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松田 元 院長の独自取材記事

ゲンクリニック

(中野区/中野駅)

最終更新日:2022/04/15

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待合室の大きな窓から、にぎやかな中野駅周辺を望む「ゲンクリニック」は、このエリアに開業して22年になる。婦人科・内科・アレルギー科を標榜し、月経困難症や更年期障害といった婦人科疾患から、パニック障害などの不安障害の治療まで幅広く対応。産婦人科の医師として経験を積んだ松田元院長は、さまざまな症状に西洋医学だけでなく東洋医学である漢方治療の知識も用いてアプローチする。不妊に対する悩みやアレルギー症状にも、漢方薬を柔軟に取り入れている院長に、同院で対応している漢方治療をメインに話を聞いた。そこには現代社会が生んだ心と体の軋みやゆがみに起因するような不調が垣間見え、その改善に真剣に取り組む院長の強くて温かい思いも見えてきた。

(取材日2021年11月24日)

婦人科疾患などのさまざまな不調に漢方でアプローチ

こちらで対応している検査や治療について教えてください。

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婦人科では、ピルの処方や性感染症の検査、不妊症や子宮内膜症、月経トラブルなど、幅広く対応しています。患者さんは30代が最も多く、20代と40代はほぼ同じ比率です。50代以降の更年期障害の患者さんも増えていますね。喘息やアトピー性皮膚炎、扁桃炎、中耳炎、副鼻腔炎なども診ていますし、高齢者の肩、腰、膝などの痛み、関節疾患にも対応しています。アトピー性皮膚炎に悩んでいるお子さんを連れていらっしゃるお母さん方も多いです。心療内科の経験を生かして、パニック障害などの不安障害の相談も受けています。いずれもその方の症状に合わせて漢方薬を処方することが多いですね。

婦人科疾患に広く漢方薬を取り入れているのですね。

例えば妊娠しにくいとされる月経不順や不妊症など、西洋医学ではピルの処方が一般的な症状に対し、当院では漢方薬を取り入れています。無月経や子宮発育不全症の方は、ストレスのために胃腸障害が起きやすいのに加え、子宮内膜が薄くなっている場合が散見されます。通常35mmほどある子宮の厚みが25mm以下になっているケースもあり、それが原因の一つとなって妊娠しにくいのではと思っています。また、排卵期には子宮内膜が最低10mmはあると好ましいのですが、月経の日数が少ないと着床不全になりやすいと考えています。血液循環が悪くなると子宮内膜症、子宮腺筋症、卵巣嚢腫を引き起こす可能性もあります。そのため、妊娠するには子宮内膜の厚みに加え、おなかのやわらかさと温かさ、さらにはストレスにつながるメンタル面の改善が重要だと考え、そこにアプローチするための漢方治療をしています。

更年期障害や月経トラブルはどのように治療を進めていますか?

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更年期障害は一人ひとり症状が異なります。例えば、ホットフラッシュには自律神経を整えるための漢方薬を2ヵ月ほど処方し、冷えやほてり、イライラ、寝つきなど、患者さんがつらいと感じている症状に対してアプローチしていきます。冷えに関しては、下腹部など場所によって処方する漢方薬を変えます。月経不順、月経困難症、不正出血、月経前症候群といった月経トラブルに関しても東洋医学の診察方法だと、子宮と卵巣とホルモン値だけを診るのではなく、体全体を診て病状を把握します。例えば、あざがある方に多い不正出血の場合、西洋医学だと出血を止めるための治療がメインになってきますが、東洋医学では「血管周りの壁が薄いために血液を体内にとどめておくことができない」という考えから、体全体の血液循環を診て治療を行います。

原因のわからない不調や不安にも、真摯に向き合う

婦人科以外ではどんな悩みを持つ方が多いですか?

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アトピー性皮膚炎の方です。皮膚が潤わなくなる原因の一つに胃腸障害が挙げられるので、体調を整えるために、そして表皮の熱を和らげ、真皮の部分のむくみを軽減させていくため、かゆみを抑えるために漢方薬を処方しています。アトピー性皮膚炎は、お風呂上がりなど体が熱くなるとかゆみが増して眠りを妨げますし、顔に赤みが出てしまうと、人と会うのが嫌になって日常生活に支障を来す方もいますので、ストレスがたまりやすい病気だと思います。その他では、例えば事故で25年間腰痛を患っていた方、足に重たいものを落としてしまったなど、疼痛にも漢方治療を行っています。それと、たくさん食べてしまう過食の方もいらっしゃいます。そうした場合、過食は血液循環が悪さを引き起こす、心のざわつきから生まれるので、排泄物の匂いをきつくするための漢方薬を処方します。いずれの症状も2、3ヵ月、半年と、処方期間は患者さんによって異なります。

幅広い症状に対して漢方薬が用いられるのですね。

さまざまな不安から頭痛やめまい、疲れやすさ、肩凝り、下痢、便秘、腹痛、寝汗、動悸、手の震えなど、原因はわからないけれど、とにかく調子が悪いと訴える方が増えています。それらは西洋医学だけでは解決が難しいものも多いですが、血液循環、つまり全身を診る東洋医学を併用することで、メンタルとフィジカルのケアが可能だと考えています。そうやって患者さんと一緒に治療に取り組む中で良い経過を確認することができれば、やはりうれしくなりますね。ただそれは私の力ではなく、医師の指導をきちんと守って漢方薬を服用する患者さん自身の頑張りによるものです。

先生が産婦人科に進まれたきっかけ、漢方薬を取り入れたきっかけを教えてください。

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高校生の時、生命の誕生の神秘を知り、産婦人科に興味を抱いたのがきっかけです。その後、産婦人科にはがんなどの命に関わる病気があり、生と死の両極が存在していることを知って興味を惹かれ、実際に進路としました。漢方薬を取り入れ始めたのは、西洋医学にはない面白みがあったからです。例えば便秘の人に耳がかゆいという症状がある場合、耳鼻と消化器ですので関係あるはずがないと思いますよね。しかし東洋医学の側面から調べてみると、便秘で耳がかゆいときに処方するものがあるんですよ。耳のかゆさと便秘がつながるなんて西洋医学にはない考えだったので、とても面白いと感じてのめり込みました。1999年に当院を開業した時には、漢方を勉強して7年ほどでしたが、それから30年あまり、飽きることなく続けています。

長年の悩みを解消して、今後の生活をより良いものに

診療の際に心がけていることを教えてください。

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患者さんに、ご自身の現在の状態をしっかり説明することです。実際に自分の動悸に気づいてもらったり、おなかのどこが冷えているのか、皮膚は乾いているのか、湿っているのか、脈はどうなのか触ってもらったり、舌の色や形を見てもらって、お互いに確認しながら進め、一方的にならない診療に努めています。患者さんが感じていることも話してもらい、どういった治療を取り入れるのがいいのか決めています。人間の体には本来、治す力があるんですよね。漢方薬などを使って、体と心の力を引き出して改善につなげていくお手伝いがしたいと思っています。

先生の健康法をお聞かせください。

体を動かすことが好きで、30年ぐらい水泳を続けています。運動でストレス発散することが私の健康法ですね。1000mを20分で泳げるようになったのですが、コロナ禍でプールを利用できなくなり、少しタイムが落ちてしまいました。最近また利用できるようになったので続けていきたいですし、患者さんにもストレス緩和のために運動を勧めています。「毎日1万歩、歩いているんですよ」とおっしゃる方もいますが、いくら歩いても息が上がらないようなウォーキングでは足りません。「はあ、はあ」と息が弾む運動が必要です。運動をして、息をしっかり吐いて体の中から出し、今度は良いものを体の中に取り入れる。このサイクルがストレスを減らして健康を保つために大事なのです。

読者へのメッセージをお願いします。

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患者さんに「病名が知りたいんじゃなくて、治してほしい」と言われることがあります。その力になりたいと思っていますので、なぜ体調が悪いのかわからない方、不安を抱えている方はぜひ相談してください。長年抱えている不調や不安がある方もいらしていただければ、今後の生活を良くしていくためのお手伝いができるかもしれません。気持ちが落ち着けば、ちょっとしたことにも喜びを感じられるようになるのではないでしょうか。日本には「花鳥風月」という自然を楽しむ風流な遊びの伝統があります。心に余裕のない時は、月を見て「きれいだな」と思ったり、青い空を見て心地良さを感じたりできないかもしれません。生きていることの喜びが感じられる、ゆとりのある生活を取り戻しましょう。

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