中尾 雄二 院長の独自取材記事
荻窪中尾耳鼻咽喉科医院
(杉並区／荻窪駅)
最終更新日：2025/02/05
荻窪駅から徒歩3分の「荻窪中尾耳鼻咽喉科医院」。一般的な耳鼻咽喉科の疾患に広く対応し、先進の機器をそろえ、「目で見てわかる」医療の提供を心がける。睡眠時無呼吸症候群の治療に注力しており、中尾雄二院長自身の経験を踏まえた具体的なアドバイスやきめ細かな診療が特徴だ。クリニックに1泊して呼吸・睡眠状態を調べる終夜睡眠ポリグラフ検査（PSG）を行い、鼻から空気を入れて気道を広げるCPAP（シーパップ）療法が必要な場合は、適切な空気圧を調べる検査も実施。アレルギー症状に対する舌下免疫療法や、内服薬とは違う形で鼻の炎症等にアプローチしていく上咽頭擦過療法も行っている。「丁寧な診療を今後も心がけたい」と話す中尾院長に、治療内容や診療方針などを聞いた。
（取材日2020年11月25日／再取材日2024年12月10日）
先進の機器導入で、病気の早期発見・見える医療に注力
こちらではどのような診療が受けられますか？
耳鼻咽喉科一般、例えばアレルギー性鼻炎・中耳炎・風邪・めまいなどに加え、睡眠時無呼吸症候群の治療も行っています。小児の睡眠時無呼吸症候群にも対応していますので、心配な方はご相談ください。小児の診療については、未就学児のお子さんを対象に、注射を使わず指先から採血するアレルギー検査や、耳音響反射器を使った内耳機能の評価も行っています。患者層は新生児から高齢者まで幅広く、障害がある方も通ってくださっています。また、器具や機器の除菌を行い、清潔な環境で診療を行うことを徹底しています。鼻を診るときに使用するノズルは一人使うごとに交換し、空気清浄機は24時間稼働のものを使用しています。風邪などが流行する季節は院内感染を気にする人も増えると思いますが、安心して診療を受けていただきたいですね。
診療するにあたり、心がけていることはありますか？
患者さんに対して「見せる」医療の実施を心がけています。先進の機器は病気の早期発見にも役立ちますが、見せる医療のためにも必要だと考えています。鼻や喉の検査には、鮮明な画像で解析していく狭帯域光観察技術を用いた内視鏡を使用。めまいの検査機器には頭位表示装置が備わっていますので、どの位置でめまいが起こるかまで把握していきます。ハイビジョンの画像診断装置を使って、それらの検査結果を患者さんにお見せしながら説明することで、患者さんの理解を促しています。実際に目で見ていただくことで病気を理解しやすくなることもありますが、症状があってもそこには病気がないという場合にも、はっきりと示せることが大事なんです。特に耳・鼻・喉は本人の目に見えない部分。わかりやすい説明をすることをとても大切にしています。
どうして「病気がない」ことを示すことが大事なのでしょうか。
そもそも耳鼻咽喉科の症状はメンタルの問題に起因することも多く、耳鼻咽喉科領域の病気ではないことをはっきり示せなければ、本当に必要な治療を遅らせてしまう原因にもなりかねません。わからないからといって大きな病院を安易に紹介してしまうことも、大学病院などに患者が集中してしまう原因の一つでしょう。メンタルからくる疾患などの兆候が確認できた場合、連携の取れている近隣のクリニックをご紹介しています。あるいは、入院や手術が必要な病気が見つかったときには、病診連携の取れている河北総合病院、がんを発見した場合などは東京医科大学病院などをご紹介いたします。
睡眠の深さなどを調べるPSGを活用
睡眠時無呼吸症候群には、どんな方がなりやすいのでしょうか？
患者さんの3分の2ほどが肥満体型の方です。太ると舌や咽頭に脂肪がつき、気道が狭くなるためです。顎が小さい方や、扁桃が肥大することでも気道は狭くなりやすいです。男性が9割を占めますが、女性でも閉経を迎える50歳以上では、呼吸を促進させる女性ホルモンの分泌量が減るため罹患率が高くなります。アルコール摂取や喫煙も原因になり得ます。睡眠中にひどくいびきをかき、呼吸が何度も止まることが主な症状ですが、この状態を放置すると、日中の眠気が増して集中力が低下したり、高血圧症・心筋梗塞・脳梗塞といった循環器の疾患のリスクが高くなったりします。一晩での無呼吸回数が多い人は、循環器疾患の発症リスクが増えるといわれています。
睡眠時無呼吸症候群の診断方法を教えてください。
睡眠時の呼吸状態を調べる検査には2種類あり、患者さんが自宅で自分にセンサーをつけて行う簡易検査と、医療機関に1泊して行う終夜睡眠ポリグラフ検査（PSG）があります。症状の重い場合は簡易検査でも判断できることが多いのですが、軽症の場合など診断が難しいときはPSGのほうが向いています。簡易検査では寝ているかどうかまでは判断できず、入眠するまでの呼吸状態もカウントしてしまうのです。一方、PSGでは脳波を測定して入眠したタイミングや睡眠の深さまで把握していきます。当院の特色は、このPSGを行う装置と病床を有しており、院内でPSGが受けられること。同様の設備を持つクリニックはあまり多くはないはずです。検査中は臨床検査技師が2人常駐し、モニタリングします。
睡眠時無呼吸症候群と診断された場合の治療法を教えてください。
方法としては5つ。減量・アルコール摂取の調整・マウスピースの装用・専用の機器で鼻から空気を送るCPAP（シーパップ）療法、そして手術です。マウスピースは軽症者に行うことが多く、症状の重い方にはCPAP療法が有用です。私自身が耳鼻咽喉科の医師であることと、この病気の患者であることも治療に生かしています。鼻の治療を併用する場合もあり、機器の扱い方などについても実体験に基づいて具体的にアドバイスしています。注意していただきたいのが、治療を続けることで治ると考えている患者さんが多いのですが、CPAP療法は機器の継続利用が必要であり、この機械の使用で治るものではないということです。また、経過を観察するために月に1度受診していただく必要もあります。
専門性の高い治療も含め、さまざまな選択肢を提示
こちらで行っている上咽頭擦過療法について教えてください。
喉の上・鼻の奥である上咽頭に咽頭捲綿子（いんとうけんめんし）で塩化亜鉛液を塗布することで、上咽頭の炎症の抑制を図り、鼻や喉の違和感・後鼻漏・鼻詰まり・咳などの症状へアプローチしていくものです。ほかの薬との兼ね合いで内服薬の服用が難しい方や、内服薬では十分な作用が確認できなかった方などは一度試してみても良いかと思います。炎症が強い方ほど薬がしみてひりひりとしますが、一過性のものですし、治療後の食事・飲み物の制限もありません。喉の違和感などが気になる方、慢性的な炎症を起こしている方は、上咽頭炎の可能性が考えられ、その治療の選択肢の一つになると思います。
アレルギー症状には舌下免疫療法も提供しているとか。
アレルギーの原因となるアレルゲンという物質を舌の下に投与し、少しずつ体に吸収させることで体質を変えていき、アレルギー反応を弱めることをめざす方法です。当院では、スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法を行っています。すべての方に適しているとは断言できませんが、アレルギー症状を長期にわたり抑えていくことや、根本的なアプローチがめざせる方法とされています。薬の副作用で日常生活に支障がある方や、毎年アレルギー症状に悩まされている方が検討することが多いですね。5歳以上であればお子さんにも対応していますが、3～5年ほど継続して行う療法のため、親御さんのサポートが非常に大切です。ご本人だけでなく、親御さんにも治療の重要性を理解していただけるように努めています。
スタッフのチームワークの良さもクリニックの魅力ですね。
開業当時から勤務している人たちを含め、勤続年数の長いスタッフばかりです。長く働き続けられているのはスタッフたちが優秀だからだと思いますが、おかげさまでスタッフが定着してくれないという悩みを持つことがなく、その点ではありがたいですね。スタッフにはもともと幼稚園の先生をしていた人が2人、お孫さんがいる人が2人勤めていることもあり、子どもの患者さんへの接遇も非常に慣れていて上手です。スタッフ同士も仲が良いので、良い雰囲気をつくれていると思います。
最後に、読者へ向けてメッセージをお願いします。
患者さんに納得していただけるよう、診療の結果を目で見てわかるようにして、詳しく丁寧な説明をするように心がけています。現在もたくさんの患者さんに来院していただいていますが、これからもまだまだ頑張りたいですね。
