藤田 光裕 院長の独自取材記事
藤田整形外科
(武蔵野市/吉祥寺駅)
最終更新日:2024/03/18
今なお開発が進む吉祥寺で、父子2代にわたって診療を続けているのが「藤田整形外科」だ。藤田光裕院長は、生まれ育った町に医療という形で貢献したいという亡き父の思いを引き継ぎ、「診療以外の場でも、どのような形で地域貢献ができるかを常に模索しています」と、語る。開業医として多忙な日々を送りながら、現在も他のクリニックでも診療を行い、技術の研鑽を重ねる努力家だ。近年は中高年の運動によるケガが増えているという。自身もトライアスロンが趣味だという藤田院長に、運動時のケガ予防や同院の診療の特徴などについて聞いた。
(取材日2023年12月25日)
運動によるケガは早期治療が大切
最近では、50代以降の患者さんが増えているそうですね。
新型コロナウイルス感染症の流行を経て、これまで外出を控えていた50代以降の方が新しく運動を始めたり、これまで行っていたスポーツを再開したりするようになったためか、運動によるケガをされる方が増えています。多い症状としては急性腰痛症、主にぎっくり腰ですね、それから捻挫。もともと持病としてあった変形性関節症の症状が悪化してしまったという患者さんもいらっしゃいます。いずれも、筋力がない状態で急に運動を行い、筋肉に負荷がかかり過ぎて痛みが生じます。例えば、ぎっくり腰の場合、若い方であれば湿布やコルセットで十分対処が見込めますが、頑固な腰痛の場合はリハビリテーションを行います。リハビリで筋肉のこわばりを取るためのマッサージを兼ねた治療を行い、徐々に可動域を広げていくことをめざします。症状が現れてすぐに治療できればその分回復も早くなることが見込めるので、少しでも早く受診してください。
運動によって生じたケガにはどのように対処すべきでしょうか。
まずは体が発する痛みのサインを、しっかりと受け止めることです。当院ではスポーツによってケガをされた患者さんへ、予防のためのセルフケアの方法や、リハビリを通じて体操のやり方などを教えます。そのときにお話しするのは、自分の今のレベルを理解しなければならないということです。自分のレベルに合わせて負荷を選択すれば、ケガの予防につながります。とはいえ、一般の方が自分のレベルを理解するのは難しいことです。ですので、少しでも違和感や痛みがあったら調べることが大切。患者さんの中には「痛むけれど、我慢して走っていたらだんだん痛みがなくなった」という方もいらっしゃいます。しかし、それはとても危険です。同じく、痛みを薬でごまかしての運動もやめましょう。悪化してから元の状態に戻すことをめざすのはとても大変です。そのうち治ると思わず、原因を特定し予防に取り組むことが必要だと思います。
50代以降、特に気をつけるべきことはありますか。
女性には、骨密度の健診をお勧めします。特に閉経後は急激に骨密度が低下するため、60歳前後で一度骨密度を調べて現状を知っておくことが大切です。骨密度が低下すると、骨祖しょう症によって骨折などのリスクが高まります。現在は骨祖しょう症の薬もたくさん種類が増え、患者さんの治療の選択肢も広がりましたが、一度低下した骨密度を上昇させることをめざすのは大変なので、できるだけ現状を維持できるよう定期的に検査をするのが理想的です。当院で行う骨密度検査は、手首と背骨のエックス線の撮影と血液検査で行います。手首のエックス線撮影で骨密度の状態を、背骨のエックス線撮影で脊椎の圧迫骨折などがないかを見ます。脊椎の圧迫骨折がある場合は、すでに骨祖しょう症のハイリスクな状態です。異常が認められればすぐに治療を開始します。元気に日常生活を送るためにも、1年に1回、骨密度の健診を受けてみてはいかがでしょうか。
超音波エコーの活用で痛みに配慮した治療をめざす
設備の面で特徴的な点はありますか?
レントゲン装置、骨密度検査機器はもちろんですが、腱鞘炎や腱付着部炎などの疾患治療に使用する低出力レーザーなどの機器も充実しています。また、以前より当院では超音波(エコー)検査機器を活用していることも特徴です。整形外科では、レントゲン撮影をすることが多いですが、人体への深刻な影響がないとはいえ、撮影の機会は最小に抑えるべきとの考えから、骨折や骨の病気などの可能性が低い場合、エコーを診断や治療に用いるようにしています。頑固な肩凝り、ぎっくり腰、スポーツ後の筋肉の強張りなど異常な筋肉、筋膜の緊張による疼痛の場合は、エコーを使用して適切な部位に薬液を注射する治療方法も行っています。
診療の中で大切にされているのはどのようなことでしょうか?
整形外科の場合、何かしらの痛みを抱えていらっしゃる患者さんがほとんどなので、その痛みをできるだけ取り除くこと、さらには治療中に痛みを与えないことを一番大切にしています。当院では、手の腱鞘炎の治療に用いる注射器の針は、通常美容外科で用いられているような細いものを使用しますし、注射の場合、エコーで適切な場所を確認しながら注射を打つといった細かい工夫も重ねています。あとは「手当て」という言葉からもわかるように、患部に触れて人のぬくもりを伝えるだけでも、つらさが和らぐこともあるでしょう。ですから実際に患者さんが痛みを訴えている部分に触れて、十分に触診することを心がけています。
東洋医学も積極的に取り入れているとお聞きしました。
注射や薬をできるだけ避けたいと考える患者さんには、東洋医学によるアプローチも可能です。肩凝りにはさまざまな原因がありますが、特定できる原因が見つからない不定愁訴による肩凝りには、漢方を処方します。痛み止めはそのときだけの対処になりますが、漢方であれば全身的な治療につながると考えているからです。西洋医学と東洋医学の両方からのアプローチで、患者さんが納得できる治療を行いたいと思っています。
朗らかで優しいスタッフがつくる明るい雰囲気
スタッフさんの雰囲気がとても良いですね。
当院には、柔道整復師のスタッフをはじめ、看護師や助手、事務など全部で8人のスタッフがいます。みんな優しく思いやりがあり、人と接することが好きな人ばかりですね。20代から年配の方まで、スタッフの年代も幅広いです。患者さんからするとスタッフが孫や子どものようにも感じられるようで、とても和気あいあいとした雰囲気で会話を楽しむ方が多いです。
今後の希望や展望を教えてください。
地域に密着し、貢献できる整形外科クリニックでありたいと考えています。吉祥寺はちょうど今変化を迎えており、働き盛りのファミリー世帯がマンションを購入して移り住んでいるため、住民の年齢層も変わりつつあります。そのため、高齢の方はもちろん、私たちの世代や若い世代の方でも通えて、さまざまな悩みを気軽に相談できる場所でありたいと考えています。木曜は夜7時半まで診療していますが、その時間帯は若い世代の患者さんが多く、ニーズを感じます。もう少し通いやすいように、夜間の診療時間の拡大なども、今後視野に入れていければと思います。
読者の皆さんへメッセージをお願いします。
父の代からお世話になっているこの吉祥寺で、地域の皆さんのかかりつけ医となれるようなクリニックにしたいと思っています。お子さんのケガから、スポーツによる障害、高齢者の運動機能改善まで幅広く診療しますので、お困りのことがあればご相談ください。当院では、ワクチン接種も行っています。以前から実施していたインフルエンザワクチンに加え、肺炎球菌ワクチン、帯状疱疹のワクチンも取り扱いを始めました。ワクチン接種をご希望の方はお問い合わせください。また、最近は介護に移行する前のご高齢の方のケアが問題となっています。介護保険などを使っていただくことで、当院でもサポートが可能です。ご家族や地域に心配な方がいらっしゃればお声がけください。