村中 公正 院長の独自取材記事
ときわ台村中眼科
(板橋区/ときわ台駅)
最終更新日:2025/08/12

2010年に東武東上線ときわ台駅前に開業し、2025年に同駅からほど近いメディカルビル内に移転した「ときわ台村中眼科」。院長の村中公正先生は、移転の理由を「人への感謝が根底にあった」と語る。その思いを受けて、広く居心地良いクリニックをつくり、設備を充実させて質の高い医療の提供をめざしている。東京大学医学部附属病院をはじめとする大規模病院で数多く手がけてきた白内障や硝子体の手術の経験を生かした、白内障の日帰り手術も実施。年齢によって気をつけることが変わる眼科領域の診療だが、「ライフステージごとの快適な状態を知る眼科医として伴走したい」という院長に、移転した院内のこだわりや診療理念のこと、分院や病院との連携などについて話を聞いた。
(取材日2025年6月19日)
居心地の良い医院を求めた移転の理由は「人への感謝」
2025年5月に移転をしたそうですが、とても広くきれいな院内ですね。

以前と比べ、倍の面積を確保することができました。患者さんのためになるべく広く居心地良い空間に、先進の機器を備えたクリニックをつくることが、移転の目的でもあります。私は、長年この地域で診療を続ける中で、「人への感謝」というのを強く感じるようになりました。私たちが治療によって提供しているのは、患者さんの治す力を引き出すことで、治療をして改善が図れるのは私たちの力ではなく、患者さんの力であると気づいたのです。そういった患者さんの力、個々の力にも、感謝していかなければなりません。これからも、患者さんの治す力を最大限引き出せるように、質の高い診療でお手伝いをさせていただきたいと思います。
設備面でこだわった部分はありますか?
移転をして新しい設備を導入するにあたり、やはり念頭にあったのは患者さんへの感謝と、その思いをどう還元していくかということです。患者さんの不安を軽減するためのコストは惜しみたくないと考え、手術準備室にはプロジェクターを設置して説明画像を大画面に映し出せるようにするなど、「伝えること」にもこだわりました。また眼科診療には、医療機器が不可欠ですので、当院ではできる限り新しい機器を導入するようにしています。例えば緑内障の手術に使用する機械は、低侵襲な手術が可能で、すべての緑内障が対象ではありませんが、適合する症例に対してはそれまでの機械よりも小さな切開で済み、短時間で手術ができます。他にも、網膜を断層的に見ることができるOCT(光干渉断層計)、眼底の広い領域が撮影できる広角眼底カメラ、複数箇所の照射ができるレーザー機器なども導入しています。
継続して白内障の日帰り手術にも力を入れているそうですね。

勤務医時代に白内障や硝子体の手術を数多く行ってきた経験を踏まえ、クリニックでも先進的な医療機器を備え、高いクオリティーで負担の少ない治療をめざしています。白内障の手術で、患者さんに喜んでもらえたら、医師としてもうれしいと思いますね。硝子体手術は、旭川医科大学の教授を務めている専門の先生に執刀をお願いしているので、大学病院と同等の手術を受けることができます。同じ手術でも、硝子体手術が海深くに潜るダイビングだとしたら、白内障の手術は浅瀬での遊泳のようなもので、装備もリスクも違います。でも浅瀬で泳ぐにしても、ダイビングのできる装備や技術があれば、何かあったときの対応が違ってきます。その技術や知識が、より良い手術に結びつくと考えています。
高い専門性とわかりやすい説明により患者の満足を追求
診療理念である「3つのS」とは、どういった意味でしょうか?

3つのSとは、「Speciality」「Simplicity」「Satisfaction」の頭文字です。「Speciality」は、高い専門性を表わしています。その言葉どおり、日々進歩する眼科医療の知識を取り入れながら、「目のことなら何でも任せてください」という思いで、診療に取り組んでいます。大学病院などとの連携体制も、高い専門性を確保するための手段の一つです。「Simplicity」というのは、できるだけシンプルにという意味で、わかりやすい説明で患者さんにとって負担の少ない治療を実現したいという意味を込めています。その結果として患者さんに「Satisfaction」、つまり満足していただけたら、こんなにうれしいことはありません。
分院とも連携を取られているそうですね。
同じ板橋区の徳丸地区に分院の「徳丸村中眼科」があります。分院長の久保玲子先生は、白内障や眼瞼手術を数多く手がけてきた眼科医師です。僕とはまた違う得意分野があるので、患者さんの症状や通いやすさなどを考慮して、どちらで診療を行うかを決めています。分院へは自分も週1回診察に行きますが、当院とはカルテを共有しているので、患者さんの情報をどちらにいても見ることができます。また、院内カメラも本院と分院で共有していて、リアルタイムの院内の様子を相互に確認でき、より密な連携を取れるようになりました。
他の医療機関との連携体制についても教えてください。

難症例の場合は、大学病院のように入院設備の整った施設を紹介するなど、患者さんにとってより良い治療が提供できるように体制を整えています。硝子体注射治療においては大学病院と提携し、そこで診断を受けた患者さんに対して当院で処置を行うケースもあります。一方で当院からは検査などの勉強をするため、同大学病院に週1回視能訓練士を派遣しています。また医療機関ではありませんが、眼鏡やコンタクトレンズが必要な患者さんに対しては、眼鏡店からスタッフが当院に出向して調整を行います。さまざまな調整を施した上でその方に合ったものをお作りしたいと考えています。
常に今の快適な状態を知る眼科医として伴走したい
先生はどういった想いでこちらを開業されたのでしょうか?

開業前は東京大学医学部附属病院などで診療を行ってきましたが、大学病院は先進的な研究や臨床に携われる反面、思いどおりの治療ができないもどかしさもありました。それならば、自分の思いを実現できるクリニックをつくろうと思ったのです。まず考えたのは、患者さんとともに闘う場にしたいということ。大学病院では診療時間も短く、医師は患者を「指導する側」、患者さんは「指導される側」にならざるを得ないこともありました。そうではなく、患者さんにきちんと病状を説明して知識を分かち合った上で、一緒に病と闘える場をつくりたいと考えたのです。そしてこれまで、地域の皆さんから「目のことならときわ台村中眼科に任せれば大丈夫」と言っていただけるような診療を心がけてきました。加えて、「人への感謝」も忘れずにこれからも診療に取り組んでいきたいと思います。
スタッフさんたちもその思いを共有しているように感じました。
当院には非常勤の医師なども含めて約60人が診療に関わっていますが、院内ネットワークで情報共有をしています。スタッフ間のコミュニケーションはもちろん、患者さんとコミュニケーションを取るのもうまいスタッフが多く、手術や検査に対する不安などにも寄り添ってくれているようです。自主的に考えられるスタッフが多いことも当院の特徴ですね。医師との連携もスムーズで、長年在籍するスタッフを中心に風通しの良い環境をつくっています。
最後に地域の方へのメッセージをお願いします。

人生100年時代を迎え、高齢になっても視力を保つためには、若い頃から適切なケアをしていくことが必要です。例えば成長期のお子さんならスマホやゲームのこと、青年期以降なら眼鏡やコンタクトレンズの選び方やパソコン画面について、高齢になれば老眼や白内障のことなど、年齢や生活環境によって注意点があります。そういったライフステージごとに、眼科医師としてお役に立てることがあると思っています。どの時期においても、その方にとって一番快適な状態を知っている眼科医が身近にいるのは心強いのではないでしょうか。その役目を担って、これからも末永く伴走させていただきたいと思っています。