杉山 日出樹 院長、杉山 陽子 さんの独自取材記事
杉山歯科医院
(江東区/南砂町駅)
最終更新日:2025/05/23

江東区東砂にある「杉山歯科医院」は、1958年の開業以来、65年以上も地域住民の歯の健康を支え続けている。2代目院長の杉山日出樹先生は、妻で歯科衛生士の杉山陽子さんとともに患者をサポート。院内は、2人の温かな人柄を表すようなアットホームな空間だ。その居心地の良さから、子どもから高齢者まで家族ぐるみで通う患者も多い。診療内容は、一般歯科・小児歯科・矯正歯科・歯科口腔外科・審美歯科など幅広く、特に入れ歯やかぶせ物では自由診療にも対応。「患者さんとそのご家族を診るかかりつけ医になれたら」と笑顔で語る2人に話を聞いた。
(取材日2025年3月24日)
65年以上続く、地元に根づく歯科医院
こちらの歯科医院の歴史や、お二人が歯科医師、歯科衛生士になられたきっかけについて教えてください。

【日出樹院長】歯科医師の父が1958年に開業したのが、当院の始まりです。私は東京歯科大学を卒業と同時にこちらで働き始め、父が歯科医師会関連などの対外的な仕事が増えてきたタイミングで、2009年に院長に就任しました。そもそも私が歯科医師をめざしたのは、親族に歯科医師が多かったからです。父や祖父、父の兄弟、いとこも歯科医師という家系で育つ中、やはり子ども心に父に憧れを抱いていたのでしょう。小学校の卒業文集に「将来は歯医者さんになりたい」と書いたように、自然と歯科医師の道を志しました。
【陽子さん】私の父も歯科医師だったので、医療は身近なものでした。大学では福祉について勉強したのですが、父の影響もあってか歯科診療で人の役に立ちたいと思い、大学卒業後に歯科衛生士の学校で学び直したのです。
どのような方が通われているのでしょうか?
【日出樹院長】65年以上も続いているので、親子3世代で通ってくださる患者さんが多いです。私としては何か特別なことをやっているつもりはなく、丁寧な治療や説明を少しずつ積み重ね、患者さんから信頼いただけた結果だと思っています。一般的に、患者さんは歯科医師に対して遠慮がちになる傾向があるようです。けれどありがたいことに、当院の患者さんはフランクで話しやすい方ばかりなのでそういったことがないんですよ。
【陽子さん】年齢を重ねるにつれ、お悩みの内容が変わることもありますね。例えば子どもだった患者さんが20代になって、ホワイトニングなど「見た目」に関する施術を希望されることも。メリットとデメリットをしっかりとお伝えしながら、審美面だけでなく歯の健康も考えた上で、できるだけ患者さんの希望に沿えるよう心がけています。
診療方針をお聞かせください。

【日出樹院長】「患者さん参加型の治療」です。いくら治療をしても、根本的な原因を取り除かなければ治療の繰り返しになってしまうでしょう。だからこそ当院では、口腔内カメラなどを駆使して丁寧に原因や状態を説明し、口の健康維持に対する重要性についてお伝えするようにしています。皆さんのお口の健康意識を高め、継続的にメンテナンスに取り組んでいただきたいという思いからなのですが、もちろん、まずは私が治療を全力で行い、患者さんが抱える痛みや不安を取り除くことが前提です。治療と向き合う私の姿勢を見て、信頼いただく。その上で患者さんに協力してもらいながら、定期的なメンテナンスで良い状態の維持をめざしていきます。
入れ歯は口腔機能を補う道具。使いこなすことが大切
入れ歯治療のニーズが高いそうですね。どのような点を重視されていますか?

【日出樹院長】私はいつも患者さんに「入れ歯は道具だから、食べる・噛む・飲み込む・話すといったことがスムーズにできるまで、使いこなしてくださいね」と言っています。入れ歯は、作ったら終わりではありません。歯科医師がどんなに精巧なものを作っても、「どう使っているのか」「何をどう食べているのか」などで、使い心地は変わるもの。メンテナンス時には患者さんから「これを食べた」「こう使ったよ」という話を聞いた上で、改めて入れ歯を調整しています。入れ歯はこの先何年も毎日使うものですが、口腔状態は、歯茎が痩せるなど年齢を重ねるにつれ変化します。その状態に合わせて、患者さんが入れ歯を「使いこなせる」という段階まで手助けすることを大切にしているのです。
それは保険診療でも自由診療でも同じでしょうか?
【日出樹院長】そのとおりです。当院で扱う自由診療の入れ歯は、歯茎の色に寄せた樹脂でできていてバネのない「ノンクラスプデンチャー」、入れ歯の土台となる床部分を金属で作成した「金属床義歯」、入れ歯を人工歯根や残った歯で支える「オーバーデンチャー」など。またかぶせ物では、金属のフレームにセラミックを焼きつけた「メタルボンド」や、「ジルコニア」を取り扱っています。いずれも保険診療のものと比べると、審美性・強度・耐久性により期待が持てます。とはいえ使いこなせなくては「入れ歯」としての機能は不十分になってしまいます。特に自由診療の入れ歯の場合、使いこなせばその良さを最大限に引き出せるはずですから、定期的なメンテナンスを忘れずに長くご使用いただきたいと思っています。
自由診療の入れ歯について教えてください。

【日出樹院長】ノンクラスプデンチャーはバネがない分自然な見た目が特徴で、前歯を欠損した方にお勧めの治療法。金属アレルギーの方にもお勧めできますね。金属床義歯は金属部分が薄く作製できるため、装着感が良くて熱が伝わりやすく、食事が楽しめるといったメリットが期待できます。金属床義歯ではバネにこだわっており、金やプラチナを採用。これらは耐久性があり調整しやすく、使い心地の良さが長期間続くことも見込めます。自由診療は、「どれが良いかわからない」「高額なので……」といった声が多いです。こちらから無理にお勧めすることはありませんので、気になる方はいつでもご相談ください。
インプラントに関する相談も受けてくださるとか。
【日出樹院長】銀座にインプラント治療の専門知識を持った先生がいらっしゃり、連携して診療を進めています。専門的な分野ですから、設備の整った施設で診断や手術を受けるべきだというのが私の考えです。ですので、インプラント治療が必要という患者さんがいらっしゃったら、人工歯根を埋め込むまではそちらにお願いし、当院で人工歯をかぶせて完成させます。インプラントも入れ歯と同じく、使いこなすことが大切。いきなりかぶせることはせず、仮歯で噛み合わせを確認して調整を施してから仕上げに入ります。
患者の不安を取り除くため、説明も丁寧に
診療の際に心がけていることは何ですか?

【日出樹院長】患者さんの不安を取り除くため、まずはその方をよく観察することを心がけています。例えば高齢で耳の遠い方であれば、少し大きな声で、トーンやスピードにも気を配って説明します。また、いつも来られる患者さんでも「普段と雰囲気が違う」と感じれば、雑談から始めてリラックスしていただくこともありますよ。
【陽子さん】大切にしているのは、患者さん一人ひとりに寄り添った対応をすることです。患者さんが定期的にメンテナンスに来られたり、ご家族やご友人を紹介してくださったりするのは、当院の姿勢に共感し信頼してくださっているからこそだと思います。
患者が子どもの場合にはいかがでしょうか?
【日出樹院長】歯科医院に対する恐怖心を抱かせないように、気をつけています。怖がっているお子さんに対して、無理に治療を進めるようなことはいたしません。たまに中高年の患者さんから、「小さい頃に嫌な思いをしたから、歯科医院は苦手」といった声を聞くことがあるからです。お子さんには、大人になっても抵抗なく歯科医院へ通えるようになってほしいのです。そのため、治療時は親御さんに丁寧に説明を行い、親子ともども安心してもらえるように努めています。親御さんには、お子さんの歯の健康を維持するために、アドバイスも行っています。
読者へメッセージをお願いします。

【日出樹院長】当院は、父の代から「全力で治療にあたる」ということを大切に診療を続けてきました。これからもその「幹」は変えることなく、患者さんに喜んでもらえる新たな取り組みにも目を向けていきたいです。例えば、食べる、話すといった機能が十分に発達していない口腔機能発達不全症と呼ばれる状態の方々に対して、できることがあるかもしれません。
【陽子さん】消化器官の入り口である口腔内の整備は、全身の健康にもつながりますからね。将来的な全身疾患の予防のためにも、ぜひ私たちと一緒に歯の健康を守ることから始めませんか。
自由診療費用の目安
自由診療とはノンクラスプデンチャー/22万円~、金属床義歯/27万5000円~、インプラントオーバーデンチャー/33万円~、かぶせ物(メタルボンド)/12万1000円~、かぶせ物(ジルコニア)/14万3000円~、かぶせ物(ハイブリッド)8万8000円~、矯正/16万5000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。