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小林 美咲 院長の独自取材記事

小林皮膚科医院

(荒川区/西日暮里駅)

最終更新日:2019/09/04

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西日暮里駅からほど近く、道灌山通り沿いに建つ「小林皮膚科医院」は、乳幼児から高齢者まで、地元の人、そして紹介患者にも頼りにされているクリニックだ。院長は皮膚科における心身症のパイオニア的存在として、学会発表や書籍・雑誌記事の執筆などでも活躍する小林美咲先生。1987年に豊島区で開業した後、2001年に現在の地へ移転した。皮膚の症状だけでなく心や社会的側面も考慮した診療が特徴で、アトピー性皮膚炎から円形脱毛症、しみ、ニキビ、水イボの痛みの少ない治療まで、レーザーなどの先進技術も取り入れながら、幅広く治療を行っている。そんな小林院長に、心の状態と皮膚疾患がお互いに及ぼしあう影響や、診療モットー、診療で工夫していることなどを聞いた。
(取材日2016年6月20日)

心の状態が影響する皮膚の健康

先生の専門である皮膚科における心身症とは、どのような病気なのですか?

心の状態が影響して症状が出たり悪化する心身症は皮膚科でも意外に多いのです。特に痒みやかく行動には深く関与しています。例えば、ストレスがかかると頭をかいたりする人は結構いますよね。私は「気持ちの痒み」と言っているのですが、このように実際は痒くもないのに、体のどこかをかいてしまうことは誰にでもあり、習慣化することがあります。また、実際に湿疹があるような場合でも、ストレスがかかるとそこをかいてしまう。かくと気持ちが良いので、もっとかいてしまう。かくことでストレスを発散しているのですが、皮膚の状態はますます悪くなるので、そのことで余計にストレスがかかるというように悪循環になってしまうのです。かくという行動や日常での皮膚への接し方が、心の状態や意識に深く関係しているので、そのことをしっかり認識して治療することが重要です。

どのように診断をするのですか?

皮膚科ですから、まずは皮膚をよく観察することが基本です。どこにどんな発疹が出ているのか、どんな時に悪化をするのか、どのように悪化しているのかといった状況を検討します。さらに、詳しく問診して患者さんとよく話すことで、単に皮膚の病気というだけではない事情がわかります。そこで、なぜそのような状態になっているのかを説明して、患者さんに認識して納得してもらって、それを解決できるような方向へ目を向けてもらうというのを、個々の患者さんに合わせてしていくことになります。ストレスの感じ方はその人の考え方や性格などで大きく違いますから、そういうところにも踏み込んでいくことが大切なんです。

どのような治療をするのですか?

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薬などを使って、傷んでいる皮膚を治療するのは当然なのですが、大切なのは、かかないことです。皮膚疾患は、かかないようにすることが一番大切で、かいて良くなる皮膚の病気は一つもないんです。痒いからかくのは当たり前だと思うかもしれませんが、人間は痒くなくてもかいてしまいますし、掻破行動は習慣化します。何よりもかかないという行動にアプローチすることが大切なんです。でも実際に無意識にかいていることが多いので、かいているのに気づいたらすぐにやめるというのを習慣化するのが良いですね。最初から完璧にしようとする必要はありません。10回かいていたのが5回になったら、大きな進歩です。そして実践してみるのも大事。やってみれば1週間でも皮膚の状態は変わってきますから、そういう意味では、まずやってみましょうということです。

一人ひとりに時間をかけて、薬の塗り方も指導

先生が診療の際に大切にしていることを教えてください。

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一番大切なのは、患者さんをちゃんと治すこと。そのためには、よく観察して、きちんと診断をつけることが何より大事ですね。私のモットーは、「診察室の椅子に座っていただいたら、座る前より楽になって帰っていただく」ということに尽きます。皮膚科の基本はよく観察して診断することで、目で見ることが9割。患者さんと皮膚科の医師は同じものを見ているわけですが、同じものが見えているだけでは駄目なんですよ。ただ漫然と見ているのと、医師として診るのは根本的に違いますし、時には「こんなになったのは、一体何をしてきたからだろう」と推測することも大事です。きちんと見て判断して、それをしっかり患者さんに伝えて、見えていないものを見えるようにするのが皮膚科の医師の務めだと思います。

診察で工夫していることは、ありますか?

患者さんに接することは人任せにしないで、すべて私が行うようにしています。軟こうの塗り方一つにしても、いろいろな方法がありますから、どのようにどれぐらい塗ったらいいかという指導がとても大切です。他院で診てもらって、うちに来る患者さんで、そういうところに問題があるなと思うことはとても多いんです。診察では、いちから薬の塗り方も指導しますし、特にお子さんならどんな服を着るとか、お風呂の入り方とかもアドバイスします。とても細かいことに思えますが、ここまでやらないと結果が出ないこともあるんです。診察時間がかかるので、再診は予約制にして、なるべくゆっくり時間を取るようにしています。

先生は、幅広くご活躍ですね。

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講演会や大学で呼ばれれば、どこへでも行っています。皮膚科における心身症の考え方を取り入れ、診療に役立ったと言ってくれる先生もたくさんいるんです。心理的なことに配慮した皮膚科治療は、皮膚科の先生でも、まだまだ知られていませんから、もっと広めていきたいですね。日本臨床皮膚科医会の常任理事もしていますが、こちらでは11月12日をイイヒフで「皮膚の日」に制定して、皮膚についての正しい知識の普及や皮膚科専門医療に対する理解を深めるための啓発活動をしています。あとは週に1回、東京女子医科大学東医療センターで皮膚科の若い先生の指導に当たっています。

新しい治療法も取り入れていきたい

先生は、なぜ皮膚科の医師になられたのですか?

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私は、昔から体が弱かったせいもあってか、苦痛を和らげることで生活の質を上げる医療に関心があって、皮膚科以外にも精神科や耳鼻いんこう科のほうに興味を持っていました。専門性が高いところも興味を引かれた一因ですね。皮膚科の良いところは、実際に症状を目で見られること。それに、着ているものとか、お風呂の入り方、そういう生活全般が関わってくる分野なので、結婚をして子どもを育てた経験を生かせるところも魅力ですね。内科や外科とは違って、機材がそろわないと診られないというものでもないので、開業しても自分の技量と努力次第で大規模病院と同じような診療をできることに、やりがいを感じています。

これからの抱負を教えてください、

これまでも皮膚科の心身症専門家として、研究と治療に取り組んできましたけど、そこに留まらず先端的な治療法にもチャレンジして、良いものがあれば取り入れていきたいですね。現在も、ダーモスコピーや各種レーザー装置、ナローバンドUVB照射装置などを入れて、新しい分野や治療法にも挑戦しています。毎日皮膚の疾患を見ていると、症状に限らず、心身症的背景があるものは非常に多いと感じますし、実際に心身医学的な治療で効果が期待できることもありますが、併せて新しい知識や治療を取り入れることで、患者さんが少しでも良くなることに役立ちたいと思っています。

読者にメッセージをお願いします。

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皮膚科の心身症なんて聞くと身構えてしまう人もいますが、心が弱いということでは全くありません。むしろ日本人に多い、頑張ってしまう人の病気なんです。特にアトピー性皮膚炎などで長年悩んでいて、病院に通ってもなかなか良くならない方は、心のケアをすることが改善の糸口となる場合もあります。悩んでいるのであれば相談に来てほしいですね。また、皮膚を健康に保つには、どんなときに皮膚が痛むのかを知っておきましょう。汚れっぱなし、擦れっぱなし、濡れっぱなし。私は3つの「ぱなし」と言っていますが、汚れたら適度に清潔にする。服のタグなどが擦れていたら取る。濡れたらちゃんと拭く。これらに気をつけましょう。痛いのを我慢して体をゴシゴシ洗う人がいますが、痛いということは、体が嫌がっている証拠です。自分の感覚を大切にし、ちょうど良い程度を見つけることも必要です。そういうことも含めて、迷った時には気軽に相談してほしいですね。

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