小林 信介 院長の独自取材記事
上野毛脳神経外科クリニック
(世田谷区/上野毛駅)
最終更新日:2025/09/24

上野毛駅から徒歩2分。環八通り沿いにある「上野毛脳神経外科クリニック」は、2012年に開業した。脳神経外科というと受診のハードルが高い印象だが、脳の器質的な異常の有無を早期に発見するには受診が不可欠。小林信介(のぶすけ)院長は、開業当初から「誰でも気軽に立ち寄れる脳神経外科クリニック」をめざし、経験に基づく精密な診療と患者に寄り添うアドバイスを行ってきた。現在では、子どもから高齢者まで、日々多くの患者が訪れる。閉塞感と圧迫感が少ないオープン型MRIは、開業時から導入していたが2024年夏に新機種へ変更。これまでより短時間で精緻な画像を撮影できるという。同院の特徴や、めざす医療について、小林院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2024年6月3日/再取材日2025年5月12日)
オープン型MRIを導入し、迅速な検査・診断を実践
まずは、開業の経緯をお聞かせください。

昭和大学医学部の脳神経外科で准教授として勤務した後、2012年に当院を開業しました。大学病院では多くの手術に関わり、とてもやりがいがあったのですが、その一方でMRI検査が必要だと判断してから実際に検査を実施するまでに、数日から1週間のタイムラグがあることにジレンマを感じていました。大規模病院は待ち時間が長く1日がかりになることも多いため、患者さんは検査結果を聞くために仕事を休まなければならないケースもありました。これでは気軽に検査を受けることができませんよね。そこで、もっと手軽にMRI検査を受けてもらいたいという思いを込めて、MRIを導入した脳神経外科クリニックを開業しました。
こちらで導入されているのはオープン型MRIだそうですね。
MRIと聞くとトンネル型をイメージされる方が多いと思いますが、当院ではオープン型MRIを採用しています。圧迫感や閉塞感を抱きづらいので、小さなお子さんや閉所恐怖症の方も安心して検査を受けていただくことができます。トンネル型よりもスペースを取らないことから導入したのですが、想像以上に閉所恐怖症の方のニーズが高く、遠方から来院される患者さんもいらっしゃいます。2024年夏には新型に切り替え、より短時間で精密な画像が得られるようになりました。診察から検査、結果説明まで当日中に完了できるので、不安な気持ちで長くお待ちいただく必要がない点もメリットだと思います。混雑時はお待ちいただくこともありますが、事前にお電話をいただければ空いている時間をご案内できますので、お気軽にお問い合わせください。
脳神経外科診療では、MRIによる画像検査が重要だと聞きました。

頭痛一つとってもその背景はさまざまで、原因によって治療も変わってきます。痛み、しびれ、めまい、物忘れといった症状の背景を探る上で、脳や脊髄を視覚的に把握できるMRI検査はとても有用です。しかし、画像データさえあれば良いというわけではありません。画像検査で器質的に問題がないことがわかっても、患者さんは症状を感じていることも多々あります。診察と画像検査のバランスが重要で、見えない原因を探るためには丁寧な診察が不可欠です。また、検査をして器質的な問題が見つからなかった場合でも、ちょっとしたアドバイスや先々の展望、再受診の目安など、患者さんにとって安心につながる何らかの情報をお伝えするよう心がけています。患者さんとの距離が近いクリニックでの診療を通して、地域の皆さんの健康と生活の質向上をサポートしていければと考えています。
脳疾患から脊椎・脊髄疾患まで、トータルに診療
どのような患者さんがいらしてますか?

脳神経外科に来院される患者さんは、一般的に65歳以上の方が多いといわれますが、当院の場合は働き盛りの20代前後から50代の方が中心です。頭痛を訴えていらっしゃる方が多く「脳梗塞など、重篤な病気による頭痛でないか鑑別してほしい」と「頭痛を何とか治してほしい」の2パターンのご要望があるように感じています。慢性的な頭痛で鎮痛剤を常用している方や、脳卒中の家系で自身も不安だという方からのご相談もよくあります。認知症を心配して来られる方や若年性認知症を疑って来られる若い方も増えているように思いますね。あとは、近隣の幼稚園、保育園、小学校などで不意の事故により頭を打ったお子さんも少なくありません。先生に引率されて来院されるケースも多く、お子さんと先生を少しでも早く日常に戻せるよう、スピーディーに診療することを心がけています。
頭痛の治療について教えてください。
原因により治療法もさまざまです。脳卒中などが見つかればすぐに適切な病院にご紹介し、鎮痛剤を処方して様子を見るようにお勧めすることも。最近、リモートワークの方が増え、これまでなかった頭痛や首の痛みを訴える方が目立つようになりました。そうした方には、自宅で仕事をする際のモニターの高さや座る姿勢などをアドバイスしています。普段使用しているオフィスと違う自宅環境では、気づかないうちに体に負担をかけていることも多いのです。また、従来の薬で改善が見込めない片頭痛の患者さんを対象として頭痛発作の抑制をめざす皮下注射も行っています。月に1度の注射のために通院していただく必要はありますが、有用な治療法の一つと考えています。興味のある方はぜひご相談ください。
認知症の診断・治療も行っているのですね。

はい。認知症が心配な方にはMRI検査で脳の萎縮の有無を確認し、神経心理検査で認知機能のレベルを評価するなど、必要な検査を行った上で診断します。基本的には受診当日に診断をつけ、スムーズに治療へ移行できるように体制を整えています。内服薬での治療は当院でも行っていますが、アルツハイマー型認知症の新しい治療薬である抗アミロイドβ抗体薬の処方には対応していないため、ご希望があれば専門の医療機関をご紹介しています。また、介護保険の申請や福祉サービスの利用についてもアドバイスしています。認知症と診断された方には、早めに介護や福祉の支援体制を整えることが大切です。ご本人はもちろん、ご家族も不安だと思いますので、ご相談窓口としてケアマネジャーをご紹介し、必要な支援につながるようサポートしています。
患者のニーズを丁寧に探り、それに応える診療を実施
脳疾患だけでなく脊椎・脊髄疾患にも精通していらっしゃるそうですね。

頭・首・背中などの痛み、手足のしびれ、めまいなどの症状は、脳に原因があるものもあれば脊椎・脊髄に起因するケースもあります。頭部だけはなく、脊椎・脊髄を含めてトータルに診療することが必要です。そのため、2002〜2004年にはドイツのギーセン大学脳神経外科で、椎間板ヘルニアや新生児の脊髄髄膜瘤などについて学びを深めました。欧米の脳神経外科医は脊髄や腰椎の疾患に対しての診療実績も数多くあります。当時の経験を生かしながら治療を行っています。「この症状は脳神経外科と整形外科のどちらに行けば良いのだろう?」といった場合でも、安心してご相談いただければと思います。
スタッフさんの親身で温かな接遇も印象的です。
患者さんは、頭痛などの症状はもちろん、その原因を知るための検査にも不安を感じています。特にMRIを受ける方やお子さんの中には、緊張した面持ちで来院される方が少なくありません。当院のスタッフは、予約のお電話や待ち時間に「検査の何が心配か」を丁寧にヒアリングし、音が怖い方には耳栓をお渡しする、閉所が苦手な方にはアイマスクをご提案するといったように、個別のニーズに寄り添って対応しています。漠然とした不安が強い方には、検査中ずっとそばにいて声をかけ続けることも。当院の検査がスムーズに進むのは、優秀なスタッフのおかげ。いつも感謝しています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

クリニックに足を運ばれるからには、皆さん何かしら求めていることがあると思います。それが何なのかを確認し、できる限り求めるものを持ち帰っていただける診療を大切にしています。症状の原因究明には、MRIを用いた精密な検査が役立ちます。手術が必要となる方には、疾患に合わせて適切な医師をご紹介することが可能です。まれではありますが、長引く頭痛からくも膜下出血が見つかることもありますから、心配な場合は早めの受診をお勧めします。脳に器質的な問題がなければ、脊椎・脊髄を含めて原因を考えていきます。頭や首の症状や認知の問題などでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは脳ドック/2万9800円~