江渕 知命 院長の独自取材記事
江渕クリニック
(練馬区/大泉学園駅)
最終更新日:2026/10/02
西武池袋線・大泉学園駅北口から徒歩3分の「江渕クリニック」。江渕知命(とものり)院長は、患者を生涯にわたって診たいとの思いから1999年に開業し、「気軽に相談できて頼りにされるクリニック」をめざしてきた。日本循環器学会循環器専門医として専門性を生かし、幅広い内科症状にも対応。健診で高血圧や心電図異常、不整脈などを指摘された人、動悸や息切れ、胸痛、足のむくみを訴える人も多い。胸部エックス線画像をAIで解析するシステムなども導入。患者の生活背景や希望を丁寧に聞き、一人ひとりに合った診療に努める江渕院長に、循環器診療の特徴や早期受診の大切さを聞いた。
(取材日2026年7月6日)
循環器の専門性を生かし、幅広い内科症状に対応
まずはこちらに開業された理由をお聞かせいただけますでしょうか。

当院が開業したのは1999年で、隣のビルの2階で診察を行っていました。私は高知県土佐市出身ですが、日本大学医学部への進学に合わせて上京しました。一時期練馬区にも住んでいたことがあり土地勘があったことや、循環器のクリニックが周囲に少なかったこともあり、重症化してから受診する患者さんを、もっと早い段階で救いたいと思ったのでこの場所を選びました。開業後も週1回、10年ほど日本大学医学部付属練馬光が丘病院で外来診療を続けていたのですが、その思いはより一層強くなりました。このビルに移転したのは、患者さんが来やすい1階で診療できることに惹かれたためです。
現在はどのような患者さんが来院していますか?
お近くにお住まいの方が多いです。開業当初から通い続けてくれる患者さんもいて、患者さんの人生を診られているのかなと開業医として喜びを感じています。最近は、足のむくみや動悸、歩いた時の息切れ、胸の痛みなどを訴えて来られる方のほか、会社の健康診断や区民健診で高血圧、脂質異常症、糖尿病の疑いや心電図の異常、不整脈などを指摘されて受診される方が増えています。一方で、健診で毎年異常を指摘されていながら、自覚症状がないため様子を見ていたという方も少なくありません。受診をすることで治療が必要か、現時点では経過を見てよいか判断することができます。ご自身がどの程度気をつけるべき状態なのかを知るためにも、一度循環器を専門とする医師に相談していただければと思います。
これまで、どのようなクリニックをめざしてこられましたか?

患者さんにとって心の距離が近く、気軽に相談できて頼りにできるクリニックでありたいと考えています。初診時には患者さんのお困り事のほかに、その方の生活背景も差し支えない範囲でお聞きし、豊富な知識を生かして患者さんの疑問に速やかにお答えするよう努め、ご理解・ご納得いただいた上で治療に進むようにしています。病院勤務医時代には、消化器疾患で生活習慣病の指導を受けていても、実は裏では循環器系に異常があり、通院していたにもかかわらず重症化してから病院に来られるような方が見られました。そういった方を救いたいと強く願っています。当院では一次診療としての役割も担っていますので、どの診療科にかかればいいか迷っている方も気軽に相談してほしいです。
豊富な経験を生かし、循環器疾患を適切に見極める
診療において大切にされていることをお聞かせください。

患者さんの不安を一つずつ整理し、診察や検査の結果に基づいて、どのような状態なのかをわかりやすく説明することを大切にしています。高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病は、自覚症状がほとんどないまま進行することが少なくありません。その一方、治療には患者さんご自身の生活習慣の見直しが欠かせない病気でもあります。今はインターネットで病名や薬について調べてから来院される方も多く、書かれている症状がすべて自分に当てはまると不安を強めている方もいます。例えば胸が痛い場合でも、原因は必ずしも心臓にあるとは限りません。肺や食道、骨、神経などの病気が関係していることも。問診だけでなく、痛む場所を確認したり、必要な検査を行い、本当に心臓の病気なのか、別の診療科で診てもらうべき症状なのかを見極めます。
循環器を専門にしている医師としての強みは、どのようなところにあるのでしょうか。
循環器疾患について、緊急に治療が必要なのか、経過を見てよいのか、現時点では問題がないのかを適切に判断できることが強みだと思います。必要に応じて、心電図や心臓超音波検査、24時間のホルター心電図などを行います。患者さんが望まない検査を一方的に進めるのではなく、症状や生活背景を伺い、必要性を説明した上で相談して決めていきます。狭心症や心筋梗塞、心不全などの治療法や治療薬は日々進歩していますから、私自身も新しい知見を学び続けることを欠かしません。同じ薬を漫然と続けず、症状や検査結果に応じて量を調整し、必要なら種類を切り替えることも大切です。早い段階で診断し、適切な治療を行うことで、通常どおりの生活を続けられる病気もあります。病気とうまく付き合えるよう支えることも、循環器専門医の役割だと考えています。
高血圧症などの生活習慣病は、症状がなくても受診したほうがよいのでしょうか。

高血圧症は自覚症状がほとんどないため、そのままにしてしまう方も少なくありません。しかし放置していると動脈硬化が進み、脳や心臓、腎臓をはじめ、全身の血管にさまざまな障害が生じる可能性があります。症状が出てから治療を始めるのではなく、症状のない段階から血圧を適切に管理することが重要です。健診で高血圧症や脂質異常症、糖尿病などを指摘されたからといって、必ずすぐに薬を飲み始めなければならないわけではありません。患者さんがまず生活習慣を見直したいと希望される場合は、食事や運動などの改善から始め、経過を確認することもあります。ただ、受診をためらっている間に病状が進み、結果的に長期間の服薬や手術が必要になることもあります。健診で要受診、要治療などの結果が出た場合は、構えず早めにご相談ください。
一人ひとりの背景に寄り添い、納得できる治療を提案
AIによる胸部エックス線画像解析も取り入れているそうですね。

撮影した胸部単純エックス線画像をAIが解析し、肺に異常が疑われる部分を検出するシステムを導入しています。医師による画像の確認にAIの解析を加え、見落としをできる限り減らすことが目的です。胸の痛みや息苦しさがあると、心臓の病気を心配して受診される方が多いですが、こうした症状は肺の病気が原因となることもあります。そのため、胸部エックス線検査では心臓の状態だけでなく、同時に写る肺にも異常がないか確認しています。循環器の症状を心配して受診された方に、肺の異常が見つかるということもあります。当院では心電図や超音波診断装置なども含め、診断に役立つ機器をできる限り整えるようにしています。
先生が医師を志し、循環器を専門に選ばれた経緯をお聞かせください。
医師の家系に生まれたことが大きく影響しています。土佐市の「江渕診療所」は幕末に創設され、父は3代目の院長を務めていました。昼夜を問わず診療し、地域の人々から信頼される父の姿を見て育ち、一時はほかの職業に憧れながらも、医師を志すようになりました。日本大学医学部への進学後は、急性疾患が多く、適切な対応が予後を左右する循環器に魅力を感じて専門に選びました。責任が大きい分、やりがいのある分野だと思ったのです。勤務医として経験を重ねる中で、患者さんの経過を長く診ていきたいという思いが強まり、一人ひとりと継続的に向き合って、生涯にわたり健康を支えたいと考えて開業の道を選びました。
最後に、あらためて読者にメッセージをお願いします。

大切にしているのは、患者さんが自分の家族ならどうするかと考えて診ることです。例えば、高齢の患者さんに内科的な治療を行うのか、リスクを踏まえて手術に進むのかを判断する場面でも、ご本人の希望や生活背景を丁寧に伺います。医療は画一的なものではなく、一人ひとりに合った治療があるからです。根底にあるのは、医学生時代に学んだ「病気を診るのではなく人を診る」という考え方です。受診すると多くの検査をされたり、薬を飲み続けたりするのではないかと心配する方もいますが、一方的に検査や治療を進めることはありません。生活習慣の改善から始めることも含め、相談しながら方針を決め、必要な場合は専門の医療機関へご紹介します。健診で異常を指摘された方や、胸痛、動悸、息切れ、むくみなどがある方は、症状が強くなる前に気軽にご相談ください。

