伊藤 伸介 理事長の独自取材記事
伊藤歯科医院
(練馬区/氷川台駅)
最終更新日:2024/11/15
氷川台駅から徒歩8分、氷川神社や昔ながらの邸宅が並ぶ道を歩いていくと、真新しい家々が立つ一角に出る。そんな住宅街で長年にわたり近隣住民に頼りにされてきた「伊藤歯科医院」。理事長の伊藤伸介先生は、1922年に、歯科医師となった祖父とこの地に開業した父に続き、100年を超える家業として歯科医療の道を守ってきた。現在は息子である伊藤恵吾先生と伊藤悠吾先生も加わり、常に先進的な治療を取り入れていきたいと積極的な姿勢も持ちながら日々の診療にあたっている。すべてにおいて「基本に忠実に、患者さんに誠実に」という信念が揺らぐことはない。上品だが気取りがなく、一つの言葉の曖昧さも受け流さず真剣にインタビューに向き合ってくれた伸介理事長に、診療にかける思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2024年10月7日)
一人ひとりを温かく迎えてきた歴史ある歯科医院
氷川台で60年以上にわたり親しまれてきた歯科医院であると伺いました。
父がここに開業したのが1961年なので、64年目を迎えました。昔からクリニックと自宅が一緒になっている造りで、白衣姿の父が休憩中にお茶を飲みに帰ってくることもありましたね。クリニックの前には栗畑があり、秋になると収穫された栗が路上で売られていて、治療後の患者さんが買って帰っていたのもよく覚えています。古くからの患者さんには今でも「先生」ではなく子ども時代の愛称である「伸ちゃん」と呼ばれることもあるんですよ。今ではこの辺りも新しいマンションに若いファミリー層が引っ越してきて、町の景色もずいぶん変わりました。なじみの患者さんや新しい患者さんも、すでに当院に通われているご家族やご友人からの紹介で来られた方が多く、地域のコミュニティーに支えられてきたことをありがたく思っています。
先生の代になってリニューアルもなさったとか。
そもそも歯科医院は、どなたにとってもできれば足を運びたくない場所でしょう。それなのに、薄暗かったり、冬場に院内が冷え込んだりしたら、ますます嫌になりませんか? だからこそ、「勇気を出して行ってみたら明るくて心地良かった」と、少しでも感じてもらえる空間にしたかったんです。そのため、待合室には床暖房を導入し、診察室の各ユニットの前には窓を設け、ハナミズキやアジサイ、キンモクセイなど四季折々の植物を楽しめるようにしています。「治療は緊張するけれど、紅葉を眺めていると癒やされますね」と患者さんがおっしゃった時はうれしかったですね。植栽が難しかった北側は診察台が横になると空が見えるように工夫しました。
こちらではどのような診療が受けられますか?
多種多様な患者さんのニーズに応える幅広い診療を行っています。具体的には、虫歯や歯周病の治療、義歯、インプラント治療のほか、審美歯科や予防歯科にも力を入れています。私は口腔外科の出身なので、親知らずの抜歯や転倒による口腔内の外傷の治療なども得意とするところです。患者さんは近隣にお住まいの方が中心で、0歳から90代まで、親子3代にわたりかかりつけにしてくださっているご家族も多くありがたいですね。また、私も息子たちも幼稚園から高校まで同じ学校に通っていた関係で、当時の友人やそのつながりで患者さんを迎えることもあります。
父と2人の息子でタッグを組み多角的な視野で診療
新たに息子さんたちも歯科医師として加わるようになりました。
長男の恵吾は補綴、2歳違いの次男、悠吾は歯周病治療が専門です。現在も大学病院に勤務しながら、週に何日か当院でも診療にあたってくれています。当院は土日も診療しているので、ほぼ休みもなく大変だと思いますが、若いうちの頑張りは年齢を重ねた後の馬力になると信じて疑いません。私自身、かつては大学病院で口腔がん治療を主とするチームに属し、長時間に及ぶ手術にも携わってきた経験に、今なお支えられていますから。私たちはそれぞれ専門が異なるので1枚のエックス線写真を前に親子で議論を交わすことも日常茶飯事です。先進の医療の現場にいる若手と本気でぶつかり合えるのは、一人の歯科医師としてとても有意義です。
お父さまとも一緒に働かれていたのですか?
いえ、私が今の息子たちのような年齢の時、父はすでに病床にあったので、このような時間はつくれなかったんです。かろうじてまだ会話ができた頃に「今日はこんな治療をしたんだ」と話すと、「おお」と大きくうなずいてくれ、口数は少なかったですね。その後、35歳の時に父を、40代前半で母を見送りました。両親の付き添いとして病院通いをすることも多く、自宅介護の日々も長かったですね。だからこそ、患者さんのご家族やご本人が医療関係者からどのような話を聞きたいのか、他人事ではなくよく理解しているつもりです。お気持ちに応えるためにも十二分に説明して、一瞬たりとも手を抜くことなく、最後まで丁寧に診療していきたいと思っています。
診療の際に心がけていることはありますか?
自分自身が受けたいと思える治療、身内に行うような治療を心がけています。例えば、家族が入れ歯が合わずに苦しんでいたら、「慣れるまで我慢して」などと突き放しませんよね。ですから、患者さんが入れ歯の違和感をわずかでも訴えたなら、すぐに噛み合わせを確認して微調整します。少しだけ削るなど、ほんの一手間を惜しまない心配りが、患者さんの気持ちを楽にできるのだと考えています。どんな物事も、手短にしようとすればいかようにも簡略化できますが、こと歯科治療に関しては決してそのようにすると良い結果が得難くなります。基本に忠実であること、細部まで省略せずに問題を見逃さないよう誠実であること。決して難しいことではありませんが、たゆまず継続するには意志が問われます。だからこそ、これからもこの点に関しては大切にしていきたいです。
患者との対話を大切にする、頼れるホームデンティスト
今後の展望についてお聞かせください。
氷川台で診療を始めた頃、若かった方も年齢を重ね通院が困難な方も増えていますので、訪問歯科にも引き続き取り組んでいこうと考えています。もう噛めないような歯でも抜きたくないというご高齢の方も多いのですが、人生の最期をどう迎えるかを踏まえて考えることが今後の課題となるでしょう。また、歯周病は糖尿病などの体の疾患との関係も深いので、医科とも積極的に連携していきたいです。すべてにおいて、これまで大切にしてきたことを、粛々と続けていきたいと思っています。お子さんにも働き盛りの世代にもお年寄りにも、同じように真剣に向き合う姿勢も変えることはありません。また、毎年夏になると、母校である小学校6年生の臨海学校にて水泳指導を行ったり、衛生専門学校で非常勤ではあるが教壇に立ったりしている経験を診療の現場でも生かせているのかなと思っています。
お忙しい毎日ですが趣味などはありますか?
学生時代はアイスホッケー部で医科歯科系大学の大会でベスト6に選ばれたこともあるんですよ。息子たちも小学生の頃からアイスホッケーをしていて、高校では国体に出場、大学時代も文武両道で頑張っていました。アイスホッケーは防具やスティックなどの荷物もかさみ、夜遅くの練習も多いため、どうしても車での移動になります。車の中で試合の反省会をしたり、何だかんだと会話をする時間が多くなるという日々を過ごしてきました。今となってはそんな日常の会話におけるテーマが「今日の診療」に変わっただけなような気もしています。息子2人が歯科医師となり、家族で力を合わせて一歩一歩丁寧に歩んでいけるのは幸せなことなのかもしれませんね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
患者さんとの対話をないがしろにして、十分にご理解ご納得いただかないうちから治療を始めることはありません。どのようなお悩みや質問でも気兼ねなく話していただけるような雰囲気づくりも大事にしています。お口の中の現状や治療に関するメリット・デメリットなどは、専門用語ではなくできるだけ平易な言葉で説明し、口腔内写真などを大型モニターでご覧いただきながら、目で見てわかりやすいようにと心がけています。歯科を家業とし長く営んでまいりましたが、今後とも地域の皆さんのホームデンティストとしてお役に立てれば幸いです。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/22万~27万5000円、セラミックを用いた補綴治療/オールセラミック:6万3800円~