加藤 純二 院長、加藤 佳世子 先生の独自取材記事
棚田歯科医院
(北区/田端駅)
最終更新日:2026/06/03
田端駅近くにある「棚田歯科医院」は、高齢者を中心に地域住民の口腔の健康を長く支えてきた。そんな同院を前院長から引き継いだのは、もともと小児歯科を専門としていた加藤純二院長と妻の加藤佳世子先生。小児と高齢者では一見対極にも思えるが、2人は小児歯科で培った治療技術や、治療に対する前向きな態度を引き出すコミュニケーション力を、診療に役立てているという。「静かだった待合室に、子どもたちのにぎやかな声が響くようになりました」とうれしそうに語る純二院長と佳世子先生。歯科医師として尊敬し合い二人三脚で歩む2人に、同院の成り立ちや診療について語ってもらった。
(取材日2015年6月9日/更新日2026年4月8日)
小児歯科が専門の2人が高齢者の多い歯科医院を継承
「棚田歯科医院」を引き継ごうと決めたきっかけを教えてください。

【佳世子先生】共通の友人を介してお声がけいただいたのですが、院内を拝見した際、「ここだ!」とピンときました。どこか歯科医院らしくない、温かみを感じさせる点など、私たちの求めているものが形にされていると感じたのです。
【純二院長】棚田先生の理念には、私たちのそれと通じるものがあると感じました。当院の法人名は、「医療法人楓樹会」といいますが、その設立理念の「楓の葉は人の手のひらに似ている、楓のような大きな手で、多くの困っている患者さんを支え、包み込むような医療をめざす」という文言を目にした時、やはり間違いなかったと思いました。
先生方のご専門は小児歯科とのことですが、やはりお子さんが多いのですか?
【純二院長】当院を引き継いだ当初、患者さんの8割以上は高齢者でした。これまで大学病院を中心に若い方々を診てきた私たちにとって、都内でも高齢者率の高い北区で同院を引き継ぐことは、大きなチャレンジでしたが、同時にチャンスでもあると考えました。そこで、改めて成人の歯科診療について懸命に学び直し、今では古くからの患者さんも継続して通ってくださっています。
【佳世子先生】現在では棚田先生の時代からの患者さんに加えて、新規の患者さんも多くなりました。小児の患者さんやそのご家族が来院されることも増え、待合室がにぎやかになってきたと感じています。
小児から成人への診療に転換されて、難しさを感じたことは?

【純二院長】小児歯科は特殊な分野です。というのも、成人の歯学では保存、補綴、矯正、審美、口腔外科というように細分化が進んでいますが、小児歯科では乳幼児から青年まで一人の歯科医師がすべて診ます。つまり、分野を問わず包括的な診療をしますので、小児歯科から一般歯科への移行はそう難しくはなかったと感じています。
【佳世子先生】乳歯から永久歯への生え替わりなど、ダイナミックな変化を経験する小児期は歯だけでなく、歯並びや顎の発達なども含めトータルに診ることが不可欠です。それだけに、口腔内全体を広い視野で診ることができるようになりました。また「口の中は変化するもの」という考えも身についていますので、成人にもフレキシブルに対応できると思います。どんなにしっかり治療されても、時がたてば口腔内は変化するものですから、長いスパンで適宜調整を加えることが欠かせないのです。
小児歯科で培った強みを幅広い患者に発揮
小児歯科での経験が成人の診療にも役立っているのですね。

【佳世子先生】小児の診療では治療を円滑に進めるために、患者さんの「ビヘイビア コントロール」と呼ばれる行動管理が大切です。治療を怖がる子どもたちに働きかけて前向きに取り組めるよう導くわけですが、そのアプローチは患者さん一人ひとり異なります。小児歯科医として多くの子どもたちと接してきた経験が、成人の患者さんとのコミュニケーションでも役立つことがありますね。
【純二院長】基本的に「Tell(話す) Show(見せる) Do(行う)」というステップを踏み、治療の重要性を伝えることで子どもたちに納得してもらうのですが、一筋縄にはいきません。個々の性格をよく知り、真剣に向き合い強い絆を築くことが大切なんですね。でもこれは、何も小児に限らず一般の患者さんでも変わらない大切な姿勢です。
コミュニケーション技術以外に研鑽を積まれてきたことは?
【純二院長】治療の質を上げるための技術です。そのために有用なのがレーザーで、大学病院時代からレーザーを研究テーマに据え、国内でも早い段階で歯科に取り入れました。歯科用レーザー自体は90年代からあったものの、当時はまだレーザー治療に関する情報が錯綜していたんですね。2003年には集大成としてレーザー治療に関する情報をまとめて本にする機会を得ることができ、予想以上の反響がありました。
【佳世子先生】レーザーで歯を削る場合は、従来の方法と違って歯科特有の金属音がしません。振動の感じ方も変わりますし、痛みも少ないとされています。一方で、歯を削るのに少し時間がかかりますし、あまり大きな虫歯になると難しいかもしれません。どんな治療にも一長一短がありますので、適した症例に使ってこそ技術が生きるのだと思います。
レーザー治療を始めたのは、子どもたちのためでもあるのでしょうか?

【純二院長】そうですね。痛みが少なければお子さんは安心でしょうし、昔に比べ大きな虫歯は減っていますので、レーザー治療に適応するケースも増えているといえます。もちろんレーザー治療に限らず、患者さんの痛みにはデリケートであるべきですから、可能な限り「痛くない治療」を心がけています。例えば、麻酔の打ち方も「こんなに痛みがないのは初めて!」と喜んでいただけるよう工夫しています。痛みの少ない治療を通じ、長年通っておられる方はもちろん、新規の患者さんにも来ていただけたらうれしいですね。
【佳世子先生】子どもたちのためにという意味では、ラバーダムもその一つ。治療時に歯以外を覆うゴム製のシートで、教科書的には治療に欠かせないものですが、実際に使用される例はそう多くないのが現状です。舌や粘膜を守るとともに、患部への感染を防ぐためにも役立ちますので、もっと活用したいと思います。
豊富な経験と人脈を生かし、二人三脚で地域を支えたい
お話を伺っていると、常に患者目線を大事にされていることが伝わります。

【純二院長】先端技術の追求とはいえ、医療である以上そこに患者目線は欠かせないものです。レーザーと並んで私が取り組んできたものに、ホワイトニングがあります。実は、長らくホワイトニングに否定的な立場を取ってきました。濃度の高い過酸化水素水で歯の表面を漂白することで、歯にダメージを与えてしまうからです。特に海外の薬剤を十分な知識を持たずに使うと、日本人の歯質に合わずトラブルにつながるケースも。ですが、縁あって歯への負担の少ないホワイトニング剤の開発に関わったことで、ホワイトニングに関する本の執筆をするまでになりました。自分で納得のできるケアが可能になったことで、今ではホワイトニングも積極的に行っています。
ご夫婦で診療にあたられる上での役割分担は?
【佳世子先生】お子さんも親しみやすいだろうということで、私が主に小児の診療を担当しています。それ以外の一般診療や難症例は院長です。身近に相談相手がいるので、心強いですね。
【純二院長】相談相手がいることに、とても助けられています。「1人で歯科医院を切り盛りしている人は悩んだ時、どうしているのだろう?」と思うほど、小さなものから大きなものまで歯科医院の運営には悩みが尽きません。ちょっと悩んだ時に「どうかな?」と相談できる。そして、多くの場合自分と同じ意見を提示してくれるパートナーの存在は、本当にありがたいですね。
最後に、患者さんにメッセージをお願いします。

【佳世子先生】歯医者は「痛くなってから仕方なく行く場所」と思っておられる方も多いとは思いますが、私たちがめざすのはもっと気軽に来ていただける場所です。初めて歯科医院を訪問する際にはどなたも不安な気持ちを抱えているとは思いますが、できる限り気楽にいらしていただきたいですね。お口の中のことはもちろん、それ以外のことでも可能な限り親身になってお話を伺いたいと思っています。
【純二院長】大学病院で長くやってきたことが幸いし、いろいろなところにつながりを持てています。そうした人脈も活用しながら、患者さんの悩みや不安を取り除くお手伝いをしたいと思います。もちろん、患者さんの要望も取り入れながら、好ましい方向へと導いていけるよう日々努力を重ねていきますので、ぜひご相談にいらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはホワイトニング/3万円~

