大堀 晃裕 院長の独自取材記事
井の頭通りこう門科胃腸科
(杉並区/富士見ヶ丘駅)
最終更新日:2021/10/12
京王井の頭線富士見ヶ丘駅から徒歩10分の井の頭通り沿いにある「井の頭通りこう門科胃腸科」は、痔をはじめとした肛門疾患と炎症性腸疾患などの大腸、胃腸疾患の治療、胃と大腸の内視鏡検査を専門とするクリニックだ。「悪いところを切って治してあげたい」という思いから外科を志したという大堀晃裕院長は、研修医時代から一貫して胃、十二指腸から大腸、肛門までのさまざまな疾患の治療にあたってきた。麻酔を使わずとも痛みをほとんど感じないという大腸内視鏡検査も得意としている。「体の中の管入り口 (食道) から出口 (肛門) のことなら任せてください」と話す大堀院長に診療に対する思いを聞いた。
(取材日2012年11月27日/再取材日2017年12月18日)
おなかの不調からお尻の悩みまで幅広く対応
こちらはどのようなクリニックですか?
当院は大腸疾患と肛門疾患、および消化器疾患の治療に特化し、おなかの不調からお尻のお悩みまで幅広く診察しています。大腸内視鏡検査が年間で約2100例、胃の内視鏡検査を700例ほど行っています(2016年8月~2017年7月)。加えて大腸ポリープの切除、痔の治療や便秘相談、ピロリ菌の除菌、最近増加している潰瘍性大腸炎やクローン病といったIBD(炎症性腸疾患)の診療も行っています。内視鏡検査は、検査件数増加に対応するため毎週土曜日の午前中は、NTT東日本関東病院内視鏡部長大圃先生のグループの医師に来てもらっています。また、午後の診療は女性医師が担当していますので、お尻の悩みを相談するのはハードルが高いと感じている女性の方でも受診していただきやすいと思います。
注力している診療について教えてください。
まずは胃と大腸の内視鏡検査です。特に大腸の内視鏡検査は、患者さんが痛みを感じないようにと鎮静剤を使う病院がありますが、当院では鎮静剤は使わずに検査をしています。それでも痛みはほとんどなく、少しの違和感を感じる程度です。検査中に内視鏡カメラの映像を見ていただき、体の中がどんな状態なのかを説明できますし、もしポリープがあれば、その都度了承をいただいてから取り除くこともできます。さらに検査後の休憩が必要なく全体にかかる時間も短縮できるなど、麻酔を使わないメリットもあるのです。ご希望があれば、鎮静剤も使用しますが、楽に検査を受けられたということで、リピーターの患者さんもたくさんいます。また、カメラを的確かつスピーディーに目的の場所に持っていく技術には自信があり、より深くまで見落としがないように診察することで、より多くの病気を見つけ出すこともできます。
肛門外科では、どんな疾患が多いのですか?
当院では、イボ痔が6割、切れ痔が3割を占めています。痔全体としては男性の方が多いのですが、切れ痔に関しては8割が女性の患者さんです。なるべく手術をせずに軟膏や飲み薬で治療することを目標としており、注射で痔を縮小させる内痔核硬化療法も行っています。また、手術が必要な場合は日帰りや、当院には入院設備もありますので短期入院で対応しています。内痔核硬化療法で治療ができるのは内側の痔だけですが、時間の経過とともに外側の痔も内側に引き込まれることがほとんどです。しかし、肛門の外に出た痔核は患者さんにとっては気になるものですから、内側は内痔核硬化療法、外側に出ている痔は切除するという2段階の治療を行うことも多いですね。いずれにしても、患者さん一人ひとりにとってベストな治療をしていきたいと思っています。
炎症性腸疾患の専門クリニックを新たに開設
最近、気になっていることはありますか?
クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)の患者さんが増えています。食生活の欧米化や高脂肪食、野菜をあまり食べなくなったことが関係しているといわれています。どちらも難病指定されている原因不明の難治性疾患で、特に下痢や血便を慢性的に繰り返す潰瘍性大腸炎が多いですね。まだ完治できる治療方法はないのですが、新しい治療薬なども登場して、薬をちゃんと飲んで食生活などもしっかり管理すれば、コントロールができるようになってきています。当院では、土曜日の午前中に東京山手メディカルセンターの炎症性腸疾患を専門とする先生に来てもらい専門の外来を行っています。また、患者さんも増えて、当院だけでは対応しきれなくなってきているので、2017年9月、IBDを診療する分院の「大堀IBDクリニック」を新しく開設しました。京王井の頭線池ノ上駅から徒歩8分の場所にあり、バスや車でも来院しやすいと思います。
そのクリニックについて教えてください。
「大堀IBDクリニック」は、炎症性腸疾患を専門的に診ることに加えて、痔をはじめとした肛門疾患や胃と大腸の内視鏡検査、便秘相談などの診療をしています。院長には、私と同じく東京山手メディカルセンター出身で、やはり大腸肛門病が専門の村山浩之先生を院長に迎え、また、東京山手メディカルセンターの大腸・肛門科の先生に来てもらっての専門の外来や、重症化した時には速やかに、より専門的な治療をしている大学病院などに紹介する体制を整えています。さらに、毎週火曜日の午後には女性医師による外来、毎月第4土曜日は、女性医師による診察と大腸内視鏡検査を行っているので、女性の方でも受診しやすいと思います。院内は木目を使った明るい雰囲気で、点滴治療用のリクライニングシートなど、リラックスできる環境を整えています。
診察の際に心がけていることは何ですか?
いつも気にかけているのは「優しさ」です。体の調子が悪いときは、誰であってもとても心細いものです。そんな状態で来ている患者さんが、少しでも安心して治療を受けていただけるようにと心がけています。スタッフにも患者さんに優しく接し、わかりやすく説明するようにといつも話しています。それに痔の患者さんから、今まで恥ずかしくてなかなか病院に行けなかったという話をよく耳にします。そんな方にも気軽に来ていただけるよう、院内はできるだけ病院っぽくない雰囲気にして、色使いも温かく優しいイメージにしてあります。また、院内は清潔第一ですから、清掃を徹底しています。患者さんから「病院のにおいがしない」と言われることが多いのですが、きっと念入りに掃除をしているからでしょうね。
一人で悩まず早めに相談を
医師を志した理由を教えてください。
小さな頃から、医師になろうと思っていました。考えてみれば、他の職業に就こうと思ったことは一度もありません。医師を志したのは、歯科医師である父の影響が大きかったと思います。最初は父のように歯科医師になろうかと思い、その後は形成外科や脳外科を考えたこともありました。いずれにしろ、全部内科ではなく外科なんですよね。外科は悪いところを切って治していくことができる。自分で患者さんの悪いところを取って、治してあげたいという気持ちが強いんです。それで、近畿大学医学部を卒業後に附属病院の消化器外科に7年間勤務して、胃や胆のうの病気の診断や治療を行っていました。その後、新宿にある社会保険中央総合病院(現:JCHO東京山手メディカルセンター)の大腸肛門病センターに勤務することになって上京したのです。約10年間務めたのですが、この社会保険病院時代が僕の医師としての原点と言っていいでしょう。
忙しい毎日の中で、どのようにリフレッシュしていますか?
リフレッシュになっているかどうかわかりませんが、体を動かすことは好きですね。大学時代はアメリカンフットボールをやっていましたが、今は息子と一緒にテニスをしています。それからジムで筋トレもしています。トレーナーがついているのですが、厳しくて「なんでこんなことやってるんだろう?」って思うこともあります。でも、テニスをしているときに「あのトレーニングが良かったんだな」と実感するので、やればやっただけ成果があるんでしょう。あとは、食べて飲むことも好きですね。
読者にメッセージをお願いします。
痔には女性の患者さんも多いのですが、お尻を見せるのが恥ずかしくて病院に行けないという方もいらっしゃるようです。お尻の悩みは、相談するまでのハードルが高いものですが、当院では午後の診療を女性医師が行っていますので、排便時などに血が出る、痛みがある、腫れた感じがするといった違和感があったら、一人で悩むのではなく、早めに医師に相談していただきたいと思います。男性の方ももちろん、胃腸の不調やお尻の問題があれば、気軽に受診をしてほしいですね。