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神原 礼文 院長の独自取材記事

神原医院

(江東区/南砂町駅)

最終更新日:2022/03/14

神原礼文院長 神原医院 main

南砂町駅から徒歩15分の場所にある「神原医院」。親子2代60年以上の歴史を持つ下町のクリニックだ。この地で生まれ育った神原礼文院長は、前院長と同じく地域医療への思いを強くもっている。モットーは「まず診ること」で、幅広い悩みに対応しつつ在宅医療にも注力。通院困難となった患者の診療場所をクリニックから自宅へと変え、看取りも含め患者の人生に寄り添っている。コミュニケーションを大切にし、一人ひとりの患者にしっかり向き合うのが院長の診療スタイルだ。「在宅医療は特別なことではなく、一つの選択肢にすぎません」と語る神原院長に、クリニックの歴史や診療内容、在宅医療への取り組みについて話を聞いた。

(取材日2021年3月24日)

歴史を大切にしながら進化し続けるクリニック

60年以上の歴史があるクリニックと伺いました。

神原礼文院長 神原医院1

当院は1960年に私の父が開業した地域密着型のクリニックです。もう60年以上になりますかね。2006年に私が後を継ぎ、その際に当時の老朽化もあって改装をしました。デザイン的にはそれほど凝ったつもりはありませんが、建築デザイナーと一緒にいろいろと考えて設計したんですよ。居心地の良いクリニックをめざし、患者さんが診療までの時間もストレスなく過ごしてもらえるようなつくりにしています。窓は大きく、待合室やトイレのスペースも広くとり、バリアフリーで開放的なレイアウトです。患者さん用の駐車場もつくり、エントランス周りには目を楽しませる植物を置きました。患者さんに「通いやすくて落ち着く」と思ってもらえるとうれしいですね。

どのような方が通われているのでしょうか?

親子2代でこの地に開業していますので、昔からこの近所に住んでいる方が多いですね。中には親子3代でかかりつけにしてくれているご家族もいるんですよ。下町の医院ですから、患者さんの症状も多種多様です。風邪や腹痛など日常の体調不良、糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病など、幅広いお悩みに対応することで地域医療に貢献できていると感じています。当院は地域の皆さんにとっての医療の入り口。不調があればまず気軽にご相談いただいて、必要があれば設備の整った専門病院や大規模病院にご紹介するのが私の役目です。そのために地域の病診連携にも力を入れています。

先代から引き継がれた点、時代に合わせて変えた点を教えてください。

神原礼文院長 神原医院2

父と同じく私も地域医療への思いが強く、地域の皆さんの健康を守るクリニックとして、60年間変わらず診療に努めています。時代とともに変化したのはレイアウトや設備で、患者さんが通いやすいクリニックとしてリニューアルしました。特に検査機器の充実に力を入れ、エコーや血球計数器で迅速に検査を行い、タイムリーにすぐ結果が出るような設備を整えました。世の中のニーズに合わせ、在宅医療や発熱時の外来など診療の幅も広がっています。

ありがとうを胸に。在宅医療へのこだわり

在宅医療についてお聞かせください。

神原礼文院長 神原医院3

当院の歴史と一緒に、以前より通われている患者さんもお年を召されてきました。通院が難しくなった方もいらっしゃいます。私は在宅医療をそれのみで考えているわけではありません。お元気で通われていた患者さんが高齢になられるのは当たり前のことで、通えなくなったならばサポートの場を院内での診療から在宅医療に切り替える。そういう自然の流れで在宅医療を利用してほしいと思っています。人工呼吸器や在宅酸素を備え、健康チェックから専門的なケアまで行います。在宅医療は特別なことではなく「ご自宅で最期を迎えたい」と考える方の一つの選択肢にすぎません。訪問看護ステーションと連携し、看取りも含めて心を込めた医療対応をさせていただいています。

これまでの在宅医療で印象に残っていることはありますか?

ご家族からの「最後まで診てくれてありがとう」の言葉はやはり心に残ります。自分の家で最期を迎えたいと望まれる方は、少なくありません。しかし同時に、在宅医療の難しさも感じています。患者さんの希望やご家族の意向を踏まえ、その中で最良となる提案をしていかなければならない。在宅医療というのはご家族の協力も欠かせませんし、さまざまな負担が生じます。時には入院という選択肢をお勧めすることもあります。在宅と入院のどちらがベストなのか、今でも迷うことがありますよ。患者さんに今後起こるであろう症状や、在宅と入院のメリットやデメリットをお伝えしながら、ベストな方法を患者さんやご家族と相談して決めていきます。患者さんやご家族の人生にまつわることでもありますから、ふと私の選択が果たして正解だったのかと悩むこともあります。ですから「ありがとう」という言葉を頂くことが何よりの励みになっているのです。

発熱時の外来や感染対策にも工夫されているのですね。

神原礼文院長 神原医院4

新型コロナウイルスの問題もあり、屋外にテントを設置して発熱時の外来を設けました。予約の必要はなく、インターホンを鳴らしてテント内でお待ちいただきます。検査・治療・会計まで、他の患者さんと顔を合わせることはありません。発熱時の外来の診療時は一層の注意を払い、私も防護服やフェイスシールドで対応しています。院内には自動検温器とアルコール消毒を設置し、マスクを忘れた患者さんのための予備もご用意しています。待合スペースのソファーは横に長いので、間にアクリル板の仕切りを設置しました。空気清浄機を置き、診療時間内は窓を開け、消毒も定期的に行っています。

今までと変わらず、この地に根を張り続けたい

ところで先生が医師をめざされたのは、やはりお父さまの影響でしょうか?

神原礼文院長 神原医院5

患者さん思いの父への尊敬の念が、私の進路に大きく影響していましたね。自宅兼の医院という環境もあったかと思います。大学は日本医科大学医学部へ進学しましたが、家業を継ぐことは前々から決めていました。いざ引き継いで院長になってみると、診療のスタイルでも父に似ていると感じることがあるんですよ。父が患者さんと築いた信頼関係を大切にしながら、これからも通いやすさと高度な医療を両立させていきたいと思っています。

診療の際に心がけていることを教えてください。

まずは、患者さんとのコミュニケーションでしょうか。何げない会話の中にもSOSが隠されていることも少なくないので、世間話も大切にしています。高齢者の方は特にですね。体調も変化しやすいですし、ちょっとしたことから健康状態を察してあげられるように努めることと、気軽に相談できるような雰囲気づくりも心がけています。そして、高度な診察です。どんなに忙しくても、きちんと患者さんの状態を見極めること。本人はそれほど体調に異変を感じていなくても、中には大病の疑いがある患者さんもいます。的確な診断をして最良の治療を施していくというのが、開業医としての義務だと思います。そして、患者さんを抱え込まないということ。手に負えない症状であれば、一刻も早く適した病院へ紹介しています。経過を見守ることが悪化させてしまう場合もありますから、その判断というのは特にシビアに行っています。

最後に今後の展望をお願いします。

神原礼文院長 神原医院6

これまでと変わらず、南砂町周辺の皆さんが気軽に通えて、親しまれるクリニックでありたいと思います。木に例えるならば、枝を張り巡らすというよりも根を太く深くという感じでしょうか。移り変わる時代の中で臨機応変に対応しながら、どっしりと構えられる医院をめざしていきたいですね。町内会報でお悔やみの欄を見ると、半分くらいは当院に通われたことのある患者さんです。もちろん寂しさもありますが、地域医療に貢献できており地域に支えられているのだと、しみじみ感じます。在宅医療に関わらず「まず診る」が私のモットーで、患者さんには緊急時のために携帯電話の番号もお伝えしています。常に親身になり、患者さんの人生に寄り添って向き合える医師であり続けたいです。私には娘がおりまして、医師の道に進みました。ゆくゆくはこの医院が受け継がれ、末永く地域医療に貢献していければうれしいですね。

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