山岡 周平 院長の独自取材記事
医療法人社団 山岡クリニック
(千代田区/麹町駅)
最終更新日:2024/06/11

麹町駅からほど近い場所で地域医療に貢献する「山岡クリニック」では、2024年4月に院長交代が行われた。ベテランの小児科医師である鈴木淳子前院長からバトンを受け取った山岡周平院長は、糖尿病や甲状腺疾患、肥満症の専門家。研鑽のために東邦大学医療センター佐倉病院での勤務も続け、常に知識のアップデートを行う。自身が思い描いていた「地域にいて当たり前」の存在となるために、「今は自分の時間がなくてもいい」と話す山岡院長に、継承にあたっての意気込みや同院の診療の変化などを聞いた。
(取材日2024年3月22日/情報更新日2024年6月7日)
内科・小児科で大学病院レベルの診療が可能に
クリニックの歴史と、山岡先生が院長職を継承するまでの経緯を伺います。

当院は私の父が開院したクリニックで、2012年に父が他界してからは前院長である鈴木淳子先生に長らくご活躍いただきました。私はいつかここで診療するビジョンを持ちつつ勤務医として研鑽し、2020年から当院の診療を一部手伝い始めました。そして私が医師としてある程度成長できたとも考え、鈴木先生と院長職交代の運びとなりました。院内体制の変化に伴い診療内容も少し変わり、小児科・成人の一般診療をはじめ、海外渡航者向けのワクチン接種や健康診断を継続する一方、一般的な皮膚科診療や切り傷などの外科的な治療も行います。また、患者さんは周辺の企業で働く方や近隣にお住まいのご家族の他、最近は海外の方も増えています。日常的な英会話であれば対応できるため、国内外からの観光客や都内に暮らす外国籍の方に一定数来ていただいていますね。
内科と小児科の診療体制を改めて教えてください。
通常診療は私が全般的に担当し、感染症などで気になる症状があるお子さんや、発達・発育などの専門的な診療は小児専門の医師に引き継いでいます。また、私の専門は代謝内分泌領域で、今も東邦大学医療センター佐倉病院、大橋病院の非常勤医師として外来診療もしていますから、糖尿病と甲状腺疾患、肥満症診療の治療を大学病院と同等レベルで行えるのが最大の強みです。小児科は毎週木曜の今田義夫先生に加えて、日本小児科学会小児科専門医の女性医師が土曜の診療を担当しています。今田先生は鈴木前院長と同じ川崎病に精通し、日本赤十字社医療センターの小児科部長や日本赤十字社医療センター附属乳児院の院長も務めた経験豊富な医師です。先述の小児科の専門医は私の同級生で、よくある症状から特殊な疾患まで網羅的に診療でき、育児をしながら大学病院に籍を置いています。このため小児科も大学病院に劣らない先進の診療を提供できるかと思います。
糖尿病や甲状腺疾患を専門に選んだ理由は何でしたか?

その領域に漠然と興味があったのと、地域医療の観点から考えた時、多くの方々の健康に最も直結する分野であると考えたためです。というのも研修医時代にいろいろな診療科を回る中で、医療にはスペシャリストとゼネラリストがいると感じました。前者は外科医師や、内視鏡でがんを切除するような医師だと考えます。対して自分は「地域にいて当たり前の存在になりたい」と昔から考えていましたので、困っている患者さんが多い糖尿病や甲状腺疾患を学ぼうと思ったんです。その気持ちは現在も変わらず、当院に来ればひとまず大丈夫だと思っていただけるクリニックをめざしています。
薬だけでなく対話や本人の意識改革により改善をめざす
以前よりも対応できる検査が増えたと聞きました。

糖尿病の検査では、血中に含まれる糖分の状態を評価できるHbA1cを当日中に調べられる機械を導入しました。さらに超音波検査装置も一新し、甲状腺や腹部の超音波検査にも即日で対応が可能です。糖尿病の検査結果を当日に出せない場合、再度来院していただくことになります。しかし次の来院までに期間が空くと、検査した時の数値と検査結果を伝える時の数値とに違いが出てしまうことがほとんどです。より精密に現状を把握するためにもその場で数値を出したいと考え、検査環境の整備を始めました。まだ当日中に結果を出せない検査もありますが、最近は患者さんにとって負担の少ないオンライン診療という手段もあります。そのため状況に応じて当日は検査のみ実施し、翌日にオンラインで結果のご報告と処方箋の発行を行う方法も検討しています。
診療におけるポリシーは何でしょうか。
十分な検査をせず、漫然と薬を出すような診療はあまりしたくないと考えています。患者さんが高い満足度を得られるよう、しっかりコミュニケーションを取りながら治療を進めたいですね。私は糖尿病や甲状腺疾患の他に肥満症の治療にも注力しています。東邦大学は国内でも肥満症の外科治療を数多く手がけていて、私もチームの一員として内科的な治療や外科的治療後のフォローに長年携わってきました。治療には食事・運動指導も必要ですが、特に欠かせないのが意識改革です。例えば体重の関係でそもそも運動ができない場合、患者さんご自身で毎日体重を測定してもらい、時間をかけて意識を変える作業が非常に重要です。患者さんとの対話を大切にするのはそうした理由からでもありますね。
患者さんの意識や意欲を高めるために工夫していることはありますか?

大学での診療でも採用している、ウェイトコントロールで使用するノートに体重などを記入してもらい、クリニック側で記録したものもコピーしてお渡しすることで、変化を可視化する方法を取り入れています。難しい言葉を使わずに説明する能力はある程度高いと思いますし、患者さんが居心地良く過ごせるよう話の組み立てや雰囲気づくりにも気を配っています。私は人と話すのが好きで、診察の際は最近の体調に始まり、ちょっとしたお仕事の話などもしています。相手の話を聞くのもまったく苦に感じませんので、何かあれば遠慮せず伝えていただきたいですね。そして今まで専門的に取り組んできたという自負のもと、患者さんの負担に配慮した持続可能な方法で治療します。金銭的な負担が少なく、かつ途中で辞めてリバウンドしないように工夫しながら、ご本人の病気に対する考え方を少しずつ矯正しています。
可能な限り患者を受け入れ、地域の健康に還元したい
勤務医時代に学んだことを詳しく伺えますか?

東邦大学医療センター佐倉病院は地域医療に従事する病院で、救急医療や特別な病気の治療だけでなく、クリニックでよく診るような疾患も幅広く経験しました。その中で専門的に学んだのが、糖尿病などの代謝性疾患や難しい肥満症の治療です。内科的な治療で減量が見込めない場合、外科治療が選択肢の一つとなるケースが多いのですが、なるべく手術をしたくない方が大半なんです。すぐには手術に踏みきれず、通院を続けつつ2~3年かけて決心する方も珍しくありません。その間、こちらからは現在の状態や今後のリスク、外科治療のメリットを説明し、説得する大変さがありましたね。それでも年月をかけて信頼関係を築き、治療に前向きな気持ちになってくださった患者さんもいて、「病気のみでなく、患者さんの気持ちも含めて診療することが自分のやるべきことなんだ」と気づかされました。
今後の展望をお聞かせください。
医療を通して地域の皆さんの健康に還元するのが大前提なので、受診ハードルが極力低いクリニックにしたいと考えています。予約制は今後も導入せず、何かあったらすぐに駆け込める場所として困っている方や苦しんでいる方を一人でも多く診療するのが目標です。また糖尿病や甲状腺疾患、小児科の分野では、引き続き先進の治療をご提供できるよう、セミナーを受講したり大学の外来で新たな知識を取り入れたりしながら精進いたします。専門的な治療を必要とする患者さんがいるなら、休憩時間の一部を診療にあてるのもいいかもしれませんね。お仕事などがあり待ち時間がネックになる方も多いでしょうから、特別なケースでは最低限の予約枠をつくることも視野に入れたいと思います。
読者へのメッセージをお願いします。

糖尿病や肥満症をお持ちの方は健康診断で指摘される項目が多々あるでしょうが、その中には経過観察で問題ないものとそうでないものが存在します。その判断を仰ぐために受診するのも大事です。指摘された場合はぜひ一度お越しください。その他、ちょっとした不調を抱えている糖尿病や甲状腺疾患の患者さん、お子さんの健康に不安がある親御さんのご相談にも応じます。小児から成人まで専門知識を持つ医師がそろい、常にアップデートを続けるクリニックに予約なしで受診できるのが当院の良さであり強みです。気軽に足を運んでいただければ幸いです。