舘野 冬樹 院長の独自取材記事
スマイルクリニック西大島
(江東区/西大島駅)
最終更新日:2026/01/09
都営新宿線・西大島駅から徒歩3分の場所にある「スマイルクリニック西大島」。同院は、2024年より院長を務める舘野冬樹先生の祖父が開業した「坂井医院」を起源とし、長年にわたり地域のかかりつけ医として親しまれてきた。冬樹院長が継承した現在も、母である舘野香織副院長、父である舘野昭彦先生とともに、親子3人で地域住民の健康を支えている。一般内科や生活習慣病、小児科に加え、てんかんや発達障害、認知症など神経領域まで幅広く対応し、「どこに相談すればいいかわからないときの医療の入り口」として地域を支えてきた同院。今回は、院長就任後も変わらぬ診療姿勢を貫く冬樹院長に、クリニックの歩みや現在の体制、専門性の生かし方について話を聞いた。
(取材日2025年12月10日)
親子3人で地域密着型の総合診療を提供
クリニックの歩みについて教えてください。

当院は、私の祖父が開業した「坂井医院」が始まりです。祖父の代から長く通ってくださっている患者さんも多く、いわゆる顔なじみの方が多いクリニックでした。母であり3代目院長を務めてきた香織副院長、大学病院の小児科で長くキャリアを積んできた父・昭彦先生とともに診療を行ってきましたが、2024年に私が継承し、院長に就任しています。現在の医院名の「スマイルクリニック」には、「子どもたちに、病気を乗り越えて再び笑顔を取り戻してほしい」という思いが込められています。
院長就任後、診療に変化はありましたか?
院長に就任したことで、何か大きく方針を変えたということはありません。ただ、それは意識的に変えなかったというより、これまでの診療の流れが自然に続いている、という感覚に近いです。日々の外来で大切にしているのは、目の前の患者さん一人ひとりの話をきちんと聞き、状況を整理して対応していくことなので、肩書きが変わったからといって、急に診療の姿勢が変わるものでもないと思っています。自分としては、無理に何かを変えようとするよりも、これまで積み重ねてきたやり方を大切にしながら、安定して続けていくことを意識しています。
現在の診療体制について教えてください。

現在も香織副院長、昭彦先生とともに診療しています。曜日や時間帯によって二診体制の日もあれば、三診体制で対応している日もありますが、基本的な体制は以前と変わっていません。現在は、私が内科を担当し、香織副院長は一般内科や小児科を中心に担当。昭彦先生は一般小児科に加えて、てんかん、注意欠如・多動症(ADHD)や自閉症などを代表とする神経発達症を含む小児神経領域まで、幅広く診療しています。私は成人の内科全般と神経内科を中心に、症状の整理や初期対応、どこまでクリニックで診るかの判断を担うことが多いですね。当院の強みは、院内で自然に相談できる体制があるところです。1人で診療しているときに比べて「これでいいのか」と立ち止まれる余地があるのは大きいですし、親子だからこそ遠慮なく意見を言い合える部分も当院ならではといえます。
クリニックの特徴はどんなところにありますか。
医療への入り口としての役割を大切にしています。どこに相談すればいいのかわからないときに、まず受け止める場所でありたいという考え方ですね。内科なのか整形外科なのか、神経の問題なのかはっきりしない症状でも、まずは話を聞き、必要な検査を行い、見られる範囲のものはきちんと診る。その上で、ここで完結しないと判断した場合には、適切な医療機関につなぐ。その判断と動線づくりを丁寧に行っています。
認知症やてんかん、神経に関する専門的な治療も
脳神経内科医として、これまでのご経歴と現在の役割を教えてください。

大学卒業後は内科で臨床研修を行い、その後、神経内科に進みました。大学病院では一般内科診療に加えて、神経内科の臨床、救急診療、研究にも携わり、神経難病や認知症、自律神経に関わる疾患など、比較的幅広い領域を経験してきたと思います。大学院では研究にも取り組み博士号を取得するのと並行して臨床にも継続して携わりました。その中で、新型コロナウイルスの流行によって社会情勢や医療を取り巻く環境が大きく変化したこともあり、結果的に日常診療の現場に軸足を置く形を選びました。現在当院で意識しているのは、「自分が全部診る」ことではなく、「どこまで診るのが適切か」を判断することです。クリニックで抱え込むべきでないケース、早めに専門施設と連携すべきケースを見極めることが、自分の役割だと考えています。
神経内科とはどのような疾患が対象ですか。
神経内科が扱う疾患は幅が広く、末梢神経、筋肉、脊髄、脳に関わる病気まで多岐にわたります。純粋自律神経不全症のような比較的まれな疾患をはじめ、ギラン・バレー症候群、筋ジストロフィー、脊髄炎、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、認知症などが対象ですが、その中でも私は、脳や自律神経に関わる領域を中心に、認知症の診療にも携わってきました。神経難病や認知症は「治療して終わり」という病気ではなく、経過とともに生活や医療の形が変わっていきます。そのため、その時点の状態だけで判断するのではなく、食事が難しくなった場合の対応や、急変時の受け入れ先、入院や在宅医療への移行も含めて、早い段階から道筋を考えることを大切にしています。クリニックだけで完結させるのではなく、病院や多職種と連携しながら支えていく医療を重視しています。
小児の発達や神経に関する相談には、どのように対応していますか?

小児の神経や発達に関する診療は、このクリニックの大きな特徴の一つです。昭彦先生が小児神経を専門として長年診療に携わってきており、てんかんや小児神経疾患、発達障害、自閉症、ADHDなどの相談にも対応しています。発達の問題は、症状だけを診るのではなく、家庭や学校での様子も含めて、時間をかけて診ていく必要がありますし、子どもの頃に発症した神経疾患が成人期まで続く、いわゆるキャリーオーバーのケースも少なくありません。私は成人の診療を中心に担当していますが、そうした場合には院内で相談しながら連携し、継続して対応しています。
迷ったときにまず相談できる身近な医療でありたい
患者さんと接する際に大切にしていることはありますか。

診療の内容は疾患によって異なりますが、どの患者さんに対しても大切にしているのは、基本に忠実であることです。例えば生活習慣病であれば、ガイドラインに沿った治療を行い、検査のタイミングも間延びしないように意識することで、将来的な心筋梗塞や脳梗塞といった重い病気を防ぐことにつながります。また、患者さんが後から振り返って理解できる説明をすることも意識しています。神経や生活習慣病の話は言葉だけでは伝わりにくいため、診察室では検査結果に加えて、画像検索で出てくる図や写真を一緒に見ながら説明し、ご自宅でも同じ言葉で検索すれば再確認できるようにしています。帰宅後も気軽に再確認できるため、疾患への正しい理解につながると考えています。
院外でも幅広く活動されているそうですね。
現在も大学病院で救急領域の指導者として関わっています。また、神奈川県相模原市の医療機関にて救急診療にも継続して携わっています。この他、医師会や行政の活動にも関わっていて、認知症に関する取り組みや、東京都のかかりつけ医養成に関わるプログラムにも参加しています。自分から積極的に役職を求めているというより、神経や救急を担える医師が少ない中で、お声をかけていただいている形ですね。
最後に、地域の方へメッセージをお願いします。

診療では症状だけでなく「なぜこのタイミングで受診されたのか」「何に一番困っているのか」を大切にしています。ここでわかること、対応できることはきちんと診ますし、クリニックで抱え込むべきでないと判断した場合には、責任を持って適切な医療機関や専門職につなぎます。その際も、ただ紹介するのではなく、どういう道筋になるのかをできるだけわかりやすくお伝えしたいと考えています。診察室での説明も、後でご自宅で振り返ったり、ご家族と共有したりできるよう心がけていますので、わからないことがあれば何度でも聞いてください。年齢やライフステージが変わっても、安心して相談できる「医療の入り口」であり続けたいと思っています。

