られる方が増えてきたと感じています。
診療の流れはどのようなものになりますか?
【悟院長】初診時にはまず、歯科衛生士が患者さんの来院理由などを尋ねるとともに、お口の情報を集めるための検査を行います。エックス線写真撮影の他、歯周病に罹患していないかを調べるために歯周ポケットの長さを測定し、口の中の写真を十数枚にわたって撮影をしたり、唾液の質を調べる検査も行います。必要に応じて私が応急処置を行うこともありますが、虫歯や歯周病の予防に大切なのは、患者さんの口が全体的にどうなっているのかを客観的に把握することです。その上で、その方が今後どうしていけば病気にならないで済むかをお話ししていきます。自分のお口の中の状態を理解してもらうとともに、歯周病の進み具合をイメージしてもらえるように、検査結果は写真や図、グラフなどを用いて患者さんにも見えるようにしています。
部分矯正など、成人を対象とした噛み合わせの調整にも力を入れているとか。

【悟院長】ある程度年配の方でも、悪くなった歯をしっかり治療するには、その歯に悪い影響を及ぼしている周りの歯の向きや生え方にもアプローチしないといけないケースが数多く存在します。ですが、その患者さんが「歯並びが悪いせいかも」と考えて自ら矯正歯科へ行くことはないでしょう。そこで当院では詰め物やかぶせ物、インプラント、入れ歯を用いた治療が必要となる前に、少しでも口内の環境を整えていくことを目標としています。歯周に問題があれば歯周病治療を行うのと同じです。包括的な診察によってあらゆるリスクを見つけ、客観的な資料をもとに説明をし、患者さん自身が自分の口の中の治療法を決めるお手伝いをしていきます。ただ、そこまで含めた治療を受けるかは患者さんが選択することなので押しつけはしません。治療や予防措置に関する説明を専門的に行うスタッフを通して、内容を理解した上で判断してもらっています。
小児歯科ではMFTに注力、口周りの発達にアプローチ
茉友先生は主に子どもの診療を担当しているそうですが、力を入れている治療について教えてください。

【茉友副院長】MFTですね。口周りのより良い発達を促し、良い歯並びへと導くことを目的に、唇を閉じる動き、舌の適切な動きを身につけるなどのトレーニングを行うもので、当院では2023年頃から力を入れています。MFTは2歳くらいからできる基本的な運動もありますが、本格的なトレーニングは5、6歳くらいから始めるのが適切です。内容はお子さんにより異なりますが、適切な舌の位置を覚えるためのトレーニングや舌の運動、お口周りの体操としてあいうべ体操などがあり、アプリを使用して動画やイラストを見ながらご家庭で取り組んでいただきます。通院間隔は1ヵ月に1回程度。期間は半年から1年弱の方が多いのですが、治療の進み具合などによって変動します。
子どもの歯並びを心配する保護者の方が増えてきているということでしょうか。
【茉友副院長】近年、子どもの虫歯が減少傾向にある一方で、「お口ポカン」や舌の使い方の問題など、口腔機能の課題が増えてきており、保護者の方がお子さんの「お口ポカン」を気にされて来院されるケースもあります。当院では口唇の力や嚥下時の舌の動きを検査し、お子さんにMFTが必要かどうかを判断します。MFTは、将来的な歯並びの悪化予防や、矯正後の後戻り防止につながる重要な治療であると考えています。MFTと矯正装置を併用して治療するケースも多いですね。矯正装置を使用できる年齢のお子さんには装置の併用をご案内しつつも、年齢やお口の状態によってはMFT単独での治療から始めることもあります。
治療の継続性はどのように確保するのでしょうか。

【茉友副院長】MFTは、いかに日々の生活の中に組み込んで習慣化できるかが鍵となります。ご家庭でのトレーニングを継続するために、保護者の方と相談しながらお子さんの生活リズムに合わせ、お風呂や宿題の前、ゲームを始める前など、どのタイミングで行うと継続しやすいかを話し合い、様子を見ていきます。お子さんの生活リズムに合わせて、「これをする前にMFTをやる」というように決めるのが効果的です。目標はお子さんのほうから「やろう」と言ってもらえるようになること。トレーニングができたら毎日貼れるシールを用意するなど、親御さんと一緒に工夫していますので何でもご相談ください。
多数の歯科医師が在籍、訪問歯科診療にも力を入れる
歯科医師が複数いらっしゃるのも特徴だと思います。

【悟院長】口腔外科や矯正歯科、歯周病など各分野に秀でた先生がいることで患者さんの多様なニーズに応えやすくなるのがメリットです。メディカルトリートメントモデルに基づいた予防歯科と良質な歯科治療を達成させるため、若手の育成にも力を入れています。また訪問歯科診療も頑張っています。現在は訪問専任の歯科医師が4人、歯科衛生士が7人以上在籍し、訪問車3台で福祉施設や居宅を回っています。訪問専任のスタッフがいるとはいえ、外来も訪問もライフステージとしては連続性があるものと考え、歯科医師、歯科衛生士ともに、どちらでも経験を重ねて活躍できるような体制を組んでいます。そのおかげで外来に通院されている患者さんの将来や、治療計画を包括的に捉えることができています。ご高齢の方が増えていく中、今後も必要とされるものなので、しっかり継続していきたいです。
今後の目標や、取り組んでいきたいことを教えてください。
【悟院長】個人としては、もともと歯周病に関心を持っているので、今は歯周病治療の専門性を高めるために勉強しています。また、歯周病で歯を失った場合に選択される場合が多いため、インプラント治療の研鑽にも励んでいます。クリニックとしては全体の一般診療のレベルを高めつつ、一人ひとりの歯科医師の専門性を伸ばしていきたいと思っており、積極的に自分や現在在籍しているスタッフとは違う分野に興味を持っている歯科医師の採用も進めています。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

【悟院長】お口の健康を守るには歯周病予防が大切です。日本歯周病学会が2022年に発行した歯周病治療ガイドラインによると、日本における歯周病罹患者は約7000万人と推測されていますが、実際に歯科医院にかかっているのは10%にも満たないといわれています。初期の頃は自覚症状がほとんどないからですが、放っておくと進行し、症状が出る頃にはすでに歯は使えなくなってしまいます。ですので、自覚症状がなかったとしても、ぜひ一度検診を受けてみてください。
【茉友副院長】専任の保育士による一時託児サービスを行っており、親御さんの治療やごきょうだいの治療の際、お子さんには保育士と遊んで待ってもらうこともできます。小さいうちからご家族と一緒に来ていると、この場所にも慣れてくれるので、歯が生えてきた以降の検診も自然と習慣になりやすいと思います。ご家族で気軽に、一度検診に足を運んでもらえるとうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/35万円~、小児矯正/35万円~、成人矯正/70万円~、唾液検査(キット代)/3300円、CAD/CAMシステムによるインレー/3万5000円~、CAD/CAMシステムによるクラウン/6万円~、口腔筋機能療法(MFT)/5万5000円(矯正装置と併用する場合/20万円)、毎月のトレーニング/3300円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。