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加藤純二院長、加藤佳世子先生 の独自取材記事

棚田歯科医院

(北区/田端駅)

最終更新日:2021/10/12

加藤純二院長、加藤佳世子先生 棚田歯科医院 main

北区田端駅近くにある「棚田歯科医院」は、長く地域住民、特に高齢者の口腔内の健康を支えてきた。前院長である棚田医師が病に倒れ後継者を探すにあたり、白羽の矢を立てたのは、元々小児歯科を専門としてきたある夫婦だった。小児と高齢者というと診療内容も対極であるようにも思えるが、加藤院長夫妻は驚くほどスムーズにそれを実現した。小児歯科医として磨いた「痛みの少ない」治療技術と、難しい子どもたちから治療に前向きな態度を引き出すコミュニケーション力、そして歯や口腔内を「常に変化するもの」と捉える柔軟な視点が、このクリニックでの歯科診療にも大いに役立っている。「引き継いで3年で、静かだった待合室に子どもたちの賑やかな声が響くようになりました」と語る加藤純二院長と奥さまの佳世子先生。仕事上のパートナーとしても、人生の伴侶としてもお似合いな2人に、クリニックのなりたちや歯科診療について語ってもらった。

(取材日2015年6月9日)

小児歯科医の夫婦が「高齢者が8割」の歯科医院を受け継ぐことに

先生方のご専門は小児歯科とのことですが、やはり小児の患者が多いのですか?

加藤純二院長、加藤佳世子先生 棚田歯科医院1

【加藤院長】2012年に私たちが当院を引き継いだ時には、患者さんの8割以上は65歳以上のいわゆる高齢者でした。これまで大学病院を中心に長く歯科医療に携わってきましたが、子供を含め比較的若い人の診療が中心でした。都内でも高齢者率が高いと言われる北区で、患者さんの多くを高齢者が占めるこの医院を引き継ぐことは自分にとっても大きなチャレンジでしたが、同時に大きなチャンスでもあり、もう一度成人の治療を懸命に復習し直しました。おかげさまで引き継ぎ後も、古くから通っていた患者さんにもみなさん通院を継続していただいています。
【佳世子先生】3年が経過した現在では、棚田先生の時代からの患者さんが6割、新規の患者さんが4割といったところです。小児の患者さんもぐんと増え、1割程度になりました。待合室が賑やかになってきたと感じています。

小児から成人、特に高齢者の診療への転換ということで、難しさを感じられたことは?

【加藤院長】小児歯科というのは歯科のなかでは特殊な分野です。成人の歯学では保存、補綴(ほてつ)、矯正、審美、口腔外科などというように、細分化が進んでいるのですが、小児歯科では乳幼児から青年まで、一人の歯科医師がすべて診ることになります。一口腔単位での診療となりますから、細かいところは別として、小児歯科から一般歯科への移行は取り立てて難しくはなかったと感じています。
【佳世子先生】小児期は口腔内にダイナミックな変化が起こる時期。乳歯が抜けて永久歯が生えてくるなど、一生のうちで口腔内環境が最も大きく変化します。こうした変化を経験する小児を診ている以上、「歯」のみにこだわって診ることは不可能で、歯並びや顎の発達といったところもトータルに診ることは必要不可欠になります。小児歯科を長く経験してきたことで、口腔内全体を広く診ることができようになりました。また、大きく変化する小児の口腔内に慣れていることから、「口の中とは変化するものだ」という考えも身についています。どんなにしっかり治療された歯であっても、年数を経れば歯グキが痩せたり咬み合わせが変わったりなど、歯を取り巻く口腔内環境は変化して行くのが普通です。長いスパンで診て、適宜調整を加えていくことは欠かせないのです。そうした意味で、歯科のスタートとして小児歯科を経験したことで、成人にもフレキシブルに対応できたというのはあると思います。

小児歯科での治療経験が成人や高齢者の診療にも役立つということですね?

加藤純二院長、加藤佳世子先生 棚田歯科医院2

【佳世子先生】小児の診療では治療を円滑に進めるために、患者さんの「ビヘイビア コントロール(behavior control=行動管理)」がとても大切です。治療を怖がったり、嫌がったりする子どもたちに働きかけて前向きに治療に取り組むよう導くわけですが、そのアプローチは患者さん一人ひとりで異なってきます。小児歯科医として多くの子どもたちと接してきた経験が、現在、患者さんとのコミュニケーションをとるうえでも役に立っているところもありますね。
【加藤院長】基本的には「Tell(話す) Show(見せる) Do(実際に行う)」というステップを踏んで、治療の重要性を伝えることで、納得してもらうわけです。とはいえ、子どもたちのこと。もちろん一筋縄にはいきません。個々の性格をよく知って、真剣に向き合うことで強い絆を築いていくことが大切なんですね。でもこれは何も小児に限ったことではなくて、一般の患者さんの診療においても変わらない大切な姿勢です。

小児歯科のノウハウを生かした、「痛みの少ない」治療が好評

「我慢」が難しい子どもたちへの治療を通して、コミュニケーションの技を磨かれたと?

加藤純二院長、加藤佳世子先生 棚田歯科医院3

【加藤院長】そうとも言えるかもしれません。そして、コミュニケーション技術と同時に磨いたのが、治療の質を上げるための技術です。そのために、私は大学病院時代からレーザーを研究テーマに据え、国内でも早い段階でレーザー治療を歯科に取り入れました。歯科用レーザー自体は90年代からありましたが、当時まだレーザー治療に関する情報は錯綜していました。2003年にそれまで積み重ねてきたレーザー治療に関する情報をまとめて本にする機会を得たのですが、予想以上に多くの反響がありました。レーザー治療は治療のクオリティを格段に向上させることができます。
【佳世子先生】レーザーで歯を削る場合は、従来の方法と違ってあのイヤな音が発生しません。振動の感じ方も変わりますし、痛みも少ないと言われています。もちろん、レーザー治療にも一長一短がありまして、レーザーでは同じ歯を削るのにも少し時間がかかります。また、あまり大きな虫歯になるとレーザーでの治療というのは難しいかもしれません。適する症例に使ってこそ、技術が生きるという部分はあると思いますね。

怖がりの子どもたちのために、「怖くない」「痛くない」レーザー治療を始められたのですね?

【加藤院長】そうですね。昔に比べて大きな虫歯は減っている傾向にありますので、レーザー治療に適応する症状は増えているとも言えます。また、レーザー治療に限らず、小児歯科医である以上、患者さんの痛みにはデリケートであるべきという考えから、可能な限り「痛くない治療」を行うようにしています。例えば、治療前の麻酔の段階から、「こんなに痛みがないのは初めて!」と喜んでいただけるケースが多くあります。みなさんに「痛くない治療を受けられるらしい」との評判が広まり、新規の患者さんにも来ていただけているようです。
【佳世子先生】欧米では広く普及しているラバーダムは、治療の際に患部以外の口腔内を覆うゴム製のシートです。教科書的には歯科治療に欠かせないものですが、実際には国内の歯科医院で使用されている例はあまり多くないのが現実です。舌や粘膜を傷つけるような事故を防ぐ意味でも、患部への感染を防ぐ意味でも効果の大きいアイテムなので、ぜひ国内でももっと活用してほしいと思います。

レーザーという先進の医療導入のきっかけも、患者目線がスタートだったというのは興味深いですね。

加藤純二院長、加藤佳世子先生 棚田歯科医院4

【加藤院長】先端技術の追求とはいえ、医療である以上そこに患者目線というのは欠かせないものだと思います。レーザーと並んで私が関わった歯科医療技術に、ホワイトニングがあります。私は長くこのホワイトニングには否定的な立場をとってきました。濃度の高い過酸化水素水によって歯の表面を漂白するホワイトニングは、どうしても歯にダメージを与えてしまう。特に欧米の薬剤をそのまま輸入して使うと、日本人の歯質に合わないことから多くのトラブルが発生していました。十分な知識を持たずに最新技術を取り入れると、トラブルに繋がるケースが結構あるのですね。縁があって歯を傷つけないホワイトニング剤の開発に参加し、ホワイトニングに関する本も執筆するまでになりました。当院ではホワイトニングも積極的に行っています。

大学での長い経験と人脈を活かしながら、夫婦二人三脚での歯科診療を

ご夫婦で診療にあたられる上での役割分担は?

加藤純二院長、加藤佳世子先生 棚田歯科医院5

【佳世子先生】長く小児専門でやってきたというのもありますし、女性医師であることからいわゆる「お子さま受け」もよいだろうということで、私の方で主に小児の診療を担当しています。それ以外の一般診療や難症例については院長という感じです。身近に相談できる相手がいるので心強いですね。
【加藤院長】パートナーとして相談相手がいるというのは、私にとってもとても助かっています。「一人で医院を切り盛りしている人は悩んだ時どうしているのだろう?」と思うほど、クリニックの運営には小さなものから大きなものまで悩みが尽きません。ちょっと悩んだ時に「どうかな?」と相談できる。そして、多くの場合自分と同じ意見を提示してくれるパートナーの存在は、本当にありがたいですね。

お二人で「棚田歯科医院」を引き継ごうと決めたきっかけは?

【佳世子先生】共通の友人を介してお声がけいただいたのですが、医院を訪れて院内を拝見しただけで、「ここだ!」とピンときました。どこか歯科医院らしくない、温かみを感じさせる点など、私たちの求めているものが形にされていると感じたのです。
【加藤院長】棚田先生の理念に私たちのそれと通じるものがあると感じました。当院の法人名は、「医療法人楓樹会」といいますが、その設立理念に「楓(かえで)の葉は人の手のひらに似ている、楓のような大きな手で、多くの困っている患者さんを支え、包み込むような医療をめざす」といった文言を目にした時に、やはり間違いなかったと思いました。

素晴らしい言葉ですね。ではこれからいらっしゃる患者さまにメッセージをお願いします。

加藤純二院長、加藤佳世子先生 棚田歯科医院6

【佳世子先生】歯医者というと「痛くなってからイヤイヤ行く場所」と思っていらっしゃる方も多いとは思いますが、私たちがめざすのはもっと気軽に来ていただける場所です。初めての医院を訪問する際にはどなたでも不安な気持ちを抱えていらっしゃるとは思いますが、できる限り気楽にいらしていただきたいと思います。お口の中のことはもちろんですし、それ以外のことでも可能な限り親身になってお話を伺っていきたいと思っています。
【加藤院長】大学病院で長くやってきたことが幸いし、いろいろなところに繋がりを持っています。そうした人脈も活用しながら、患者さんの悩みや不安を取り除くお手伝いをしたいと思っています。もちろん、患者さんの要望も取り入れながら、好ましい方向へと導いていけるよう日々努力を重ねていきますので、是非ご相談にいらしてください。

※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

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