専門性の異なる多数の医師が在籍
体制を整えチームで行う訪問診療
かわいクリニック
(大田区/蒲田駅)
最終更新日:2024/09/06
- 保険診療
患者の自宅で医療を行う在宅医療には、医師による訪問診療や往診、看護師による訪問看護、理学療法士による訪問リハビリテーション、歯科医師による訪問歯科診療などがある。中でも24時間365日の往診にも対応するクリニックは在宅医療の要だろう。一般的にはクリニックのドクターが外来と両立して一人で訪問診療を行うケースや少数の医師による訪問診療専門クリニックも多い。専門性の異なる複数の医師が協力し、夜間診療にも対応する訪問診療専門の「かわいクリニック」は、呼吸器内科が専門の河井誠理事長が、高齢者を中心に丁寧な医療を提供していきたいという思いで2006年に開院。専門性を持つ複数の医師と手厚い医療体制がもたらす同クリニックの強みを河井理事長に聞いた。
(取材日2022年7月12日/情報更新日2024年9月4日)
目次
異なる専門を持つ複数の医師と手厚い医療体制を整え、24時間365日患者に医療を届ける
- Qこちらのクリニックで行う訪問診療の特徴を教えてください。
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A
当院にはそれぞれ専門の異なる医師が17人在籍しており、手厚い医療体制を整えていることが大きな特徴です。高齢者の医療は総合的に診られることが大切なので、一般的な内科の診療スキルを有した上で、消化器内科、呼吸器内科、循環器内科、外科など幅広い分野の専門の医師が診療を行っています。皮膚科、精神科、耳鼻咽喉科の非常勤医師の対応も可能です。また、当院ではクリニック内にドクターとスタッフが日々、夜間も待機しており、夜間の緊急訪問にも医師とスタッフで対応しています。24時間365日、夜間対応も含めて対応できるよう体制を質的にも量的にも整えていることは、大きなアドバンテージだと思います。
- Qさまざまな専門性を持つドクターが複数いるメリットは何ですか?
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A
例えば担当の内科の医師が精神科を受診したほうが良いと判断したとき、精神科だけ別の訪問診療クリニックの先生に来ていただいたり、通院するというのはやはり不便ですよね。高齢者の場合、複数の疾患をお持ちのことがとても多いので、当院のように他科との連携を一つの院内で行えるのであれば、患者さんに安心感を持っていただけるのではないでしょうか。夜間診療においても、担当の医師が週に1~2回の交代制で行っているため体力的精神的にも余裕ができ、パフォーマンスにも良いと考えています。また、必ずしも対応が可能なわけではありませんが、患者さんの医師に対する要望があればできる範囲で担当医師の選択肢を提示することも可能です。
- Qクリニック内の情報共有はどのように行っているのですか?
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A
1つはパソコンを活用した申し送りです。患者さんの情報を共有するためのシステムを構築しており、スタッフ間の連携もスムーズです。具体的には、夜間に訪問した場合も電子カルテに書き込み、その情報をスタッフ全員が確認するなどです。また、パソコンを利用するだけでなく、出勤した際にはスタッフ同士が直接申し送りについての確認を欠かさず行い、パソコンだけでは補えない部分を直接口頭で確認するなど、顔の見えるコミュニケーションも大切にしています。カンファレンスは週に1回行い、勉強会も行っています。医師を含めスタッフ同士の仲が良いので、和やかな雰囲気の中で仕事ができ、円滑な連携ができていると思いますよ。
- Q嚥下機能評価に注力されている理由と治療内容を教えてください。
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A
例え大きな病気を患っていないとしても、認知機能が衰えれば多かれ少なかれ嚥下機能にも問題が起きてきます。嚥下機能評価は、30秒間にできるだけ多く唾液を飲み込んでもらい回数を測定します。 その結果を踏まえて、嚥下のリハビリや専門家による食事形態の指導、姿勢の指導などを行って誤嚥の頻度を減らせるようにし、可能な限り食事を続けていけるよう取り組んでいます。また、週に1回、土曜日に嚥下専門の医師が嚥下内視鏡を使った指導も行っています。軽度であれば主治医の判断の中でアドバイスし、実際に誤嚥があるなど重症化したり、ご家族から受診の希望があれば院内で連携していきます。
- Q河井理事長が考える在宅医療の在り方を教えてください。
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A
患者さんとご家族とのコミュニケーションはもちろんですが、地域の方とのコミュニケーションも同じぐらい大切だと考えています。例えば、訪問看護師さんやケアマネジャーさん、訪問歯科の先生方、薬剤師さんなど、在宅医療に携わる多くの職種の方々との連携ですね。数を上げたらきりがありませんが、そういった地域のさまざまな職種の方々との連携を、患者さんとご家族との関係と同じぐらい大事にしています。勉強会や交流会も積極的に行って連携を図ってきました。院内だけでなく、在宅医療に携わる多くの人たちの連携を強固にすることが、質の高いチーム医療につながると考えます。