阿部 定範 院長の独自取材記事
武蔵境あべメディカルクリニック
(武蔵野市/武蔵境駅)
最終更新日:2024/09/13
JR中央線と西武多摩川線が乗り入れる武蔵境駅。北口から徒歩約2分の場所にある「武蔵境あべメディカルクリニック」は、ビルの1階にある。段差のない広い間口が特徴だ。待合室は広く、車いすもベビーカーもそのまま入ることができる。院長の阿部定範先生は、慶應義塾大学医学部の関連病院で長く内視鏡検査に従事し、臨床経験も豊富なベテランドクターだ。開業前は製薬会社で新型コロナウイルス感染症のワクチンや薬の開発にも携わっていたという。豊富な臨床経験と培ってきた知識を「今度は地域医療に還元していきます」と話す阿部院長。地域でどのようなクリニックをめざしていくのか、将来の展望も含めて話を聞いた。
(取材日2024年7月25日)
検査を重ねて疾患を特定していくことへのやりがい
こちらのクリニックは、前任の院長から引き継いだそうですね。
そうです。僕は慶應義塾大学医学部の関連病院でずっと診療を行っていたのですが、大学を離れて知り合いの民間病院で働いていた時期があり、いずれは開業しようと思っていました。ちょうど前院長がクリニックを引き継いでくれる人を探しているということを仲介業者の方から聞き、場所的にも自宅から近いので、引き継ぎました。カルテもそのまま引き継いでいるのでご安心ください。開業直前までは製薬会社に所属して、新型コロナウイルス感染症のワクチンや薬を開発する仕事に従事し、内視鏡検査など臨床の現場にも携わっていました。製薬会社で新薬の開発に取り組むという仕事は現在の地域医療とは180度違うのですが、多くの患者さんたちに貢献できると思い、取り組みました。
クリニックは患者さんが最初にかかる医療の窓口ですね。
大学病院はすでに診断が行われている患者さんが大半ですが、クリニックは症状があるけれど何の病気かまったくわからない方々が受診されることが多いです。検査の手段も限られていますし、血液検査もその日のうちに結果が出るわけではありません。何もわからないところから始まるので難しいことはありますが、その分やりがいがあると思っています。例えば、おなかが痛いと受診してみたら、憩室炎という大腸の凹みに炎症が起こる病気などすぐに専門的な治療が必要な疾患が発見される可能性もあります。同じ「おなかが痛い」という症状だけでも、消化器系の疾患は多岐にわたります。しっかりと診断をして、必要があれば大きな医療機関に患者さんを紹介するというのが、地域医療を担うクリニックの役目だと思っています。
新たに力を入れるようになった診療はありますか?
大きく変わったのは、予約なしで受診できる発熱患者専用の外来を設けて体制を整えたことです。待合室にアクリル板を設置し、感染症と一般の患者さんの動線を分けて、診察室も別にして、しっかりと感染症対策を取っています。医療措置協定といって、2022年に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」が改定され、感染症の発生や蔓延時に対応できる施設として協定を締結しました。発熱すると電話をして受診の予約をする医療機関が多い中、当院は予約なしで直接来院していただいて構いません。すぐに新型コロナウイルス感染症かどうかの検査を行います。このご時世ですから、職場で咳をすると嫌がられますし気を使いますよね。周囲を安心させるためにも、発熱したらすぐに受診してください。
内視鏡検査が苦手な人ほど、検査を受けてほしい
内視鏡検査を嫌う患者さんも多いのではないでしょうか?
内視鏡検査を嫌がる方にこそ、当院で内視鏡検査を受けてもらいたいと思っています。例えば鼻から通す経鼻内視鏡は、太さもうどんくらいで、舌の付け根に触れないので嘔吐反射が少ないのが特徴です。ただ、骨格的に鼻腔が狭い人は多少鼻の痛みがありますが、この部分さえクリアできれば、あとは技術でカバーできます。ちなみに、僕も鼻腔が狭いので、患者さんの気持ちを知っておかないといけないと思い、定期的に経鼻内視鏡検査を受けています。口からの経口内視鏡を選択することも可能です。大腸内視鏡検査は、カメラが大腸の曲がった部分を通過する際に痛みを感じやすいので、ここが医師としての技術の差になります。当院では内視鏡検査を全身麻酔の処置をせず、患者さんの反応を直接見て検査を行いますので、安心してください。
麻酔をかけたほうが患者さんは楽だと思うのですが、何か理由などはあるのでしょうか?
確かに検査を受ける側は、麻酔をしたほうが楽なのですが、覚めるまでに1時間以上のインターバルが必要だったり、その日は車に乗れなかったりと、生活上の制限がいろいろと出てしまいます。少なくとも胃内視鏡検査に関しては5分程度で終わる検査なので、麻酔をする必要はないと思っています。終わったらすぐに帰れるし、食事もできるし、普段どおりの生活に戻れます。仕事がある方は、午前中に検査を受け、午後には普通に仕事に戻れるメリットがあります。
先生が患者さんと接する際に大切にしていることはありますか?
患者さんは、症状も含めて何かしらの目的があって受診されるので、それらをしっかりとくみ取ってあげたいと常に考えています。ただ、午後は比較的時間があって患者さんと話すことができるのですが、午前中はどうしても検査をしながらの診察になるので、立て込むことがあります。今後はそれらをどのようにうまくこなしていくかが課題になると思います。2024年6月から診療報酬が改定され、生活習慣病の患者さんに詳細な話を聞き、食事や運動などの指導を行うことが義務づけられました。診療に時間はかかりますが、その分患者さんの普段の生活を聞き取ることができるので、話を聞く良い機会になっていると思います。
生活習慣病の治療のポイントはやはり食事でしょうか?
生活習慣病は運動も大事なのですが、高齢の方にはなかなか勧められないことがあります。ただ、糖尿病の患者さんに話を聞いていると、間食をしたり食後にダラダラと食べたりしていることが多いので、やはり、食生活は生活習慣病の治療の重要なポイントになると思います。特に食べる量の問題があります。間食はするなとは言いませんが、これだけというように量を決めることが大事です。また食生活のリズムも重要です。食べる時はしっかりと食べて、食べた後はしばらく食べない時間をつくることが大切です。そうしないと膵臓が休むことができず、インスリンを出せなくなってしまうからです。
地域から胃がんの患者を減らし、予防をしていきたい
先生はなぜ医師になろうと思われたのですか?
両親が医師の家系だったというわけではなかったので、今考えてみると、やはり人と接するのが好きだったのと、割と手先が器用だったので、医師の道に進もうかと考えたのだと思います。他の選択肢は考えませんでした。実際に医師になって最初に感じたのは、思った以上に忙しい仕事だということです。今でこそ働き方改革うんぬんといわれていますが、当初はとにかく忙しく、自分の生活よりも患者さん優先で、夜も呼び出され当直も頻繁にありましたから、本当に大変でした。今では当時の苦労が診療の糧になっていると思います。
日々お忙しいでしょうが、趣味にしていることはありますか?
クリニックを引き継ぐ前は、月に2~3回はゴルフに行っていたのですが、今は土曜日も診療で日曜日しか休みがないので、休みの日に朝早く起きてゴルフに行く気にはならず、最近はずっとご無沙汰です。ただ、僕は走るのが好きなので、以前は毎日走っていましたし、マラソン大会にもよく出場していました。今は毎日走りませんが、たまにジムに行った時は必ず10キロは走っています。
最後に、将来の展望と患者さんへのメッセージをお願いします。
僕がライフワークにしているのは内視鏡検査です。ほとんど苦痛は感じないよう配慮しているので、ぜひ一度検査を受けてほしいと思います。また、胃に関しては、胃がんの原因がピロリ菌だと判明し、予防できるがんになりつつあります。ピロリ菌の検査をして、もし陽性であれば除菌のための治療もできるので、発症リスクをグンと下げることが望めます。まずは武蔵野市から胃がんの患者さんを減らしていくことをめざしていきたいと思っています。何か健康上の不安があったら、遠慮なく気軽に相談してください。
自由診療費用の目安
自由診療とは内視鏡検査/2万2000円~、人間ドック/4万4000円~