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弓倉 整 院長の独自取材記事

弓倉医院

(板橋区/ときわ台駅)

最終更新日:2024/12/10

弓倉整院長 弓倉医院 main

ときわ台駅から徒歩10分、閑静な住宅街にたたずむ「弓倉医院」。シンプルにまとめられた院内は、どこか懐かしさを感じる。「長年、ご家族そろって通院してくださる方もいらっしゃるんですよ」と笑顔で話すのは弓倉整院長。開業前は宇宙飛行士の健康管理などに携わった経験を持ち、開業後は専門の循環器内科のみならず認知症ケアも含めた内科全般に対応している。東京都と感染症に関する協定を締結している医療措置協定締結医療機関として、安全性に配慮しながら発熱患者の診療にも対応。全国での講演など院外での活動も積極的に行っている。穏やかで話しやすい人柄の弓倉院長に話を聞いた。

(取材日2024年11月5日)

集中治療室や宇宙開発事業団で経験を積む

開業前は、日本大学医学部附属板橋病院のCCU(心臓血管系疾患患者の集中治療室)に勤務されていたとか。

弓倉整院長 弓倉医院1

ええ。その頃は全国の大学病院でCCUが設立され始めた頃で死亡率が高かった時代でした。日曜も休日もすべてを費やし、全力を尽くして治療したにもかかわらず、救命できない患者さんがたくさんいました。それがどうしようもなくつらかったですね。反面、適切な治療につながった方もいらっしゃり、それは非常にうれしいことでした。CCUでの治療は一刻を争うシビアなものです。非常に緊張感が高いのですが、治療の過程がすぐにわかる点で私の性に合っていたと思います。

宇宙飛行士の健康管理のご経験もあるそうですね。

1988年から5年間、宇宙開発事業団で宇宙飛行士の地上訓練中と飛行前・中・後の健康管理を行いました。宇宙飛行士に対するアメリカ航空宇宙局の健康診断の基準はかなり厳密で、宇宙に飛んだ後は、地上の管制室から健康管理を行いました。アメリカでは宇宙航空医学は予防医学の領域です。日本人宇宙飛行士がフライト中は、毎日8時間管制室でヘッドセットをつけて、各種モニターを見ながら健康状態を管理するのが仕事でした。宇宙は重力もなく地上とはまったく違う環境であり、また直接診察はできずモニター越しでの管理で、最初は戸惑いましたね。

さまざまなご経験があって、開院されたのですね。クリニックの患者層を教えてください。

弓倉整院長 弓倉医院2

幅広い年代の方が来院されますが、循環器疾患や生活習慣病で通院している中高年の患者さんが多いです。私は循環器内科の中でも心臓血管系の重い疾患を多く診てきましたので、生活習慣病と心臓の疾患を併せて診療できるのは強みだと思います。例えば糖尿病の患者さんは心筋梗塞や不整脈のリスクが高まるんですよ。心臓に関しては、勤務医時代に健康診断で心雑音を指摘された40代の方がいらしたのですが、心音を聞いてすぐ心臓弁膜症だとわかり、直ちに手術をする運びとなったケースもありましたね。20~30代の若い方ですと、動悸や息苦しさを覚えていて、インターネットで検索し当院を見つけたという方が多いです。原因としては、生活習慣の乱れやストレスから来る不整脈などです。不整脈の薬は副作用も多いので、当院では基本的にまず生活指導で対応するようにして、必要なケースのみ薬物投与を行うようにしています。

コンコーダンスに基づき、患者と二人三脚で病に挑む

循環器では、どのような症状があれば受診すべきですか?

弓倉整院長 弓倉医院3

はっきりとした胸の痛みでなくとも、胸部に違和感があってその頻度が増えている場合は受診をお勧めします。外傷と違って心臓の痛みはわかりにくいもの。胸でなくみぞおちや背中、時にはおなかの痛みとして訴えられる方もいます。しかしこういった痛みは、胃炎や逆流性食道炎など消化器疾患が原因のこともあるので、鑑別診断が欠かせません。狭心症の患者さんには、胸が締めつけられるような感じ、圧迫される感じというのが多いですね。また体を動かした後にこのような症状が感じられる場合も、狭心症の可能性が高いです。もちろん喫煙習慣や高血圧症、脂質異常症などがある方は、より一層注意が必要です。

診療の際に特に気をつけていらっしゃることは?

主に2点あります。1点目は「コンコーダンス」。これまで医療の現場では、患者さんが医師の指導を遵守する「コンプライアンス」の考えが一般的でしたが、今は両者がパートナーとして情報を共有し、意思を確認し合って治療を進めていく、コンコーダンスの概念が中心となりつつあります。私も患者さんに治療に関する情報をお見せしながら、気持ちに寄り添って診療するよう心がけています。2点目は「病気を見落とさない」こと。動悸や息切れなどは珍しい症状ではありませんが、重篤な病気が隠れている場合があります。また症状はなくても、年齢や生活習慣から考えると病気のリスクが高い人もいます。そういった人は大学病院へ紹介して専門的な検査を受けていただき、発症リスクを減らすことにつなげます。

地域の高齢者医療、特に認知症ケアに注力されていると伺いました。

弓倉整院長 弓倉医院4

ご高齢の方に簡易の認知症検査を行っていた経験から、想像以上に多くの方が認知症のリスクを抱えていることがわかっていました。そこで2004年に板橋区認知症を考える会を立ち上げて、板橋区医師会や東京都健康長寿医療センターなどと連携を取りながら、認知症に対する情報共有や意見交換を行っています。認知症に関しては新たな薬も開発されていますが、人生100年時代の大きな課題ですから、今後もしっかりと取り組んでいきたいですね。

認知症の診療において、どのようなことを重視していますか?

患者さんのご家族に対するアドバイスが重要と考えています。患者さんご本人の健康はもちろん大事ですが、介護をしている家族が疲弊することもあるからです。また、ご家族が適切な知識を持たずに患者さんと接していると、「なんで同じことを聞くの!」などと、間違った対応をしてしまいます。ですのでより良い接し方を指導したり、また認知症の家族会をご紹介したりするなど、状況に応じてご家族をサポートできたらと思います。さらに、ケアマネジャーなど地域での連携も必要です。認知症は早期に発見し、ケアマネジャーをつけて、その方の生活を早いうちから支援するのが理想的です。患者さんを担当するケアマネジャーとじかにお会いして、サポートの仕方などを話し合ったりもしています。

安心して相談できるクリニックとして

クリニックの外でも幅広く活動されていますね。

弓倉整院長 弓倉医院5

日本学校保健会の専務理事として10年目になります。その関係で日本各地の学校やイベントに出向き、養護教諭や保健の先生、校長先生、教育委員会の方々などに、アレルギーやメンタルヘルスなど、現代の子どもたちの健康課題について話をしてきました。現代では家庭内でも親子の会話が減ったせいか、メンタルの不調を訴えるお子さんが増えているように感じますね。親御さんにはぜひお子さんと会話の時間を設けて、悩みなどを聞いてあげてほしいと思います。その他、一般の方々への健康講座など、院内診療以外にも医療に関するさまざまなことに携わっています。全国を飛び回っているため休診日も増えてしまうのですが、特に循環器疾患の患者さんに対しては、そちらも踏まえた治療のスケジュールを組んでいます。

クリニックでは、どのような感染症対策をされているのですか?

当院は、東京都と感染症に関する協定を締結している医療措置協定締結医療機関です。そのルールにのっとって、一般診療や予防接種など通常の患者さんと発熱の患者さんとで診療時間帯を分けています。具体的な振り分けについては受付や当院のホームページにてご確認ください。いずれの場合も患者さん一人ひとりの状態を診て、症状が落ち着いている方に関しては、ご希望に応じて薬を多めに処方するなど工夫をしています。

最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

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新型コロナウイルス感染症の扱いは数年前とは変わってきましたが、感染症そのものが消えたわけではありません。またそれ以外にも、インフルエンザ、手足口病、マイコプラズマ肺炎など、感染症は数多く存在します。今一度気を引き締めて、手洗いやマスクなど風邪をひかないための工夫をしましょう。またヘルスリテラシーの一環として、信頼できる情報源を持つことも大切。いろいろな情報が飛び交う中で、何が適切な情報なのかを見極める意識を持つことが必要だと思います。私は地域のかかりつけ医として、板橋区の皆さんが安心して健康的な生活を送れるよう、これからもこの板橋での地域医療に貢献していきたいですね。

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