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三宅 永 院長の独自取材記事

飯田橋メンタルクリニック

(千代田区/飯田橋駅)

最終更新日:2020/04/01

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JR中央・本線の飯田橋駅西口から徒歩約2分。にぎやかな通り沿いのメディカルビル4階にある「飯田橋メンタルクリニック」は、開業から20年、地域住民や近隣に勤める人々のメンタルの不調に寄り添うクリニック。院内には植物や絵画が飾られ、診察室には大きな白木のデスクが置かれる。三宅永(みやけ・ひさし)院長は、東京慈恵会医科大学附属病院で長年精神科医師として診療に携わり、国立療養所静岡東病院や京都大学臨床心理学教室などで研鑽を積んできたベテランドクター。パニック障害や対人恐怖などの不安障害を中心に、森田療法や箱庭療法などの知識を生かした丁寧な診療を行っている。穏やかな笑顔と優しい物腰が印象的な三宅院長にクリニックの特徴や診療方針などを聞いた。
(取材日2019年10月29日)

不安障害などのメンタルの不調に丁寧に向き合う

どのような患者さんが多く訪れますか?

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当クリニックに訪れる患者さんは、近隣で働いておられる30代〜40代のオフィスワーカーの方が多いですね。紹介も多く受け入れています。この地域に住んでいらっしゃる方や職場がある方、そういったたまたまご縁のある方たちに対して優良な医療を提供したいと考えています。開業して20年になりますが、このエリアにはとても知的な方が多いという印象を持っています。その当時、この付近には精神科クリニックがほとんどなかったのですが、最近はすっかり数が増えてきましたね。

こちらでは、どのような治療を行っているのですか?

一般的な薬物療法と精神療法が中心です。精神科の先生方の中には「精神科のいろいろな療法を勉強して、いろいろなことがわかっているけれども、普通にお薬を処方する。そういう医者がいいよね」とおっしゃる方がいますが、それがまさに当院のめざすところです。軽いパニック障害や対人恐怖などの不安障害は、精神科の中核である統合失調症やうつ病などの重い精神障害と比較すると軽い病気だとみなされて、ないがしろにされてしまうこともあります。不安障害についてあまり勉強してこなかったり、治療法をあまり持っていないという先生も多いので、そういう比較的軽い疾患を丁寧に診ることを心がけています。当院には森田療法を専門とするカウンセラーが2人、認知行動療法、箱庭療法を専門とするカウンセラーがそれぞれ1人ずつ在籍しております。

不安障害とはどのような症状や治療法があるのですか?

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電車の中でドキドキして苦しくなったり、みんなで食事をしているときに苦しくなって食べられなくなったりする会食恐怖などがあります。これらはパニック障害の症状ですね。後は、人前でスピーチするときに緊張してしまうといったような対人恐怖などもあり、これらの不安障害にはお薬の処方で対応しながら、森田療法を取り入れるケースもあります。基本的な治療の柱は薬物療法になりますが、これまで学んできた森田療法の知識を生かしたアドバイスを織り交ぜながら治療していきます。

人生の伴走者として患者に寄り添った診療を提供したい

先生が精神科のドクターを志したきっかけを教えてください。

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医学部に入学したときには、すでに精神科の医師になることを決めていました。精神科を志したきっかけは、正直に言うと「自分自身の心の悩みを解消したかった」というのが一番の理由になるのかもしれません。私自身も昔は悩みやコンプレックスをたくさん抱えていて、決して「何でもできる優等生」ではありませんでした。だからこそ、いろいろな悩みを抱える患者さんの力になれているのではないかと思います。精神科のドクターは、患者さんの抱える悩みを客観的に分析するだけではなく、自分自身の経験と重ね合わせて「共感」することが大切だと思います。

ご自身の経験が診療に生かされているのですね。

医学部に入学した時、学生同士の自己紹介で「どんな医者になりたいか」ということを言うのですが、そこでみんなは「心臓の専門家になりたい」「脳を専門にしたい」と、志の高いとても良いことを言うんですよ。私はその時、「普通の風邪の患者さんを丁寧に診られるような医者になりたい」と言いました。うつ病は心の風邪というふうにもいわれていますが、奇しくもその心の風邪を診る医師になったことには感慨深いものがありますね。

医師としてのやりがいを感じられるのは、どのような時ですか?

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治療が終わり、患者さんと笑顔で別れられる時はうれしいですね。何よりうれしいのは、良くなった方からお手紙をいただいたときです。医師は、患者さんが調子の悪い時にお付き合いする職業なので、良くなった患者さんが「どうしているかな」と、時々心配になることがあります。そんな時、「赤ちゃんができました」という写真つきの年賀状をいただいたことが何度かあって、とてもうれしかったですね。精神科では、お手紙をいただいたり、旅行に行った時にお土産を買ってきたり、そういうことがよくあります。長いお付き合いになるので、患者さんとの人間関係ができるということが理由の一つではないでしょうか。病気を治してあげるというより、人生の伴走者として患者さんの人生に関わり、支えながら生きていければ良いなと思います。

対症療法としてでなく、根本的な治療のための薬物療法

診療の際、大事にしていることを教えてください。

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医学の基本として、きちんとした診断をすることを大事にしています。診断名を告げないで何となく薬を出すのではなく、私はきちんとした診断をつけたいと思っていますし、それを患者さんに告げて「こんな治療法がありますが、どうしますか?」と、選択を患者さんに投げかけるようにしています。当院では、診断のために「脳波検査」を行うこともありますが、これはうつ病や発達障害などの確定診断を目的としているわけではなく、脳や体の病気を見落とさないようにするためのものです。精神科は患者さんの命を救うという分野ではありませんが、何年ものお付き合いになるので、患者さんの人生に寄り添っている感じはしますね。何年も通っている患者さんが、私がいなかった何年間より、私が患者さんに関わって過ごした何年間のほうがもしかしたら良かったかもしれないと思えることがあったら、それは素晴らしく幸福なことですよね。

薬物療法は一時的な治療というイメージがあるのですが。

お薬に関していうなら、精神科医師はみんな対症療法的な使い方はしたくないと思っているのではないでしょうか。例えば、肺炎というのは、肺に菌が入ってさまざまな症状が出る病気ですが、熱が出たり、喉が痛くなったりといった症状に対しては消炎鎮痛剤が処方されます。これはいわゆる対症療法ですが、根本的な治療は、菌を殺す目的で抗生物質を飲むことです。これをうつ病の治療に置き換えると、抗うつ薬は抗生物質と同じように根本的な治療といえるでしょう。うつ病は脳の病気ですから、脳という臓器を根本から治療する目的で用いるのが抗うつ薬なんですね。

最後に患者さんや読者へのアドバイスをお願いします。

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当院では、患者さんにリラックスしていただけるように植物を置いたり、待合室や診察室に絵画を飾ったりするなどの工夫をしています。絵画は患者さんの気持ちを刺激しにくい、優しいタッチの作品を選んでいますね。診察室の机は、患者さんと話がしやすいように形にこだわっているのですが、実はどうしても理想どおりの机が見つからなかったので、自分でデザインして作っていただきました。私自身も休日には趣味の油絵を描いたり、気分転換もかねて昼休みには診察室で音楽を聴いて過ごしたりしていますが、精神的な健康を保つためにも、居心地の良い環境や趣味を持つのは良いことだと思います。当院では、薬物療法・精神療法・改善後のフォローアップなど、一人ひとりの患者さんに合わせた診療をご提案させていただき、さらに専門的な医療が必要だと判断した場合は大学病院への紹介も行っています。些細な悩みであっても、気軽に足を運んでいただきたいですね。

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