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河井 誠 理事長の独自取材記事

かわいクリニック

(大田区/蒲田駅)

最終更新日:2023/08/22

河井誠理事長 かわいクリニック main

2006年の開院以来、大田区全域を対象に訪問診療を展開する「かわいクリニック」。さまざまな異なる専門性を持つドクターが在籍する同院は、幅広い症状に対応する規模の大きなクリニックだ。広々とした快適なオフィス空間は、従来の訪問診療が持つイメージとは一線を画す。「堅実に確実に進んでいくのが好きです」と話す河井誠理事長は、さまざまな専門を持ち迅速な対応が可能な医師とスタッフによるクリニック内の夜間待機体制や、患者情報の共有システム、ケアマネジャー・介護スタッフとの連携体制など、診療体制づくりを着実に実行してきた。グループクリニックである「あかだクリニック」の外来と連携し、一環した医療を提供できることも強みの一つだ。明るい笑顔が印象的な河井理事長に、同院の訪問診療の特徴や在宅医療への思いを聞いた。

(取材日2022年7月12日/更新日2023年8月18日)

専門を持つ多数の医師が在籍し手厚い医療体制を構築

こちらの訪問診療の特徴を教えてください。

河井誠理事長 かわいクリニック1

当院の特徴は、それぞれ専門の異なる医師が在籍していること、それをはじめとする体制に尽きると思います。現在、常勤の医師だけで17人、専門的な領域では消化器内科、呼吸器内科、循環器内科、外科など幅広く対応していますね。高齢者の医療は総合的に診られることが大切なので、一般的な内科の診療スキルを有した上で、さらに専門を持つ医師が診療に取り組んでいます。皮膚科の医師は週に3回非常勤で勤務しているほか、高齢者の場合、認知症で眠れない、大声を出してしまうといった症状もありますから、そのような場合は精神科の医師が対応可能です。また、耳垢を取ってほしいという依頼も多く、週に1回ではありますが耳鼻咽喉科の医師が対応しています。

訪問診療のための体制づくりをしっかりされているのですね。

数多くの医師が在籍していることによって、急に担当の先生が休みになったとしても複数でシェアし代診が可能になります。また、これもマンパワーがなせる業だと思いますが、当院は常にクリニック内で医師とスタッフが夜間待機しています。夜間の緊急訪問にも医師とスタッフで対応していることは、大きなアドバンテージだと思いますね。24時間365日、対応できる体制を質と量ともに整えることで、患者さんやご家族から連絡が来たら、可能な限り往診に行くようにしています。この体制を構築できたことで、当院から直接訪問することができスピード感もあります。どんな状況でもクリニック視点ではなく患者さんの体調をまず第一に考えて対応することを徹底しています。医師側も夜間の担当が月に1~2回の交代制になることで体力的にも精神的にも余裕ができ、パフォーマンスが良くなると考えています。

患者にとって専門を持つ多くの医師が在籍しているメリットは何でしょう?

河井誠理事長 かわいクリニック2

例えば内科で診ている人が精神科にもかかったほうが良いと判断された時、精神科だけ別の訪問診療の先生に来ていただきますとか、通院してくださいというのはやはり不便だと思うんです。高齢者の場合、複数の疾患を持つことが極めて多いので、当院のように他科との連携も院内で対応することができれば安心していただけるのではないかと思います。また、患者さんによっては女性の先生がいい、男性の先生がいい、あるいは年配の先生、若い先生といった要望があるかと思いますが、医師との相性を含め、ある程度の対応が可能です。

生活の中の小さな変化を見逃さない丁寧な診療を

とても広々としたオフィスのようなクリニックですね。

河井誠理事長 かわいクリニック3

患者さんの数が増えたことに伴いスタッフも増えたため、広い場所に拠点を移す必要があって2021年に現在の場所に移転しました。広々とした職場スペースですとか、休憩室を設けるなどの環境整備には注力していますね。それによって院内のスタッフが働きやすく心穏やかであることが、患者さんに対して優しい対応ができる第一歩になりますから。私たちが疲れ果てていては、優しい言葉をかけることもできないので、働く環境づくりには配慮しています。また、休みの日の当直や、バックアップの体制が確立することで、例えば看取りのような予測の難しい場面においても責任を持って診させていただけます。

近隣のグループクリニックと連携されていると伺っています。

近隣にある同グループの「あかだクリニック」が外来を担っていますので、そこから在宅へもスムーズに移行することができますし、逆に在宅の患者さんにCTやエックス線を受けていただくこともできます。検査のためにクリニックを訪れるのは意外と大変ですが、グループクリニックであれば、そのあたりの事情もわかっているので連携が取りやすいというメリットはありますね。本格的な検査は病院で受けるのが良いと思いますが、もう少し詳しく知りたい、念のためにといった時に、クリニックでCTを受けられるのは便利だと思います。

外来と訪問で診療にはどのような違いがあるのでしょう。

河井誠理事長 かわいクリニック4

訪問診療では、患者さんが暮らしていらっしゃる家の雰囲気がわかるというのが大きいかもしれないですね。生活環境があってのその人の人生なので、家の中が暑い、狭いなど、その一部分に医療的な問題があるのかもしれません。生活や介護などトータルで、その人の生活の質が上がるということですから、在宅医療はそれをいち早く支援できる医療であると思います。医師は医療の部分だけ担っていればいいというわけではないところが、訪問診療に求められる意識だと思います。外来では見られない患者さんの素の部分が見える中で、ちょっとした表情の変化や生活の中の小さなサインを見逃さないことを心がけています。

着実に積み重ねてきた訪問診療への変わらぬ姿勢

先生が訪問診療のクリニックを開院されたのはなぜですか?

河井誠理事長 かわいクリニック5

病院では呼吸器内科に所属し、肺がんや認知症、誤嚥性肺炎を繰り返す高齢の患者さんを数多く診てきました。呼吸が苦しく、通院するのが大変な患者さんも多くいらっしゃいましたが、急性期の病院ではどうしても長期入院することができず、そのような患者さんを訪問診療の医師へと送り出す側だったわけです。大きな病院での限界も感じるようになり、患者さんが安心して療養できる家庭の中に入って、ハートフルな診療を行いたいという思いから、患者さんを受け入れる側である訪問診療のクリニックを開院しました。患者さんをどう看取るかも含め、より近くより丁寧に診る。その人が年老いていくプロセスに伴走してあげることは、とても意味のあることだと思います。ご家族とも密度の濃い関わりになりますから、「おじいちゃんを良いかたちで見送ることができました」といったコメントを頂く時が一番うれしいですね。

診療で大事にされていることは何でしょう?

当院に関わって良かったと思ってもらえる医療サービスを提供したいということです。医師だけでサービスをつくるのではなく、例えば事務スタッフが感じ良く電話を受けてくれたり、予約時の確認が的確にできたり、そういうさまざまな調整も大切ですよね。在宅医療は、ケアマネジャーさんたちとの連携、院内の連携、どちらもチーム医療的な要素が大きいと思います。そういう部分も含め、一人の患者さんに関わる全員でチーム医療を提供する。地域との連携、院内の連携を強固にすることが質の高い医療につながると思います。また、当院では嚥下機能評価に力を入れています。大きな病気がなくても認知機能が衰えれば嚥下に問題が出てきますから、数多くの患者さんが抱えている問題だと思います。食べるということは生きることですし、生きる楽しみでもあります。そこを少しでも長く続けていけるようにという思いで嚥下の問題に取り組んでいます。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

河井誠理事長 かわいクリニック6

僕は堅実に確実に進んでいくことが得意なので、患者さんをしっかり診る、地域の方々との連携を重視するなど変わらぬ姿勢で訪問診療に取り組んでいます。核心的に大事なのは、派手さはないけれども、着実に物事をしっかり行うこと。それが蓄積されて、大きなことにつながっていくのかもしれないですね。人生の価値観として、地味でも確実に物事を積み重ねることが大事だと思っているので、僕自身もそういう人間をめざしています。また、東邦大学の医学生を受け入れているほか、これまでは病院勤めだったけど在宅医療に携わりたいという先生方を受け入れ、僕のこれまでの経験を伝授していけたらという思いもあります。訪問診療を考えている方には、人対人ですから相性もあると思うので、いろいろなところへ相談に行き自分に合うところを選んでいただきたいですね。

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