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立川 秀樹 院長の独自取材記事

パークサイド日比谷クリニック

(千代田区/日比谷駅)

最終更新日:2020/04/01

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日比谷の新たなランドマークとなった、東京ミッドタウン日比谷のすぐ目の前。「パークサイド日比谷クリニック」は、同じビルにある「ストレスケア日比谷クリニック」の分院として立川秀樹先生が院長となり12年前に開院した。2019年4月からは、本院から独立した医院として診療を行う。院長の立川秀樹(たつかわ・ひでき)先生は、これまでの診療経験を生かし 「職域でのストレス障害」と、「摂食障害」の治療に注力している。特に摂食障害については、関東全域から患者が訪れるのだという。先生が患者によく言うのは「なんとかしますよ」「なんとかなりますから」という言葉。不安を抱えた患者にとっては何よりほっとする一言だろう。
(取材日2019年3月15日)

患者の物の見方、考え方の癖を見抜き改善をめざす

こちらの診療の特徴はどのようなところにありますか。

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治療法としては精神療法と精神病理を主体にしています。私はドイツ精神医学を学んできました。ドイツ精神医学は、アメリカの精神医学とは少し違っています。アメリカの精神医学は症状に対して病名を決め、治療をするというスタイルです。例えば「今気持ちの落ち込みがあるからうつ病で、うつ病に対してはこの治療をしましょう」という考え方で、診断基準もマニュアル化されています。それに対して、ドイツの精神療法はうつ病の症状がどこから出てきたのかを診るんです。環境の因子が強いのか、それとも患者さんの考え方に問題があるのか。それによって治療法も変わってくるという考えで、当クリニックでも基本的にはそういった治療を行っています。より具体的に言えば、薬に加えて患者さんの物の見方、考え方の癖を改善していくお手伝いをしているということになるでしょうか。

どういった患者さんが多いのでしょうか。

周りがオフィス街なので 、お仕事をしていらっしゃる患者さんが多いですね。もう1つ、摂食障害の患者さんも多くお見えになっています。摂食障害は専門に診ている医師が多くないため、都内はもちろん、茨城や埼玉など関東全域から、患者さんがおいでになっています。ときには遠く九州や東北からもいらっしゃることがあります。

摂食障害にはどのような治療をなさっていますか。

摂食障害、主に過食の患者さんは、最初はダイエットの反動やストレスなどの原因があって食べる行為に走ります。さらに慢性化すると、脳内物質セロトニンの機能異常が起き、何もストレスがなくても過食を続けるようになってしまいます。普通はお腹が空いたら食べたいと思うものなのに、摂食障害が慢性化すると、常に食という概念が意識にあがってしまい、それに支配されるようになります。この段階に至ってしまうと、「努力と意志で食べるのをやめましょう」というやり方ではとても治らない。よく精神科は心の病と言いますが、その前に脳の機能異常を治療しないと、心、つまり考え方の癖も変えられません。その見極めがまず大事になってきますね。

うつ病に悩む患者さんも多いそうですね。

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うつ病の治療も同じように見極めが必要です。お薬を使うのは症状が進んでしまい、休職したぐらいでは治らない、脳の機能障害を起こしている方だけで、いろいろな方法で環境を調整することで改善が見込める方には、積極的に抗うつ剤を処方することはしません。ですから、初診で抗うつ剤をお出しすることは非常に少ないですね。お薬が必要なところまでいっていなければ、休職したり、それが無理であれば自律神経の働きだけを薬で抑え、考え方の癖を指摘してその改善に取り組んだりすることで、症状の改善をめざしていきます。そうして、なるべく自然の治癒力に頼りたいと考えています。

診察室で普段通りの姿をみせてもらえるように

それは先生とお話をしているうちに元に戻っていくのでしょうか。

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精神科では話を聞いてくれるものというイメージがありますが、お話を聞きながら、その方の感覚の癖や習慣を知ることが大事なんですよ。もちろん、治療の一環として患者さんのご事情を聞いたり、つらいお気持ちを共有したりということもしますが、一番の肝はなぜそういう考え方をするようになったかを知ることです。頭の中で起こっていることは言葉を通して見えるようになるというのがドイツの精神医学の考えで、そこから治療が始まります。

診療の際にどのようなことを心がけていらっしゃいますか。

患者さんとの間の敷居をなるべく低くすることですね。私の仕事は患者さんの考え方の癖を知ることから始まりますから、なるべく普段通りにお話していただける環境をつくることが大事になってきます。人はどうしても初めて会った人には構えるもので、そうすると普段通りの考え方ではない話し方をしたりするものです。最初は出身地の話をしたりすることから始めて会話を重ね、患者さんの実生活での反応を診察室にもってきてもらえるように努めています。仲良くなるというのとは少し違い、一定の距離は保ちますが、肩肘張らずに会える関係を築くことが大事です。そのために診察でも白衣は着ませんし、ネクタイも締めません。電子カルテも患者さんが「顔を見てくれない」と嫌がられるので採用していません。

初診は予約が必要ですが、2回目からは予約を取らずに来院することもできるのだそうですね。

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当クリニックでは大体1週間後、あるいは2週間後にまた、というサイクルで診療を行っていますが、その間に症状が変わったり、あるいは薬の服用効果はまだわからなかったり、とさまざまです。そのためにいつでも来られる時間帯をつくっておいた方が患者さんも来やすいのではないかと予約の要らない時間帯を設けています。このシステムで1つだけデメリットは、待ち時間が少しかかるということでしょうか。どうしても待ちたくないという方のためには、予約診療日も設けています。じつは当クリニックは患者さんがおいでになる頻度が高いんですよ。2週間に一度がスタンダードだと思いますが、週に一度いらっしゃる方も多いんです。2週に一度より1週間に一度お会いした方が、症状が安定して落ち着かれる方が多い印象ですね。

患者さんに言うのは「なんとかしますよ」ということ

先生はなぜ精神科の医師になられたのでしょうか。

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もともと志望していたわけではないんですよ。でも今は天職だと思っています。私は医師の家系でもなんでもなく、医師になるまで随分いろいろなアルバイトや経験をして、つらい思いをしたこともありました。なぜ自分が、と思ったこともあります。でもその経験があったから、正義だけでは判断できないことが世の中には数多くあることを知っていますし、精神科の医師として受け入れられることの幅も広がりました。摂食障害の患者さんの抱えているつらさも、だからこそわかるように思います。これは医学の勉強だけではわからないことではないかなと思っています。

患者さんからの信頼も厚いとお聞きしました。

患者さんからたまに「私は治りますか」と尋ねられることがありますが、そのとき、「治します」「治ります」とすべての人に言うことはしません。でも「なんとかしますよ」とはお伝えします。患者さんが治るように努力しますし、全力を尽くしますが、治るかどうかはわからない。でも「なんとかする」、「少なくとも今よりは良くしてあげる」ということは言っています。そうすると患者さんも安心なさるようです。症状が一時的に悪くなってしまったときも、「良くならないのは私のせいだから」とお話します。それが医師の仕事だと思いますから。患者さんは少なくとも時間とお金を使ってここまで来てくださっている。それだけで充分努力しているわけですから、それ以上もっと努力してくださいとは言えないですね。

最後に、ドクターズ・ファイルの読者は女性が多いのですが、メッセージをお願いできますか?

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女性は男性に比べ、1ヵ月のうちにホルモンのバランスが変わって不安定になる時期があり、育児の責任や男性社会で仕事をする中で背負うものが多いのが実情です。つらいときは一人で抱え込まずに、こういった所を利用しても良いのではないでしょうか。いろいろな悩みや葛藤があるでしょうが、葛藤を手放すと、人は病まなくなるものです。葛藤をしないような環境を整えるのも、われわれ精神科の医師の仕事です。どうにもならないと思える状況でも、そう思っているのはご本人だけでじつはなんとかなる場合もあります。ここでは何とかするお手伝いをしますので、いつでもお訪ねください。

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