山岡 周平 院長の独自取材記事
医療法人社団 山岡クリニック
(千代田区/麹町駅)
最終更新日:2025/07/10

麹町駅から程近い場所で地域医療に貢献する「山岡クリニック」。2024年より院長を務める山岡周平先生は、地域の医療の窓口として、小児科・成人の内科診療をはじめ、一般的な皮膚科診療や切り傷などの外科的な治療、心身のどちらにも影響するような症状にも向き合っている。ゼネラリストとして広く患者を受け入れながら、糖尿病や甲状腺疾患に関してはスペシャリストとして専門性にこだわった診療を提供。研鑽のために今も東邦大学医療センター佐倉病院での勤務も続け、常に知識のアップデートを行う。院長に就任して1年がたち、患者の利便性にも目を向けるようになったという山岡院長に、同院の診療の特徴や新たな取り組みについて聞いた。
(取材日2025年4月15日)
心身の不調に広く向き合う、麹町のかかりつけ医
こちらではどのような診療が受けられるのでしょうか?

当院は私の父が開業した「町のお医者さん」です。小児科・成人の内科診療をはじめ、海外渡航者向けのワクチン接種や健康診断、一般的な皮膚科診療や切り傷などの外科的な治療も行っています。体がだるかったり、やる気が出なかったりと、心身のどちらにも影響するようなお悩みの方もいらっしゃいますね。通常診療は私が全般的に担当し、感染症などで気になる症状があるお子さんや、発達・発育などの専門的な診療は、小児科を専門とする有働みどり先生に引き継いでいます。有働先生の診療は木・土曜です。また、私の専門は代謝内分泌領域で、今も東邦大学医療センター佐倉病院、東邦大学医療センター大橋病院の非常勤医師として外来診療を行っています。その知識を生かして、糖尿病・甲状腺疾患・肥満症の治療を大学病院と同等レベルで行えるのが大きな強みです。
心身の不調も診てもらえるのですね。
地域医療の窓口として広く患者さんを受け入れるのが、当院のような開業医の役目だと思っています。そのためには、例えば皮膚のケアや花粉症の薬についてなど、専門外のことについてもある程度の知識を持ち合わせておくことが必要です。私はセミナーを受講したり大学病院で先進の医療にふれたり、他科の先生との会話を通じて知識を深めています。もちろん、当院ですべての治療に対応できるわけではありません。症状を見極めた上で、必要に応じてスムーズに他科につなぐこともできるよう、病診連携・診診連携も強化。また2025年内にオンライン診療も導入予定です。
オンライン診療はどのようなときに活用される予定でしょうか?

転勤などでこれまでどおりの通院が難しくなった場合、かつ病状が安定している方ならば、オンライン診療を取り入れることで治療を継続しやすくなると考えています。もちろん、対面診療の方が患者さんの安心感は得られるかと思います。とはいえ、特に忙しい働き世代ですと、定期的に時間をつくるのが難しいこともあるでしょう。糖尿病や高血圧症、また睡眠時無呼吸症候群などの治療は、継続することがとても大切です。医師と顔を合わせるほうが安心できる方もいれば、時間効率を優先される方もいますから、患者さんにとってより続けやすい方法を選択していただきたいですね。
薬だけでなく対話や患者本人の意識改革で改善をめざす
先生はなぜ糖尿病や甲状腺疾患を専門に選んだのですか?

その領域に漠然と興味があったこと、そして多くの方々の健康に直結する分野であると考えたためです。私は医師として「地域にいて当たり前の存在」になりたかったこともあり、困っている患者さんが多い糖尿病や甲状腺疾患を専門分野に選びました。その気持ちは現在も変わらず、「ここに来ればひとまず大丈夫だ」と頼ってもらえるクリニックをめざしています。広く診るという意味ではゼネラリストですが、糖尿病や肥満症に関してはスペシャリスト。糖尿病や肥満症を扱うクリニックは増えてきましたが、精度の高い治療を行うためには医師の専門知識が必要なんです。患者さんには「医師の経歴などを確認した上で、ご自身の望む治療が受けられるクリニック選びを」とお伝えしたいです。
そのほか、最近力を入れている治療はありますか?
睡眠時無呼吸症候群の検査や治療に力を入れています。というのも、睡眠時無呼吸症候群は糖尿病や肥満症と関連性が高く、どちらの治療も必要とするケースが多いのです。当院では、血中に含まれる糖分の状態を評価できるHbA1cを当日中に調べることが可能ですし、甲状腺や腹部の超音波検査のほか、睡眠時無呼吸症候群の検査やCPAP治療にも対応しています。睡眠時の呼吸の状態は機器を通じてオンラインでデータ共有され、それを分析しながら薬の処方や生活指導などを行います。
診療で大切にしていることをお聞かせください。

十分な検査をせず、漫然と薬を出すような診療はあまりしたくないと考えています。患者さんが高い満足度を得られるよう、しっかりコミュニケーションを取りながら治療を進めたいですね。「起きた時に頭痛がする」「日中に眠気を感じる」など、患者さんの何げない一言が睡眠時無呼吸症候群の早期発見につながることもあるんですよ。また治療には食事・運動指導も必要ですが、特に欠かせないのが意識改革です。例えば体重の関係でそもそも運動ができない場合、患者さんご自身で毎日体重を測定してもらい、時間をかけて意識を変える作業が重要になってきます。患者さんとの対話を大切にするのは、そうした理由からでもありますね。
患者さんの意識や意欲を高めるために工夫していることはありますか?
ノートに体重などを記入してもらい、クリニック側で記録したものもコピーしてお渡しすることで、変化を可視化する方法を取り入れています。そして金銭的な負担が少なく、かつ途中でやめてリバウンドしないように工夫しながら、患者さんの負担に配慮した持続可能な方法を提案しています。ご自身の病気に関心を持ってもらえるよう、わかりやすい説明も心がけています。
多様なニーズに応えられるよう環境をアップデート
院長に就任されて1年がたち、あらためて思うことがあればお聞かせください。

コミュニケーションを重視した診療や、必要な検査のみを行うという方針に変わりはありません。ただ主に利便性の面ですが、時代に合わせてクリニック側も変わるべきだと思うようになりました。当院には親子3世代で通っているご家族もいれば、忙しいビジネスパーソン、また国内外からの観光客や都内に暮らす外国籍の方も多くいらしています。さらに移り変わりの激しい世の中ですから、5年もたてば医療に求められるものも変わります。「町のクリニックはこうあるべき」という固定観念を取り払い、多様なニーズに応えられるよう進化している途中です。
新たに行った取り組みなどはありますか?
まずは午前の診療時間を、出勤前やお昼休憩時にも通いやすいよう8時30分から13時15分までに変更しました。そして予約制の導入。これまでどおり「何かあったらすぐに駆け込める場所」としての機能は残しつつ、定期受診の方も含めて、ご希望があれば事前に日時を確保して待ち時間の軽減につなげています。先ほど挙げたオンライン診療のほか、ウェブ予約やアプリを活用したサービスの導入準備も進めています。患者さんにとっては選択肢が増えますので、ご自身に合った方法で当院を利用してもらえればと思います。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

糖尿病や肥満症をお持ちの方は健康診断で指摘される項目が多々あるでしょうが、その中には経過観察で問題ないものとそうでないものが存在します。その判断を仰ぐために受診するのも大事です。指摘された場合はぜひ一度お越しください。そのほか、どこに相談したら良いかわからない心身の不調、お子さんの健康に不安がある親御さんのご相談にも応じます。英語など外国語での受診も可能ですので、お子さんからご高齢の方まで、気軽に足を運んでいただければ幸いです。