菅原 正弘 院長の独自取材記事
菅原医院
(練馬区/石神井公園駅)
最終更新日:2024/08/15
西武池袋線の石神井公園駅近くにある「菅原医院」は、菅原正弘院長が大学病院で長年培った専門性を生かし、糖尿病をはじめとした生活習慣病、関節リウマチや膠原病、骨粗しょう症といった病気の治療に注力。「生活の質の低下を招くこれらの病気の予防や早期発見により、地域の皆さんに豊かな人生を送っていただきたい」と話す菅原院長に、こだわりの検査設備や高い専門性を持つスタッフなど、充実した診療体制を追求する同院の強み、診療に対する思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2021年6月4日)
患者が充実した人生を送れるよう健康面からサポート
貴院の特色を教えてください。
当院は、糖尿病、高血圧、脂質異常症のほか、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病、骨粗しょう症といった全身性疾患の診療に注力しています。こうした病気は進行すると治療が難しく、さまざまな合併症や生活に支障が出るような症状を伴い、患者さんの生活の質を大幅に低下させることがほとんど。当院では生活習慣に関連した病気の早期発見と適切な治療により、患者さんが将来も元気で充実した人生を送っていただけるよう、健康面からサポートしたいと考えています。
糖尿病の治療を重視されるのはなぜでしょうか?
糖尿病の患者さんの数は、予備群も含めると約2000万人ともいわれるほど多いからです。予備群とは、血糖値やHbA1c値などが糖尿病の診断基準までは至らないものの、一般的な数値よりは高めの方のこと。放っておくと糖尿病になると考えられる層で、糖尿病の方はもちろん、予備群にも早期に対処する必要があります。さらに糖尿病は高血圧や脂質異常症などを悪化させ、さまざまな病気を進行させる要因にもなります。例えば血糖値が高いと全身の血管にダメージを与え、動脈硬化による心筋梗塞や脳卒中、骨粗しょう症などを引き起こします。最近では歯周病、うつ病なども糖尿病との関連が指摘されています。地域の皆さんに将来も健康で過ごしていただくには、糖尿病にならない、または重症化させないことが大切です。
どのように治療すればいいのですか?
生活習慣病の管理は食事と運動が基本で、糖尿病の場合は体重、血糖値、HbA1c値などが適切になるようコントロールしていきます。当院では必要な患者さんに対して管理栄養士が個別に食事指導を行います。例えば毎回の自炊が難しければ栄養バランスに配慮したコンビニのお惣菜選びをアドバイスするなど、続けやすさを重視して指導にあたっています。それだけでは改善が難しい患者さんには、尿に余分な糖を出して血糖値を下げるためのSGLT2阻害薬も用いられています。そのほか、インスリンの分泌を促すGLP1受容体作動薬も使われています。この薬はこれまで注射薬のみでしたが、経口薬も出て使用しやすくなりました。さらに病態によっては定期的なインスリン注射が必要になる場合もあります。いずれの場合も食事と運動で血糖値を安定させるのが大前提で、決して「薬があるから糖尿病になってもいい」「食事や運動の管理は後回し」とはいきません。
関節リウマチの治療に役立つ生物学的製剤も提案
診療面ではどんな点を大切にされていますか?
糖尿病や生活習慣病だけ診るのではなく、それらが引き起こすさまざまな病気や健康リスクも含め、総合的に健康をサポートすることです。当院では高血圧や脂質異常症に注意するのはもちろん、動脈硬化が進んでいないか頸動脈エコーや血管年齢測定装置でチェックし、骨粗しょう症の予防指導、筋力低下を防ぐための運動指導などにも対応。また、高齢の患者さんはがんも心配ですから、内視鏡検査で食道や胃のがん検診も希望により行い、専門的な検査や治療が必要な方には近隣の大学病院や地域の基幹病院も紹介しています。心身ともに長く健康でいるために、「血管、脳、体」と「がん、タバコ、コミュニケーション」をそれぞれ英語にした時の頭文字である、3Bと3Cに注意していただきたいですね。
そうした診療における貴院の強みについて教えてください。
一つは詳細な検査ができる設備があること。HbA1c値は即時測定ができるほか、各種の血液検査、心電図検査、エックス線検査、血管年齢測定装置など、一通りの検査が院内で実施でき、患者さんの病状を精密に知ることが迅速な診断に役立っています。また、基礎代謝の測定装置、体組成計などは生活習慣の改善を提案するデータとして重要です。内視鏡検査は、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の私が検査を担当し、患者さんの嘔吐反応が起きないよう鼻からファイバースコープを通し検査を行っています。また、私は大学病院で糖尿病を中心に生活習慣病の検査と治療に取り組み、日本糖尿病学会糖尿病専門医でもあります。当院の看護師、管理栄養士、臨床検査技師などのスタッフも糖尿病に関する専門知識を備えるなど、糖尿病患者さんを診るための体制は整っていると考えています。
関節リウマチなど膠原病の治療のポイントは何ですか?
近年目覚ましく進歩した治療法を採り入れながら、患者さん一人ひとりに合った治療を心がけています。特に関節リウマチにはバイオテクノロジーで作られた生物学的製剤による治療が有用で、炎症や痛みを抑えるだけでなく、関節破壊を止める働きも期待できます。強力な薬だけに、ほかの薬との使い分けや使うタイミングには専門的な知識が必要ですが、日本リウマチ学会リウマチ専門医としての経験を生かし、適切な治療をご提供できると考えています。このほか目や鼻、口の乾燥、疲労感や頭痛、痛みなどの症状が出るシェーグレン症候群も、専門医療機関で検査すると意外に見つかる病気です。根本的な治療薬はなく症状を抑えていく対症療法が主流ですが、気になる症状が抑えられれば、生活しやすくなるはずです。生活習慣病同様、膠原病も進行すると治療が難しくなるため、気になる点があれば早めに受診して検査を受けていただくといいでしょう。
「人間の全身を診たい」との思いから内科を専門に
先生が開院されるまでの経歴を教えてください。
外科の医師だった父の姿を見て、私も自然と医師をめざしました。漠然と外科を考えていましたが、大学卒業前に父から「市中の医院で診る患者さんの大半は内科と関連が深い」とアドバイスを受け、内科を専門に選びました。もともと人間の全身を診たいという考えがあり、その意味でも内科はぴったりでしたね。母校の医局に入局した後は、膠原病、糖尿病、内分泌や血液の病気のほか、感染症、腎臓病などを専門に診療し、まさに全身に関わる病気を診ることができました。また、普段は大学病院で診療していましたが、ほかの病院で勉強する日が週1回あったのです。私は医局ではなかなか勉強できない分野を経験しようと思い、企業からの健診委託機関を選択。胃の検診について学びましたが、これも全身のことを知るために役立ちました。
開院後に始められた「石神井公園糖尿病友の会」とはどういうものですか?
通常の診療ではなかなか詳しくご説明できない合併症、血圧や中性脂肪との関係など、糖尿病に関してより深い情報をご提供する目的で、私がご提案して始めた集まりです。現在は当院の患者さんに会長を務めていただくなど自主的な集まりとして運営されています。残念ながら現在は新型コロナウイルス感染症の流行の影響で休止中なのですが、糖尿病患者さんに加え、糖尿病に関心のある一般の方も対象に、毎月1回、日曜日の午前10時から12時に開催していました。内容は、私が糖尿病に関する新しい情報も含めた講演会を行ったり、眼科など関連する分野の医師を招いたりとさまざま。当院の管理栄養士が食事についてご紹介することもありますね。患者さん同士の交流で、糖尿病治療の大変さを語り合い、励まし合うなどの好影響も生まれています。
最後に地域の方にメッセージをお願いします。
糖尿病をはじめ生活習慣病の治療では、食事や運動など生活習慣改善が求められますが、その目標を100%達成しようと頑張りすぎると長続きしないものです。当院では患者さんの病状や生活を踏まえ、なるべく無理のない改善案のご提案を心がけていますから、「食事や運動を制限されるのは大変」と尻込みせず、できる範囲で少しずつ生活を変えていきましょう。まずは受診して、継続していただかないと成果も望めません。スタッフの細かな気遣いに加え、私も多少の雑談も交えながら診療するなど、「来るのが楽しみ」と感じられる医院をめざしていますから、気軽に来院いただけたらと思います。