藤城 芳徳 院長の独自取材記事
にしあらい耳鼻咽喉科
(足立区/西新井駅)
最終更新日:2025/06/11

西新井駅西口徒歩1分の商業施設の3階にある「にしあらい耳鼻咽喉科」。乳児から高齢者まで幅広い層の患者が訪れ、開院以来ずっと通い続ける患者も多い。院内は明るく居心地の良い空間で、藤城芳徳院長をはじめスタッフがきびきびと笑顔で患者に対応している姿も気持ちがいい。東京大学医学部附属病院や群馬県立がんセンターなどで外科手術を含め多くの経験を積んだ後、生まれ育った地域で開院した藤城院長は、優しく丁寧な語り口が印象的。従来の耳鼻咽喉科医院よりも幅広く、かつ専門性の高い診療を行うべく医療機器やスタッフを充実させ、日々患者の悩みと向き合う藤城院長に話を聞いた。
(取材日2024年4月3日)
地域で精密な検査ができるよう各検査機器を導入
どのような患者さんが多くいらっしゃいますか?

多岐にわたる症状の患者さんが来院されています。お子さんの鼻吸いのついでに親御さんも喉に違和感があれば一緒に診察するといった柔軟な対応も行っていますので、ご家族で気軽に活用していただけたらなと思います。風邪や咽頭炎、耳の痛み、鼻詰まりなど軽い症状の他に、お子さんならミルクの飲み込みや聞こえ具合に問題がないかといった、嚥下や難聴も相談を受けています。また、中耳炎がなかなか治りきらずに転院してきた場合、鼓膜にチューブを留置するといった手術を行うこともあります。最近はご高齢の方もかなり増えてきて、「声がかすれる」や「会話の聞き取りが悪くなった」といった機能的なお悩みを持つ方もいらっしゃいます。このような症状の場合、高齢だからと諦めたり、もう治療できないものだと先入観を持たれたりする方も多いのですが、声帯の治療や鼓膜を閉じるための手術、トレーニングなどで改善が見込めますので、まずはご相談ください。
こちらはさまざまな検査機器がそろっているのですね。
開院時には一般的な耳鼻咽喉科のクリニックにはあまり導入していないような機器類をそろえました。その後、より高性能な機種が出ると新しいものに替えたり、他にも随時、医療機器を整備したりしています。例えば、前がん病変の発見に有用な特殊光で粘膜を観察する技術を用いた内視鏡システムや、声帯機能を詳しく評価するための喉頭ストロボスコープなども導入しています。耳鼻咽喉科の診療対象は、鎖骨の上の頭頸部において脳と目以外のすべて。その部分の疾患に関しては、検査のためにわざわざ大きな病院に行かなくても済むようにしたいと思っているのです。
最近、何か新しい取り組みや検査の導入などはありますか。

睡眠時無呼吸症候群の自宅での精密検査が行えるようになりました。従来、精密検査は医療機関に1泊して行うもので、自宅で行う場合は簡易検査しかなかったのですが、技術の進歩によって自宅で脳波や睡眠の質を検査できるシステムが開発され、当院でも採用しています。この検査で睡眠時無呼吸症候群と診断した場合、CPAP療法を行っています。これは就寝中、鼻に装着したマスクから少し圧のかかった空気を送り気道を確保する治療法です。
患者の気持ちに寄り添う医療を
地域にありながら高度な医療を受けられるのは助かりますね。

開院当初からの診療方針は、どのような症状でも当院に来た方は断らず診療することです。患者さんはどこか体調を崩していたり、何かお困りのことがあったりして来られます。そんな方々の悩みや困り事をできるだけここで解決して差し上げたいのです。そんな思いで診療を続けてきた結果、基幹病院と同じようなレベルの診療体制が整い、今の形となりました。医療機関からの紹介で重篤な患者さんを多く診ていますが、当院の基礎となっているのはやはり地域のかかりつけとしての役割です。患者さんの中にはこんな軽い症状で受診していいのかなと迷われる方もいるようですが、そんな心配は不要です。困ったことがあれば相談に来てください。当院の診療受付システムは順番予約で、窓口で受付をした順番に診察していますが、患者さんの症状によって診察や処置にかかる時間も異なることをご理解いただければと思います。
診察時に心がけていることはありますか?
安全な治療となるよう心がけています。お子さんの場合は不意に動くことがないようしっかり体を保持して治療します。動けないので怖くなって初めは泣いてしまうお子さんもいますが、痛くない処置を心がけることで治療が怖くないことが伝わり、次から泣かずに受けてくるような診療をめざしています。大人の患者さんには「いつから、どこが、どのように調子が悪いか」をお聞きした上で、しっかり納得していただける説明も心がけています。そのための方法の一つが、電子スコープで撮影した画像を患者さんにお見せすること。病気の説明はもちろん、病気でない場合にそのことを納得していただくためにも重宝しています。また症状が感覚器官に関わることが多いので、機能上は改善して正常範囲内であっても患者さんの感覚では違和感が残る場合があります。だからこそ最後まで寄り添い、必要であれば日常生活のアドバイスもして差し上げたいと思っています。
悩む人の多いアレルギー性鼻炎の治療について教えてください。

重症度に応じて炭酸ガスレーザーによる治療、あるいは高周波電気メスによる治療も行っています。炭酸ガスレーザー治療は、鼻の中の下鼻甲介と呼ばれる粘膜部分に炭酸ガスレーザーを照射するもので、アレルギー反応による症状の緩和を目的に活用します。当院で採用しているものは深部にも充分に熱が伝わる照射モードを備えたレーザーです。さらにもう一段粘膜を収縮させたいときには高周波電気メスを使う場合もあり、症状によって両者を使い分けています。これだけでなく鼻内内視鏡を併用して微細な処置を施すことで、少しでも患者さんの不調が改善されるように工夫しています。
嚥下・音声を専門とする外来も設置
こちらでは嚥下機能と音声障害の外来も行っているのですね。

嚥下・音声を専門とする先生による外来を設置しています。発音や嚥下などの幅広いお悩みに対して、患者さんの状況に即した評価と、必要に応じてトレーニングのアドバイスができるようにしています。例えば足がスムーズに動かなくなった時、整形外科などでリハビリテーションを受ける方は多いですよね。耳鼻咽喉科の分野でも、患者さんの症状に応じて必要な筋肉などのトレーニングの助言をしています。そのために一番重要なのは、患者さんの機能を正しく評価して、患者さんご自身やご家族の方に理解していただくこと。その上で必要であれば、日々のトレーニングの方法をお伝えします。
耳鼻咽喉科への受診の目安を教えてください。
例えば声なら、かすれ声だけでなく、高い声が出なくなった、あるいは出しにくくなった時が受診の目安です。聞こえなら、特に高齢の方の場合、ご本人が特に困っていらっしゃらなくても、お話がなかなか伝わらなくて周囲の方がお困りの時はご相談ください。周囲とのコミュニケーションが取れないと、社会性が失われ生活の質が低下したり、しゃべらないことで喉の筋力が低下し嚥下障害につながったり、認知症の原因にもなったりしかねません。また当院では乳幼児でも聴力検査を行える機器も導入しています。これは高齢の方が、認知機能が低下して会話が通じにくいのか、純粋に聞こえの機能の問題なのかを判断する際にも役立ちます。
ところで、分院もあると聞きました。

ありがたいことに当院には多くの患者さんがご来院くださっていて、その分待ち時間が長くなってしまうことを申し訳なく思っていました。待ち時間をなるべく減らし、一人ひとりの診療時間をしっかりと確保するために分院を開院しました。当院にいらっしゃる患者さんにとっても、大きなメリットとなっているのではないかと感じています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
耳鼻咽喉科は頭頸部領域に関して幅広く扱う診療科です。中耳炎や副鼻腔炎、難聴、嚥下障害、声のかすれ、めまい、嗅覚、味覚の違和感の治療なども耳鼻咽喉科の診療範囲です。短期間で解決がめざせるケースもありますし、そうでないケースもあります。診断結果、疾病について十分な説明を行った上で治療を進めるよう心がけています。病気を一度の来院で治療するのはなかなか難しいですが、小さなお子さんの場合、親御さんのお仕事の都合に合わせて通院ができるように配慮します。お気軽にご相談ください。