通院困難者の大切な目を守るため
検査や治療を在宅で行う眼科診療
春日町眼科
(練馬区/練馬春日町駅)
最終更新日:2023/01/13
- 保険診療
情報の8割を視覚から得ていると言われるように、目は私たちの生活にとって重要な役割を担っている。歳を重ねるにつれ、目に関係する疾患も多くなるが、内科のように往診をしてくれる眼科医院はまだ少ない。しかし、眼科疾患は自分では気づかないうちに症状が進んでいたり、失明の危険が潜んでいることも多いため、通院が難しいからといって放置してしまうのはリスクが大きいだろう。「春日町眼科」の中野栄子院長は「視力の低下は生活の質(QOL)を下げてしまい、認知症にもつながるといわれています。往診することで患者さんやご家族の負担が軽減できれば」と話し、通院が難しい患者に対し在宅での診療に尽力している。今回は、大切な目を守るため、往診で受けられる治療や視力低下を放置する危険性など詳しく話を聞いた。
(取材日2022年12月27日)
目次
視力低下はQOL低下につながることも。通院困難な患者の眼科疾患に往診対応
- Q眼科の往診ではどのような診療が受けられるのでしょうか?
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A
緑内障の方は、定期的なフォローがとても重要です。視野が狭くなり薬を使っている方は、その後も眼圧のチェックや眼底に異常がないかを確かめていく必要があります。皆さんがよく耳にする白内障は、在宅での治療は難しいですが手術が必要かどうかなどを定期的にフォローをしていきます。加齢黄斑変性も加齢とともに患う疾患です。急に見えなくなったという訴えがあれば、往診して眼底検査を行い診断していきます。また、結膜炎の患者さんも多いですね。普段は内科の先生から訪問診療を受けられている患者さんでも、目の異物感が強いなど眼科医師による専門的な治療が必要な場合に、内科の先生から依頼を受けて訪問することもあります。
- Q目の疾患には成人病と関係が深いものがあると聞きました。
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A
成人病と関連がある眼科疾患の代表に糖尿病網膜症があります。眼底出血があるのですが、病状がかなり進まないと視力が低下しないため、本人が気づかないうちに悪化してしまうことがあります。糖尿病網膜症を患っている場合は、血糖の急激な変化により網膜症が進んでしまうことがあるため、訪問診療を行う内科医師と連携することも必要です。それから、高血圧で動脈硬化がある方は眼底出血が起こりやすいので、気をつけなければいけません。これらの疾患に必要な眼底検査も、往診で対応が可能です。このように成人病を患っている方は目の疾患も起こりやすいので、眼科の医師にもご自分の体調や基礎疾患を伝えるようにしてください。
- Q視力低下にはどのようなケアをするのでしょうか?
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A
近くの視力を測る検査表は往診に携帯できますが、距離をとって測る視力検査やすべてのレンズセットを持っていくことは難しいです。なので、当院では視力の経緯を見ていくようにしています。以前の通院時のデータをもとに、当時との変化を見て現在の状態を判断します。また、レフラクトメータという機器を携帯し、近視・乱視・遠視の度数を調べる検査を行います。患者さんの中には複数の眼鏡を持っていて、どれが自分に合っているかわからないという方が少なくありません。その場合は、すべての眼鏡を一旦医院に持ち帰って測定し、それぞれの場合にどの眼鏡が適しているのか、わかりやすく写真つきの一覧表にしてお渡ししています。
- Q視力低下を放置したままだと、どのようなリスクがありますか?
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A
自分の家の中のように慣れた場所では、はっきり見えなくてもある程度見えれば普段の生活をすることはできると思います。ですが、例えば白内障を放置していると、ぼんやりとしか見えない状態で入ってくる情報が乏しくなり、脳の認知機能の活動にも影響を及ぼすことで、結果的に認知症が進む可能性が高くなったりQOLを下げることにつながると言われています。逆に、像が頭の中にくっきり入ってくるようになれば、認知機能の活動が活発になるとも考えられます。家の中だけで過ごすよりデイサービスなどに出かける方が多くの情報を受け取ることができ、それが認知症予防にもつながると考えられるのと同じようなことですね。
- Q眼科往診を受けるメリットと相談のタイミングを教えてください。
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A
以前ドライアイの患者さんのお宅に往診したことがあります。その方は寝たきりだったのですが、エアコンの吹き出し口がお顔のほうを向いていて、常にエアコンの風を受けている状態で寝ていました。それがドライアイを悪化させる原因になっていたんです。こういうことは実際に家に伺ったからこそわかることですね。患者さんの生活環境や日々の暮らし方から、病気の原因や改善のきっかけを考えることができるのは、往診ならではのメリットだと思います。眼科往診は保険診療が適応されますし、高齢になり通院が難しいと感じた時やご家族が診察に付き添うのが難しくなった時などは、まずは気軽に相談してほしいと思います。