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松田 元 院長の独自取材記事

ゲンクリニック

(中野区/中野駅)

最終更新日:2023/02/28

松田元院長 ゲンクリニック main

婦人科・内科・アレルギー科を標榜する「ゲンクリニック」は、月経困難症や更年期障害などの婦人科疾患から、パニック障害などの治療まで幅広く対応。松田元院長は、産婦人科の医師として研鑽を積み、西洋医学だけでなく東洋医学である漢方薬も用いてアプローチする漢方治療のスペシャリストだ。その経験は30年にも及び、不妊の悩みやアレルギー症状にも漢方薬を活用しているという。今回は、そんな院長に同院の漢方治療を中心にインタビュー。そこから垣間見えたのは、ストレスの多い現代ならではの不調に悩む人たちを救おうと、真摯に取り組む院長の強く温かな思いだった。

(取材日2021年11月24日)

月経困難症や不妊の悩みに漢方でアプローチ

こちらで対応している治療について教えてください。

松田元院長 ゲンクリニック1

婦人科では、子宮内膜症、不妊症やその原因の一つとされる子宮発育不全、月経困難症、月経不順や不正出血、過少月経・過多月経、PMS(月経前症候群)、性器ヘルペスなどあらゆる症状に幅広く対応しています。トラブルの原因解決に向けたアプローチ法としては、漢方薬を用いることが多いですね。患者さんは30代が多く、50代以降はホットフラッシュなど更年期障害の症状でお悩みの方も増えています。また、喘息やアトピー性皮膚炎、過食症状なども診ており、肥満の方にはダイエット方法をアドバイスしています。また、高齢者の肩、腰、膝の痛み、関節疾患にも対応しています。アトピー性皮膚炎に関してはお子さんも多いですし、心療内科の経験を生かして不安障害の相談も受けています。こうしたケースでも症状に合わせて漢方薬を処方することが多く、当院の診療においては欠かせないものです。

婦人科疾患に広く漢方薬を取り入れているのですね。

不妊症などのほか、月経不順などにも漢方薬を活用しています。また、無月経の場合にも漢方を3~6ヵ月ほど服用し、子宮内膜を厚くし、月経を再開するべく漢方を用います。5~6年以上無月経の場合も同じように対処しています。無月経や子宮発育不全の方はストレスで胃腸障害が起きやすいため、通常35mmほどある子宮の厚みが20mm以下と薄いケースも。排卵期には子宮内膜が最低10mmあると好ましいのですが、子宮内膜が薄いために着床不全が起きやすくなります。血液循環が悪くなると子宮内膜症、子宮腺筋症、卵巣嚢腫を引き起こす可能性もあります。そのため、妊娠するには子宮内膜の厚み、おなかのやわらかさと温かさ、さらにはストレスにつながるメンタル面の改善が重要と考え、漢方治療を取り入れています。もちろん状況に応じて西洋薬も併用し、無月経などではホルモン治療と組み合わせることも。

更年期障害や不正出血にも漢方は有用なのでしょうか。

松田元院長 ゲンクリニック2

更年期障害のホットフラッシュには自律神経を整えるための漢方薬を2ヵ月ほど処方し、冷えやほてり、イライラ、寝つきなど、患者さんがつらいと感じている症状に対してアプローチしています。月経不順、月経困難症、不正出血、月経前症候群といった月経トラブルに関しても東洋医学の診察方法だと、子宮と卵巣とホルモン値だけを診るのではなく、体全体を診て病状を把握します。例えば、あざがある方に多い不正出血の場合、西洋医学だと出血を止めるための治療がメインになってきますが、東洋医学では「血管周囲の壁が薄いために血液を体内にとどめておくことができない」という考えから、血行を改善するという体全体の血液循環を診て治療を行います。不正出血の場合、目標は漢方薬を飲み始めて1~2週間での止血です。

原因不明の不調や不安にも、真摯に向き合う

アトピー性皮膚炎も診ているのですね。

松田元院長 ゲンクリニック3

アトピー性皮膚炎は、入浴後の熱感と発汗によるかゆみのため、眠りを妨げたり、掻爬で出血したりしますが、皮下にはむくみがあるのに表皮は乾燥するという厄介な疾患です。治療としては夜間の熱感と発汗を抑えるための漢方を処方します。夜間のかゆみを改善させるため、1週間ほど内服します。また表皮の乾燥をドライスキンといい、漢方とスキンケアで保湿を促します。顔のドライスキンを改善させる目的の軟膏も開発されています。ただ、厄介なのはストレスが強いため神経性の胃炎になったり、消化不良のため表皮が潤わず、ドライスキンになったりする事例が多い点です。食事で大事なのは小麦粉制限食を心がけ、甘いものを制限すること。東洋医学はメンタル面の不安や胃腸障害の改善にまで目を向け、皮膚疾患を全身医学的に捉えます。西洋医学と併用することでアトピー性皮膚炎には非常に有用な手段になると考えます。お困りの方は一度ご相談ください。

不安障害などにも漢方薬を活用しているのですね。

不安障害であるパニック障害、強迫性障害、社会不安障害、不眠症の治療は継続して行っています。通常パニック障害にはSSRIを。強迫性障害にはアミトリプチリンやクロミプラミンという三環形抗うつ剤とともに、抗不安薬を用いることが多いのですが、服用をためらわれる方も多いのではないでしょうか。もともと、不安とうつは関連性が強く、たっぷり睡眠を取り不安を軽減することでうつの改善が期待できます。不安もうつも胃腸虚弱の方に多く、胃腸が弱いと肝胆機能が低下しておびえが強まるとともに、「パニックや確認観念や確認行動の発作が始まるのでは」という予期不安も強くなると考えています。胃腸を丈夫にしながら肝胆機能を賦活しておびえから解放しようという考え方で治療に取り組みます。

診療の際に心がけていることを教えてください。

松田元院長 ゲンクリニック4

患者さんに状態をしっかり説明することです。実際に自分の動悸に気づいてもらったり、おなかの冷えや、皮膚や脈の状態を知ってもらったり、舌の色や形を見てもらったりしながら、お互いに確認し合い一方通行にならないような診察を心がけています。そうして、患者さんが感じていることも伝えてもらいながら、どんな治療がいいのかを決めています。時にははっきりと申し上げることもありますが、それはご自身の体と真剣に向き合っていただきたいから。人間の体には本来、治す力があるんですよね。そうした体と心の力を漢方薬などを使って、改善につなげるお手伝いがしたいですね。

長年の悩みを解消し、今後の生活をより良いものに

産婦人科を選んだきっかけ、漢方薬を取り入れたきっかけを教えてください。

松田元院長 ゲンクリニック5

高校生の時、生命の誕生の神秘を知り、産婦人科に興味を抱いたのがきっかけです。その後、産婦人科にはがんなどの命に関わる病気があり、生と死の両極が存在していると知り、興味を惹かれました。漢方薬を取り入れ始めたのは、西洋医学にはない面白みがあったからです。例えば便秘の人に耳がかゆいという症状がある場合、耳鼻と消化器ですので関係ないと思いますよね。しかし東洋医学の側面から調べてみると、便秘で耳がかゆいときに処方するものがあるんです。耳のかゆさと便秘がつながるなんてこれまでにない考えだったので面白く感じてのめり込みました。1999年に当院を開業した時には漢方を勉強して7年ほどでしたが、それから23年あまり飽きずに続けています。

先生の健康法をお聞かせください。

運動で汗をかいてストレス発散することです。週にトータル2、3キロをクロールで泳いでいます。外来では、患者さんにストレス緩和のために両足スクワットを指導し、私は傍らで片足スクワットを行っています。ほかに1日4回は呼吸法ですね。現代人は呼吸が浅いので丹田まで届く深い呼吸をすることで、心のざわつき、イライラ、不安、焦り、緊張などを鎮める必要があると考えています。漢方と呼吸法は相性が良く、正しい姿勢で深い呼吸をすることが大切です。不安の強い現代人は呼吸が浅くなっています。外来で指導していますが、呼吸を深くすることで睡眠の質の向上につながります。私も10分たたずに眠ることができます。

読者へメッセージをお願いします。

松田元院長 ゲンクリニック6

患者さんに「病名が知りたいのではなく治してほしい」と言われることがあります。不調や不安を抱えている方はぜひ相談してください。今後の生活を良くするためのお手伝いができるかもしれません。また、医院のホームページにて「ゲン通信」を更新していますので一度見てみて下さい。気持ちが落ち着けば、ちょっとしたことにも喜びを感じられるようになります。日本には「花鳥風月」という自然を楽しむ風流な遊びの伝統があります。心に余裕のない時は、月を見て「きれいだな」と思ったり、青い空を見て心地良さを感じたりできないかもしれません。生きることの喜びが感じられる、ゆとりのある生活を取り戻しましょう。

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