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松原 宙 院長の独自取材記事

上板橋診療所

(板橋区/上板橋駅)

最終更新日:2026/07/29

松原宙院長 上板橋診療所 main

上板橋駅南口から徒歩4分。昔ながらの商店街を抜けた先に「上板橋診療所」はある。ここは、60年以上、地域住民の健康を支え続ける診療所。落ち着いた雰囲気の院内から、同院の歩んできた歴史を感じる。松原宙(まつばら・ひろし)院長は、大学病院などで呼吸器内科に特化した診療からスタートし、その後、地域密着の病院で訪問診療などに従事。現在は、専門の呼吸器疾患やアレルギーのほか、生活習慣病、泌尿器疾患や皮膚疾患に至るまで幅広くカバーしている。科目ごとの専門に特化した診療から、患者の全身をトータルに捉えた診療まで研鑽を積んできた松原院長が、最終的に地域密着のクリニックに行き着いたのはなぜか。その理由とともに、患者との向き合い方について詳しく聞いた。

(取材日2025年7月28日/情報更新日2026年7月6日)

一人ひとり時間をかけ、真摯に診る。質の高い診療を

先生のご経歴を教えてください。

松原宙院長 上板橋診療所1

大学を卒業後、全身状態を把握できる内科の医師に憧れ、千葉大学医学部呼吸器内科の医局に入局しました。そして、大学病院や関連の基幹病院で呼吸器内科、内科の研鑽を積みながら、医師としての礎を築いていったのです。その後は、中規模病院での勤務や訪問診療なども経験し、多様な疾患を診る中で、一人の患者さんをトータルにサポートできる喜びを感じることができました。特に訪問診療では、患者さんの訴えによく耳を傾け、その場で可能な限りの診断、判断をすることの大切さを学んだように思います。また、専門領域だけでなく、非常に幅広い診療を経験できました。例えば、胃ろうの交換も行いましたし、皮膚の感染性粉瘤なども自分で切って排膿していたほどです。当院で診療をする頃には、ほとんど自分一人で対応できるようになっていました。

活躍の場を診療所に移されたのは、なぜですか?

これまでは、外来診療をしながら、病棟で具合が悪い患者さんがいれば、そちらに行って処置をして、訪問患者さんから「具合が悪い」と電話があればそちらにも行ってと、一人三役を担わせてもらっていました。その結果、「一人ひとりの患者さんに割く時間が少なくなっている」と、もどかしさを感じるようになったのです。そこで、「一人ひとり時間をかけてしっかりと向き合う自分の理想の診療スタイルを実現するには、地域密着の診療所で診療するのが良いのでは」と考えたのが、診療の場を移す大きなきっかけになりました。

こちらでは、どのような診療をされていますか?

松原宙院長 上板橋診療所2

内科・呼吸器内科・アレルギー科を掲げ、泌尿器疾患や皮膚疾患に至るまで幅広く対応しています。たとえ規模が変わっても、これまでのすべての経験を生かし、ご来院くださる方々の困り事を一つ一つ解決して差し上げたいという一心で診療をしてきました。その思いが通じたのか、「困ったことはなんでも相談してみよう」と通ってくださる方が次第に増え、うれしい限りです。私は特に問診を重視しており、診療では、常に患者さんのお話を丁寧にヒアリングするよう努めています。また、患者さんの年齢層が幅広いので、それぞれ微妙に異なるニーズに合わせて診療することも大切にしてきました。例えば、ご高齢の方であれば、今後の要介護になる可能性を踏まえ、今からできる食習慣・生活習慣の改善やフレイル予防のアドバイスをするなど、先の人生を見据えた診療を実践しています。

問診が9割。患者の声に耳を傾け、不調の原因を追究

患者さんと向き合う際、心がけていることは何ですか?

松原宙院長 上板橋診療所3

まず患者さんをよく見ることです。私は、待合室にいらっしゃる患者さんを自ら呼びに行くようにしているのですが、その瞬間の表情や姿勢、歩き方、歩いたときの息切れの様子など、最初からすべてよく観察しています。つまり、私の診察は待合室から始まっているのです。また、パターン化された診断や治療を行うのではなく、「本当にそれでいいのか?」と常に疑いを持って、そのときの最善の対応を追求してきました。困っていらっしゃる患者さんに対して、ベルトコンベヤー式な診療は絶対にしたくありませんからね。お一人お一人の診療にしっかりと時間をかける。それが私の信条なんです。

特に問診を重視しているそうですね。

私は診療において、問診が9割と考えています。例えば、私の専門分野の呼吸器内科では問診内容が非常に多岐にわたります。「咳が出る」という症状一つをとっても、「いつ咳が出るのか」「発作的に起こるのか、断続的に起こるのか」「タバコを吸っているか」「ペットを飼っているか」「仕事で粉塵を吸入する機会があるか」「家のそばに工場があるか」など、さまざまなことを聞かなければなりません。こうして丁寧に問診をすることで、8割か9割は診断の予測がつくと考えています。ここでは呼吸器を例に出しましたが、循環器も消化器も一緒です。まずは問診を通して患者さんの訴えをしっかり聞き、きちんと整理と理解をして、今何を求めているのかを追求しています。

力を入れている診療について教えてください。

松原宙院長 上板橋診療所4

診療所ですので、患者さんの全身をトータルに診ることができるのは当たり前だと思っていますが、当院はその「トータルに診る」の内容が通常の内科クリニックよりも広いかもしれません。例えば、一般内科では頭痛、睡眠・覚醒障害のほか、慢性腎臓病、胃食道逆流症、消化器の機能性ディスペプシアなどにも対応しています。このトータルな診療は今後も注力したいですね。また、専門領域の呼吸器内科には特に力を入れています。実際にホームページに記載された「咳が出る」という項目を見て、呼吸器の不調やアレルギーに悩まれる方が多くいらっしゃいます。なお、呼吸器内科では、近年増加している睡眠時無呼吸症候群の診断と治療も可能です。

自覚に乏しい生活習慣病にも注力。合併症にも目を配る

生活習慣病の診療にも力を入れていらっしゃるそうですね。

松原宙院長 上板橋診療所5

主に糖尿病や高尿酸血症、高血圧症、脂質異常症、夜間頻尿、肥満症の診療に力を入れてきました。生活習慣病は自覚症状に乏しいため、健診の結果が要検査や要受診となった方は早めの受診をお勧めします。また、口渇・多飲・多尿や、急激な体重減少が見られる方は糖尿病が疑われる場合があります。その他、高血圧が進行すると後頭部から頸部にかけて痛みが生じることもあるので、気になることがあれば受診をご検討ください。当院では、厚生労働省の生活習慣病療養計画書に沿って、お一人お一人の状況に合わせた治療計画を立ててきました。また、患者さんが治療内容に納得できるよう一つ一つ丁寧に紙に書き出してご説明することを大切にしています。そして、何より重要なのは生活習慣病の背景にある心筋梗塞や心不全、脳梗塞、慢性腎臓病など重大な合併症を見逃さないこと。定期的な採血や検査を通じて病気の進行を早期に把握し、重症化を防げるよう努めています。

患者さんや地域の方へ、お伝えされたいことはありますか?

私が呼吸器を専門としているため、咳症状で来院される方はとても多いです。ですが、中には仕事に追われてなかなか受診する時間をつくれないという方や、「咳くらいならそのうち治るのでは」「咳だけで受診してもいいのかな」と、ためらわれる方もいます。しかし、ただの咳だと思っていたものが、実は心不全などの命に関わる病気だった、ということもあり得るのです。実際に「もっと早く診察することができたら、つらい思いをさせずに済んだかもしれない」と思うことは少なくありません。一番大切なのは患者さんご自身の体ですので、「困ったらすぐに受診」という意識を持っていただきたいですね。当院では、症状の背景に潜む重篤な病気を見逃さないよう、きめ細かな診断に努めてきました。もちろん咳症状だけでなく、頭痛や不眠、便秘など幅広いお悩みに対応できるよう日々研鑽を積んでいますので、困り事があればお気軽にご相談ください。

最後に、今後の展望を教えてください。

松原宙院長 上板橋診療所6

以前は、外来でも訪問でも診療し、具合が悪ければ入院もできるという包括的なサポートができる病院にいたので、その経験が今の私の礎になったように思います。たとえ対応できる診療の幅が変わったとしても、来院される患者さんとじっくり向き合って、私ができる範囲のことを精いっぱいしていきたいという気持ちは根本にずっとあります。奇をてらったことはせずに、そういった診療を地道に続けていくこと。それこそが私のめざす診療スタイルです。この地域の皆さんから信頼され、医療のトータルサポートができる診療所となれるよう努めてまいりますので、どんなことでも気軽にご相談ください。