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弓倉 整 院長の独自取材記事

弓倉医院

(板橋区/中板橋駅)

最終更新日:2025/09/08

弓倉整院長 弓倉医院 main

中板橋駅から徒歩8分の閑静な住宅街にたたずむ「弓倉医院」。待合室のファブリック類も家庭的で、親しい友人宅のような心休まる空間だ。「長年、ご家族そろって通院してくださる方もいらっしゃるんですよ」と静かにほほ笑むのは弓倉整(ゆみくら・せい)院長。かつて宇宙開発事業団で勤務したこともあるユニークな経歴の持ち主だ。開業後は専門の循環器内科のみならず認知症ケアも含めた内科全般に対応してきた。「板橋区認知症を考える会」「板橋区脳卒中懇話会」も立ち上げ、高齢社会の問題にも早くから着手。日本学校保健会専務理事も務め、全国での講演など、院外活動も積極的に行っている。多忙を極めながらも、おっとりと品の良い雰囲気にホッとする患者も少なくないだろう。誰とでも穏やかに向き合う弓倉院長に詳しく話を聞いた。

(取材日2025年6月2日)

集中治療室や宇宙開発事業団で経験を積む

開業前は、日本大学医学部附属板橋病院の心臓血管系疾患患者の集中治療室(CCU)に勤務されていたとか。

弓倉整院長 弓倉医院1

ええ。全国の大学病院でCCUが設立され始めた1980年代当初から勤務していましたが、その頃はまだ死亡率が高かった時代でした。日曜も休日もすべてを費やし、全力を尽くして治療したにもかかわらず、救命できない患者さんも多く、それがどうしようもなくつらかったですね。反面、適切な治療につながった方もいらっしゃり、それは非常にうれしいことでした。CCUでの治療は一刻を争うシビアなもので緊張感は尋常ではありませんが、治療の過程がすぐにわかる点で私の性に合っていたと思います。

宇宙航空医学について精通されているそうですね。

1988年から5年間、宇宙開発事業団で医師として日本人宇宙飛行士の健康管理に従事しました。地上での訓練中だけでなく、宇宙飛行士のフライト中には、毎日8時間管制室でヘッドセットをつけて、各種モニターを見ながら健康状態を管理していました。アメリカでは宇宙航空医学は予防医学の領域です。宇宙飛行士に対するアメリカ航空宇宙局の健康診断の基準はかなり厳しく、それにのっとった考え方が必要になるので、たいへん貴重な経験でした。

さまざまなご経験の後に、2代目院長に就任なさったのですね。

弓倉整院長 弓倉医院2

それまで父が43年間、小児科・内科をしていたので、2人合わせて70年以上、この場所で診療にあたってきたことになりますね。令和7年の6月からは私の息子である弓倉哲郎医師が毎週水曜日に診療を行っています。現在は父の代からのご家族なども含め、幅広い年代の方々が来院されています。中でも循環器疾患や生活習慣病で通院している中高年の患者さんが多いですね。私は循環器内科の中でも心臓血管系の重い疾患を多く診てきたため、生活習慣病と心臓の疾患を併せて診療できるのは強みです。一方、20~30代でも動悸や息苦しさを覚え、インターネットで検索して当院にたどり着く方もいらっしゃいます。生活習慣の乱れやストレスから、若くても不整脈を発症する例もあるんですよ。不整脈の薬は副作用も多いので、当院では基本的にまず生活指導で対応するようにして、必要なケースのみ薬物投与を行うようにしています。

患者と二人三脚で病に挑む「コンコーダンス」を重視

循環器に関して、どのような症状があれば受診すべきですか?

弓倉整院長 弓倉医院3

はっきりとした胸の痛みでなくとも胸部に違和感があり、その頻度が増えて来るようならば、早めの受診をお勧めします。外傷と違って心臓の痛みはわかりにくく、胸でなくみぞおちや背中、時にはおなかの痛みとして訴えられる方もいます。これらの痛みは胃炎や逆流性食道炎など消化器疾患が原因のこともあるので、正しく見極めるスキルが問われます。胸が締めつけられるよう・圧迫されるようと感じるならば、狭心症かもしれません。特に体を動かした後にこれらの症状が出るなら、狭心症の可能性が高いです。また、健康診断で心雑音を指摘されたときなども早めに受診してください。

診察の際に何を大切にしていらっしゃいますか?

主に2点あります。1点目は「コンコーダンス」。これまで医療の現場では、患者さんが医師の指導を遵守する「コンプライアンス」の考えが一般的でした。ところが今は両者がパートナーとして情報を共有し、意思を確認し合って治療を進めていく、コンコーダンスの概念が中心となりつつあります。私も患者さんに治療に関する情報を十分お見せしながら、気持ちに寄り添って診療するよう心がけています。2点目は「病気を見落とさない」こと。動悸や息切れなどは珍しい症状ではありませんが、命に関わる病気が隠れている場合もあり油断はできません。症状は特になくても年齢や生活習慣から病気のリスクが高いと判断されるなら、大学病院で専門的な検査を受けていただき、発症リスクを減らすことにつなげます。

地域の高齢者医療、特に認知症ケアに注力されていると伺いました。

弓倉整院長 弓倉医院4

ご高齢の方に簡易の認知症検査を行っていた経験から、想像以上に多くの方が認知症のリスクを抱えていることがわかっていました。そこで2004年に板橋区医師会で「板橋区認知症を考える会」を立ち上げ、東京都健康長寿医療センターなどと連携し、情報共有や意見交換を行っています。当院でも認知症の早期発見はもちろん、できるだけ早くケアマネジャーにつなげ生活を支援することにも尽力しています。また、認知症は介護する方の負担も小さくありません。状況に応じてより良い接し方をお伝えしたり家族会を紹介したり、ご家族のサポートも大事にしています。同様にご高齢の方に多い脳卒中に関しても2006年に医師会で「板橋区脳卒中懇話会」をつくり、病診連携、多職種連携を推進してきました。

家族そろって安心して相談できるクリニックとして

クリニックの外でも幅広く活動されてきたのですね。

弓倉整院長 弓倉医院5

日本が誇る国民皆保険制度が正しく運用されているか監査する仕事にも長年携わってきました。一方、日本学校保健会の専務理事も10年努め、最近は国立感染症研究所と学校保健ポータルサイト上のマップビューの作成に携わりました。これは感染症の「学校サーベイランス」のひとつで、全国のどこでどんな理由で何人の児童生徒が学校を欠席したり、出席停止になったりしたのか誰でもすぐに確認できるというものです。感染症研究の分野で活躍されている先生方から得た先進的な知見は、当院での診療にも多いに役立ち、患者さんにも還元できています。そのほか、養護教諭、校長、教育委員会の方々などに、アレルギーやメンタルヘルスなど、現代の子どもたちの健康課題について話をしてきました。全国を飛び回っているため休診日も増えてしまうのですが、特に循環器疾患の患者さんに対しては、そちらも踏まえた治療のスケジュールを組んでいます。

お忙しい毎日ですが健康維持法などはありますか?

実は以前メタボリック症候群気味だったのですが、14kgほど落として現在もベスト体重を維持しています。健康維持法は、タバコは吸わず、趣味も兼ねてひと月に一度は山歩きをしていることでしょうか。60歳から始めた山歩きでは日本百名山の3分の1を制覇。今年の夏も夏山診療所のボランティアに行く予定にしています。3000メートル近い場所にありリュックを背負って一人で向かうのですが、登りに8時間、下りにも6時間はかかるでしょうね。夏山登山に備え、毎日、スクワットを続けていますし、ゴールデンウィークには丹沢でトレーニングしてきました。診察室のパソコンは私がこれまで訪れた山々の写真を壁紙にしているのですが、楽しみにしてくださる患者さんもいるので、時々替えるなどしています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

弓倉整院長 弓倉医院6

当院は、東京都と感染症に関する協定を締結した医療措置協定締結医療機関です。そのルールに準拠し、一般診療や予防接種などの患者さんと発熱の患者さんの診療時間帯を分けるなど、感染症対策にも引き続き注意しています。新型コロナウイルス感染症の扱いは数年前とは変わってきましたが、撲滅できたわけではありません。また、百日ぜき、伝染性紅斑(リンゴ病)が急に流行するなど、ほかの感染症の挙動がおかしくなってきている点も気になっています。今一度気を引き締めて、手洗いやマスクなどの習慣を呼びかけたいと思っています。さまざまな情報が飛び交う時代だからこそ、信頼できる情報源を持つことは大事です。家族全員が健康について気軽に相談できる場所として、これからも近隣の皆さまのお役に立てれば幸いです。

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