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小林 美咲 院長の独自取材記事

小林皮膚科医院

(荒川区/西日暮里駅)

最終更新日:2022/08/25

小林美咲院長 小林皮膚科医院 main

西日暮里駅から徒歩2分、道權山通りに面したビルの2階にある「小林皮膚科医院」。乳幼児から高齢者まで、世代を問わずさまざまな皮膚疾患の治療を手がけ、近隣住民はもちろん遠方から来院する患者も多いという。院長の小林美咲先生は、ストレスが原因で皮膚疾患が発症・悪化する「皮膚心身症」を研究してきた医師の一人。幅広い専門知識と豊富な経験を生かし、皮膚症状に対する治療と心理的なケアの両面から全人的な医療を提供している。「皮膚科診療のやりがいは、患者さんと同じものを見て治療の成果を一緒に確認できること。そのためにも皮膚をしっかり確認して的確に診断することを大切にしています」と優しい笑顔で語る小林院長に、クリニックの特徴や専門分野である皮膚とストレスの関連性について話を聞いた。

(取材日2022年2月15日)

皮膚と心、両面からのアプローチで患者を支える

これまでの医院の歩みを教えてください。

小林美咲院長 小林皮膚科医院1

東京医科歯科大学病院や東京都立墨東病院での勤務を経て、1987年に豊島区で開業した後、2001年に現在の荒川区西日暮里へ移転しました。大学院では紫外線による皮膚障害について研究する傍ら、アトピー性皮膚炎や精神科領域にも興味を持ち、研鑽を積んできました。当時からアトピー性皮膚炎はストレスがかかると症状が悪化するケースがあることは知られており、皮膚科的な治療だけでなく心理面からのアプローチも重要だと考えていました。そこで、自分が理想とする診療を伸び伸びとやりたいという思いから開業を決意したのです。現在は午前中のみの診療としていますが、おかげさまで赤ちゃんからご高齢の方まで、幅広い年齢層の患者さんが来院してくださっています。

皮膚科の心身症がご専門と伺っています。どのような病気なのでしょうか。

ストレスがかかると人間は緊張状態になり、交感神経が活発に働いて心拍を上げたり、汗をかいたりといった身体反応が起こります。ストレスが一時的なものであれば心配はいりませんが、緊張状態が長く続くと体に変調が起こり、例えば胃が痛くなる、血圧が上がるなどの症状が現れます。このようにストレスが病気の発症や悪化に密接に関与した病態を総称して「心身症」といい、皮膚科領域ではアトピー性皮膚炎のほか、円形脱毛症やニキビなどもストレスが関与する病気として知られています。特にかゆみやかく行動は心の状態と密接に関係しています。かいたりこすったりすると皮膚は傷み、かゆみも強くなるのでまたかいてしまう、さらに症状が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。かくと気持ちがいい、気分がすっきりするといった快感があるため習慣化しやすく、かくことが病みつきになってしまうこともあります。

どのように治療していくのでしょうか。

小林美咲院長 小林皮膚科医院2

外用薬や内服薬などで皮膚症状の治療を行いますが、きちんとお薬を使ってもかいてしまっては症状は改善しません。無意識にかいてしまうこともありますので、かかないという行動にアプローチして、かくことをやめられるよう指導していきます。具体的には、かいていることに気づいたらすぐにやめるようにする、かきたくなったら深呼吸する、手を組むなど別の行動を取るといった提案をします。怒りや恥ずかしさで赤面する、恐怖で顔が青ざめるなど、皮膚は感情を表す器官であり、多くの場合ストレスなど心理・社会的な悩みの影響を受けています。そこを理解して、体と心の両面から治療することが大切です。

頭から足の先まで、髪や爪も含め皮膚疾患全般に対応

ストレスが症状の発症や悪化の原因になることは、よくあることなのでしょうか。

小林美咲院長 小林皮膚科医院3

ストレスの感じ方は個人差が大きく一概には言えませんが、いらいらすると頭をかいたり、緊張すると顔をこすったりすることは誰にでもあることです。人間の考え方のパターンと行動は分かち難く結びついており、体と心を分けて考えるのは不自然だと思っています。一方で、皮膚症状があるから心身症だとは限りません。ですから、まずは皮膚をよく観察して、患者さんへの問診を通していつどんなときに症状が悪化するかなど状況を把握します。そして、その患者さんの皮膚症状を良くするために必要だと判断した場合に、標準的な治療と並行して個々の患者さんに合わせた心理的なケアも行うという流れです。周囲の期待に応えようと頑張りすぎる人、完璧主義な人ほどストレスを感じやすい傾向にあるので、「こうすべき」「あれもやらなければ」などと思い込まず、物事の捉え方や考え方の癖を変えてみるようアドバイスすることもあります。

そのほか、現在こちらで受けられる治療をご紹介ください。

アトピー性皮膚炎や円形脱毛症、ニキビ、水イボやうおのめなど、頭から足の先まで、皮膚だけでなく髪や爪の病気にも対応しています。最近はしもやけの患者さんも増えています。季節柄でもありますが、新型コロナウイルス感染症の流行で今まで以上に手洗いや手指消毒をするようになった影響もあると思います。消毒液にはアルコールが70%程度含まれていますが、アルコールを塗ると冷える上に消毒液に含まれている水分で濡れた状態にもなり、そこに冷たい風が当たってしもやけになってしまうのです。汚れっぱなし、こすれっぱなし、濡れっぱなしの3つの「ぱなし」は、皮膚が傷む原因になりますので、手洗いや手指消毒の後はしっかり水分を拭うことが大切です。お薬を処方するだけでは症状の改善は難しいので、皮膚の構造や機能、日常生活上のセルフケアについても丁寧にご説明しています。

先生が診療の際に大切にしていることを教えてください。

小林美咲院長 小林皮膚科医院4

なるべく痛みのない治療を心がけています。特に小さなお子さんの場合、大人に押さえつけられ、よくわからないうちに痛みを伴う治療をされると一生のトラウマになってしまうこともあります。ですから当院では、ウイルス性のイボや水イボに対しても痛みに配慮しながら治療を行っています。どうしても痛みを伴う治療が必要なときは、小さなお子さんにもきちんと治療の必要性を説明しています。大人の患者さんと同じで、お子さんとも信頼関係が大切です。時間をかけて説明すれば納得してくれますし、納得できれば押さえつけなくてもちゃんと我慢してくれます。

医師として、女性としての経験を礎に皮膚の健康を守る

外用薬の塗り方の指導にも時間をかけているそうですね。

小林美咲院長 小林皮膚科医院5

そうですね。皮膚の炎症を抑えてかゆみをコントロールするには、外用薬を正しく塗ることが大切です。外用薬の塗布は主に患者さんがご自分で行うことなので、ご自分の感覚で適当に塗ってしまわないように、診察では私が患者さん一人ひとりに薬の塗り方を指導しています。外用薬は指の関節一つ分の量を手のひら2枚分くらいの範囲に塗るのが基本とされています。皮膚科ではステロイドの外用薬を使用することが多いのですが、副作用を気にして塗る量を少なくすると治療効果は期待できません。ステロイド外用薬は正しく使えば決して怖い薬ではありません。内服のステロイド薬とは違い、皮膚科の場合は患部に直接塗ることができるので、少ない量でも効果が期待できます。

皮膚科の医師としてのやりがいをお聞かせください。

アトピー性皮膚炎やニキビなどは治りにくいと思われがちですが、適切な治療と生活面への指導、心理的なケアを行うことで改善が望める病気だと考えています。他の臓器とは違って皮膚疾患は目に見えるものですから、治療の成果をごまかしなく患者さんにも感じ取っていただけるところにやりがいを感じています。また、皮膚疾患には水仕事を頻繁に行う人によく見られる手湿疹やかぶれなど身近なものが多く、着ているものや入浴の仕方、手洗いなど生活全般が関わってくる分野なので、主婦として家事や育児をしてきた経験を生かせるところも魅力ですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小林美咲院長 小林皮膚科医院6

私のモットーは、受診の前よりも楽になって帰っていただくことです。そのためにはまず皮膚をよく見ることが大切で、病気を良くするために何が必要かを考えた上で、総合的な治療を心がけています。特にストレスなど心の状態が関与している場合は、標準的な皮膚科治療だけでは不十分な場合があります。患者さんと皮膚科の医師は同じものを見ているわけですが、専門家として患者さんには見えないものもきちんと捉え、それを患者さんに伝えて、見えていないものを見えるようにするのが皮膚科の医師の務めだと思います。これからもこれまで培ってきた知識や経験を生かし、患者さんに少しでも良くなってもらえるよう、お役に立てればと思います。

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