長引く咳は肺炎に発展することも
専門家による原因の見極めが重要
上板橋診療所
(板橋区/上板橋駅)
最終更新日:2026/02/12
- 保険診療
咳がなかなか止まらない。そう感じてはいるものの、仕事や家事などの忙しさから「放っておけば治るはず」とやり過ごしている人は多いだろう。しかし、長引く咳はやがて慢性化やQOLの悪化につながることもあり、決して侮ってはいけないのだという。「中には重篤な病気が潜んでいることも。早期発見・治療のためには専門家による原因の切り分けが重要になってきます」。そう警鐘を鳴らすのは、呼吸器内科を専門としながら内科全般の症状を幅広く診続けてきた「上板橋診療所」の松原宙(ひろし)院長。「診察の9割は問診」と話すほど、診断と治療に重きを置く松原院長に、長引く咳の原因や受診すべきタイミング、放置した場合のリスクまで詳細に解説してもらった。
(取材日2026年1月19日)
目次
長引く咳の原因はさまざま。重篤な病気を早期に発見するためにも、困った時が受診のタイミング
- Q咳が長引く原因について教えてください。
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A
▲問診を重視している同院。受付から丁寧に対応
発症から3週間未満の咳を「急性咳嗽(がいそう)」、3~8週間未満の咳を「遷延性咳嗽」、8週間以上を「慢性咳嗽」と呼びます。急性咳嗽は、ウイルスや細菌などによる感染性咳嗽と、感染微生物の排除後に咳だけ残る感染後咳嗽が大半です。遷延性咳嗽と慢性咳嗽では、乾いた咳は咳喘息や喉頭アレルギー、アトピー咳嗽などが疑われ、痰を伴う咳は副鼻腔気管支症候群や後鼻漏症候群、肺結核、非結核性抗酸菌症などの可能性があります。百日咳、マイコプラズマ気道感染や、間質性肺炎、また逆流性食道炎、心不全などが原因となる場合もあります。まれに食道がんや肺がんの気道浸潤、がん性リンパ管症などの重い病気、心因性の咳もあり得ます。
- Q長引く咳をそのままにしておくと、どんなリスクがありますか?
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A
▲咳の影響から原因疾患までトータルで診療
咳そのものが体に与えるリスクと、咳の原因となる病気が与えるリスクの2種類があります。前者には、肋骨骨折や尿失禁、嘔吐、頭痛や睡眠の質の悪化など肉体的負担や、咳によって出勤できない罪悪感からうつ状態になるなど精神的負担も考えられます。一方後者は、喘息やCOPDが代表的で、長期化すると「夜に眠れない」「呼吸がしにくい」「息切れがひどい」「咳痰が続く」など、QOLの低下を招きます。肺炎を放置すれば、低酸素血症や呼吸困難などを引き起こして入院となる場合があります。その他、肺を包む膜に炎症が起こるがん性胸膜炎や結核性胸膜炎、細菌性胸膜炎を放置すると、同じく呼吸困難に陥り、重篤な症状につながります。
- Qどのタイミングで受診すべきでしょうか?
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A
▲咳が続くときは早めに受診してほしい
一般的な風邪は1週間程度で咳が治まることが多いので、それ以上長引く場合は一度受診してください。特に発熱や膿性痰があれば感染症が疑われるため、早期受診がお勧めです。ただし、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患のある人は、悪化しやすいため速やかな受診が大切です。また、通勤や運動などで体を動かすと息が切れる、呼吸が苦しい場合は、心不全、間質性肺炎、まれに慢性肺血栓塞栓症などで酸素飽和度が低下している恐れも考えられます。これらの場合は、悪化する前に迅速な診断、治療が必要となる可能性が高いため、患者さんご自身で判断するのは難しいと思います。迷ったときこそ受診のタイミングと考えてください。
- Qこちらのクリニックで受けられる診療について教えてください。
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A
▲呼気一酸化窒素濃度測定器をはじめ、各種検査機器を導入
当院の診療の柱の一つは問診です。咳の原因はさまざまなので、いかに丁寧な問診を行うかが診療の成否を左右します。咳のパターンやタイミング、吐き気の有無、生活習慣や環境について詳しく伺います。その後、聴診とともに口腔・咽頭・鼻腔を診察します。必要に応じて、胸部エックス線検査で重篤な病気を確認したり、気道の炎症状態を診る呼気一酸化窒素濃度測定検査(FeNO)と、肺機能を計測するスパイロメトリーも行ったりします。感染やアレルギーが疑われる際は血液検査や喀痰検査も実施しています。治療法は原因によりますが、症状の原因や治療の目的、薬を処方する理由まで詳細に説明し、患者さんとの信頼関係の構築を重視しています。
- Q咳を長引かせないために、気をつけるべきことはありますか?
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A
▲生活環境を整えることが咳の予防につながると話す松原院長
まずは感染性の咳の予防として、手洗いやうがいなど基本的な感染対策のほか、「睡眠時間を十分に取る」「栄養バランスの取れた食事を取る」といった健康管理が重要になってくると思います。加えて、冬場など乾燥する季節は、喉や気道の炎症を防ぐために湿度調節も大切です。また、花粉やハウスダストなどのアレルゲンを吸い込まないよう、日常的にマスクを着用すると良いでしょう。ベッドやマット、カーテン、エアコンのフィルターなどをこまめに掃除することも対策として有用です。その他、粉塵が舞う環境でお仕事をされている方や、周辺に工場が多い地域に住まわれている方も外出される際のマスク着用を推奨します。

