長期間の放置はがんのリスクも
痔ろうの特徴や治療について知る
西新井大腸肛門科
(足立区/西新井駅)
最終更新日:2025/12/25
- 保険診療
お尻の皮下に膿がたまることがきっかけで起こるのが、痔ろうという疾患だ。別名、「穴痔」とも呼ばれているこの疾患は、薬による治療では完治が見込めず、手術が必要となる。また、「ちょっと血が出ているだけだから」「我慢できるから」と放置していると、やがてがんに発展する可能性もあるため、適切に診察を受け、治療することが大切だ。肛門や大腸など消化器の治療に特化して診療を行う「西新井大腸肛門科」では、痔ろうを含めた痔の治療に関して、手術から入院設備まで体制を整えて、患者をサポートしている。同院の手術部長で、痔に悩む数多くの患者を診療する森本幸治先生に、痔ろうという疾患の基本的な特徴や治療について詳しく話を聞いた。
(取材日2025年11月25日)
目次
肛門出口付近にたまった膿が原因。ケースによっては日帰り手術による治療も可能
- Q痔ろうとはどのような疾患ですか?
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A
▲繰り返す肛門部の痛みや膿は要注意。適切な検査で原因を明確に
肛門の出口付近には肛門陰窩(いんか)というくぼみがあり、そこにある肛門腺にばい菌が入り込んで感染すると、膿瘍(のうよう)と呼ばれる膿のたまりが作られます。膿瘍が大きくなるとやがて皮膚が破れて膿が外に排出されますが、その後に残ったトンネル状の空洞を痔ろう(あな痔)と呼びます。痔ろうがあると、そこから常に感染を繰り返すような状態になり、自然に治癒はしません。痔ろうは下痢をすることが多い方によく見られる疾患です。下痢で便が緩くなり、また排便時に強くいきむことで肛門腺にばい菌が侵入しやすくなることが、痔ろうの大きな原因です。
- Q痔ろうを放置するとどのようなリスクがありますか?
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A
▲複雑化やがん化を防ぐため、早期診断・治療が重要だという
痔ろうを放置すると、瘻管が肛門から遠くまで広がり、複雑な形になることがあるため、後々に手術で治療しようとする場合にも、切開する箇所が大きくなり、患者さんの体にかかる負担も大きくなります。また、痔ろうは長期間放置していると、がんに発展する可能性があります。特に痔ろうの症状が10年以上続いている方や、痛みが強い方はリスクが高くなりますので、早めに医療機関を受診していただきたいですね。
- Q受診のタイミングの目安を教えてください。
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A
▲症状が落ち着いて見えても、繰り返す膿や血は危険信号
まず、お尻に急な痛みがある場合には、すぐに受診していただきたいですね。よく見られるケースとして、飲酒などをした際に下痢をしてしまい、その晩や翌朝に痛みが出ているけれども我慢している場合が挙げられます。また、膿がいったん、皮膚を破って外に排出されて、症状としては落ち着いているように見える場合でも、膿や血が繰り返し下着に付着していたら、ぜひ受診をお勧めします。入浴時などに自分のお尻に触れてみて、痛くはないけれどもしこりがあるといったケースも痔ろうの可能性がありますので、意識してみてください。
- Q痔ろうの治療はどのような方法で行うのでしょうか。
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A
▲痔ろう治療は手術が基本。再発防止と機能温存の両立をめざす
痔ろうは、基本的に薬では治らないため、手術による治療となります。皮下にできている瘻管(ろうかん)を切開して開放するのが、標準的な手術の方法です。注意しなければならないのは、瘻管は肛門を締めるための肛門括約筋を貫いて広がるため、手術ではある程度、筋肉も切開する必要がある点です。浅い痔ろうならば標準的な手術でも筋肉の機能にほとんど問題はありませんが、深い痔ろうの場合、筋肉を切ることで肛門を締める力が緩くなってしまう可能性があります。そのようなケースでは括約筋の機能を守るために、括約筋を温存することを念頭に置いた手術を行うことになります。
- Q痔ろうは日帰り手術も可能だそうですね。
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A
▲痔ろうが浅い場合は日帰り手術も可能。患者の負担を大きく減らす
痔の手術の場合、術後1週間ほど安静にしてケアすることが大切であるため、当院では通常、4泊5日のスケジュールで手術・入院をご提案しています。痔ろうの場合、瘻管が皮下のごく浅い箇所にできていて、瘻管の走行している形も単純であるようなケースならば、日帰り手術も可能です。日帰り手術ですと、患者さんの負担が少ないことは大きなメリットです。一方、痔ろうの手術では、手足などのケガのように皮膚を縫合することはできないため、手術後しばらくは切開した箇所が、出血しやすい状態になることに注意して、生活してください。また、日帰り手術の場合でも、手術直後は1~2日おきに通院が必要となります。

