PMSなどのさまざまな不調に漢方薬を
体を整え健康な状態へ導く
窪田クリニック
(杉並区/高円寺駅)
最終更新日:2023/01/27
- 保険診療
月経前症候群(PMS)をはじめとする月経にまつわる不調、胃腸の不調などは、検査を行っても異常がなく、不快な症状を抱えたまま生活を送っている人も多いのではないだろうか。この「検査では異常はないが、不調がある」という未病(みびょう)の状態にアプローチを試みるのが漢方薬だ。高円寺駅から徒歩4分の場所にある「窪田クリニック」で婦人科を担当する下村貴子副院長は「体の中の偏りを整えて、風邪や季節の移り変わり、妊娠などの変化に対応できる体づくりをめざせるのが漢方薬の魅力の一つ。婦人科疾患にもピッタリですが、年齢や性別を問わず、さまざまな症状に使えるので、ぜひ気軽にご相談ください」と笑顔で話す。そんな下村副院長に、漢方薬の魅力や西洋薬との違いなど、詳しく話を聞いた。
(取材日2022年12月27日)
目次
PMSなどの婦人科の不調や胃腸の不調などにも処方される漢方薬。体を整え、快適に暮らせる体づくりへ
- Q漢方薬の特徴や、西洋薬との違いについて教えてください。
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A
西洋薬は症状や病気をピンポイントに狙って回復を図るものですが、漢方薬の大きな魅力は、体の調子を中庸(ちゅうよう)、つまり、偏りがなくバランスが取れた状態に持っていき、QOLの向上や病気になりにくい体づくりをめざせる点にあると考えています。西洋薬は基本的に一つの症状に対して作られていて、下痢の場合には下痢止めを、便秘の場合は下剤を用います。一方漢方薬は、一つの薬が複数の症状に作用することが多くあります。便秘と下痢という対極に見える症状も、一つの漢方薬で対応できることも多いのです。舌や顔色、おなかの様子などを確認し、症状や体調、さらには心の調子もうかがいながら、患者さんに合わせた処方を行います。
- Q市販の漢方薬と、医療機関でもらう漢方薬の違いは何でしょう?
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A
まず一つ目が生薬量です。漢方薬は主に自然界にある植物などが原料で穏やかに作用しますが、生薬量によっては体に影響を及ぼすこともあります。そのため市販薬は万人が安全に服薬できるよう、安全性を考慮して生薬量を少なくしてあることが多いです。次に費用です。医療機関で処方される漢方薬は、含まれている生薬量が市販薬よりも多く、そして保険が適応されるため費用が抑えられます。しっかりと治療に取り組みたい方は、医療機関で医師の診断のもと処方してもらうと良いでしょう。ただ、「まずは試してみたい」「医療機関に行く時間がない」という方にとって市販の漢方薬は便利です。生活スタイルによって使い分けるのも良いと思いますよ。
- Q漢方薬が得意とする症状はありますか?
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A
「未病(みびょう)」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。字が表すように「まだ病気にはなっていない体の不調」を指します。大腸内視鏡検査や血液検査で調べても異常がないのに、下痢・便秘や貧血などの不快な症状が続いて体がつらい。そういう場合には漢方薬の“中庸に持っていく力”が大いに発揮されます。私の専門の婦人科であれば、月経痛、月経前症候群(PMS)、月経不順などの月経に関するお悩みに漢方薬をご提案します。「何となく調子が悪いけど、検査で異常がないから治療に進むことができず困っている」という方に漢方薬は有用です。症状改善のための選択肢の一つとして覚えておいていただくと良いと思いますよ。
- Q婦人科疾患ではどのように漢方薬を取り入れるのですか?
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A
漢方薬は、PMSや更年期障害、思春期のニキビなど、さまざまな症状に取り入れることができます。女性であれば、何センチのナプキンを何枚くらい使うのかなど、その患者さんの月経の様子、特に経血量をしっかりお伺いして体の状態を考えていきます。不妊を気にして来院される方の場合は、あまり思い詰めないように体と心のバランスを考えて処方します。妊娠、出産、授乳には非常に大きなエネルギーを伴うため、妊娠前から女性の心身の状態を健やかに整えておくことがとても大切です。私自身も過去4回の妊娠中、暖かい服装や、食事・漢方薬で体を温めるなどの工夫も取り入れました。それらの経験を患者さんにお伝えすることもあります。
- Q先生にとって漢方薬での治療とは、どんな治療・存在でしょうか?
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A
性別や年齢を問わず、さまざまな症状の方を治療する上で、大きな存在です。その方が西洋の人か東洋の人かも問わず、中庸をめざすことで全人類共通の健康のサポート役になれるという、非常にシンプルな点が魅力ですね。だからこそ高齢の男性や外国人の方、小学校のお子さんなど幅広い方に処方でき、多くの方から支持されることにつながっているのではないでしょうか。それに漢方薬を長く続けていると、不調になっても「この不調は疲れだ。お風呂で温まって早く寝よう」と工夫もできます。自分の不調を嫌うのはなく、「自分は今こういう状態なんだな」と客観的に考えられるようになる点も、漢方薬の大きな魅力の一つかもしれませんね。