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馬渕茂樹 院長の独自取材記事

東京トータルライフクリニック

(台東区/浅草駅)

最終更新日:2019/08/28

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下町情緒にあふれ、海外からの観光客の姿も目立つ浅草駅より徒歩5分。浅草通り沿いのビル2階にある「東京トータルライフクリニック」。院内は待合室、診察室、検査室とたっぷりとしたスペースで、友人宅のリビングにお邪魔したような明るい雰囲気。訪れているのは主に近隣住民やサラリーマンで、子ども連れの母親から高齢者まで年齢層は幅広い。西洋医学と東洋医学を融合し、ライフスタイル改善や対話を重視した外来を実施し、予防・治療・在宅を一つにつなぐトータルな医療で患者の健康を支えているのが特徴のクリニック。時代のニーズに呼応し、現在の診療スタイルを確立した馬渕茂樹院長は「患者が主役」と、温かい視線であくまでも患者のサポーターとして見守る診療スタイルだ。そんな馬渕院長をはじめ4人の常勤医はいずれも日本抗加齢医学会専門医の資格を有し、4人の看護師も同学会の指導士の資格を取得している。予防医療を積極的に取り入れ、高い効果を上げている馬渕院長に、具体的な予防医療への取り組みや今後の展望などを伺った。
(取材日2013年1月10日)

東洋医学と西洋医学を融合。独自の視点で、予防・治療・在宅を連結し、患者のトータルケアに取り組む

開院の経緯を教えてください。

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もともとは1990年に本郷で一般診療のクリニックとしてスタートしました。2000年から在宅医療を始め、文京区、台東区、墨田区とニーズが広がり、ちょうど真ん中である浅草に雷門分院を開院しました。その後、2010年にこちらに本院を移しました。現在、本郷のクリニックは在宅専門のクリニックとして診療しております。予防医療に力を入れるようになったのは、2006年に患者さんから抗加齢医学を紹介されたのがきっかけです。それまで自分が考えていた予防はワクチンのイメージでしたが、学会に参加し臨床的な発表を聞き、さまざまな疾患に対しての有効性を実感しました。以来、予防・治療・在宅を連結した診療スタイルで、患者さんの健康をトータルにサポートしています。年を重ねていくことに抵抗にする「アンチエイジング」ではなく、健康な長寿をめざす「ウエルエイジング」という考え方を提案しています。

先生は現代医学をベースにしながら東洋医学を加え、食養生という治療もしておられるとお伺いしましたが、どのような背景があったのですか?

最初は麻酔科で専門医をめざし、次に研修医として内科に移り、研修後、内科の専門を選ぶ途中でかなり悩みました。一度は循環器科を選択し、赴任先の病院も決まっていたんですが、自分に問い直してみて、「自分は心臓だけを診る医者でなく、人間をトータルに診る医者になりたい」という強い願いがあることに気づきました。その頃、薬害で苦しむ患者さんの主治医を務めたことで、東洋医学に興味を持ちました。実践してみると、現代医学では治らなかった病気にも改善が見られるなど非常に可能性を感じました。東洋医学に加え、食養生に目覚めたのは、アトピー性皮膚炎の姉弟を診察したことがきっかけです。 二人は同じ症状で、同じ漢方薬を処方したにもかかわらず、お姉さんは良くなり、弟さんは全く良くならないという現象が起こったんです。お母さんから「姉は先生が話した食事の注意を守っていたけれど、弟は相変わらずジャンクフードを食べていました」と聞かされ、改めて食事の大切さを痛感し、患者さんの食事はもちろんのこと、ライフスタイルの改善にも積極的に取り組むようになりました。

医師をめざしたきっかけは何だったのですか?

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小さい頃から母に「医者か弁護士になりなさい」と言われて育ったことが大きいです。でもいざ医学部に合格すると五月病になってしまいました。引かれたレールに乗っただけなのではないかと長らく葛藤する中で、「医者になってなすべきことが自分にはある」と直感する体験があり、それが本当の動機を与えてくれました。もう一つの大きな転機は、医師になって4年目に、自分自身が網膜剥離になった体験です。左目の手術を終えて退院する前日に、右目の剥離も判明したのは衝撃でした。なんで自分はこの病気になったのかと深く考え、自分の生き方そのものが病気の原因だったのだと気がついたんです。人に勝つため、より優秀になろうと必死になって、目を酷使していたことが病気を生んだのだと……。自分は本当に人と競争したいのか? 医者になってやりたかったことは患者さんに喜んでもらうことだったはずだと気付き、自分のめざす医療の原点が見えました。どういうことかというと、それ以前は体が痛いのが病気の苦しみだと思い込んでいましたが、いざ自分が病気になってみると、失明して医師のライセンスをなくし、社会的な自分の存在が抹殺されてしまう恐怖心が体の痛み以上に強かったのです。しかし、真正面から病気を受け入れ、たとえ失明しても、患者さんを癒したい願いはなくならないと言うことに気づいたとき、私は元気を取り戻しました。この体験から、病気が内包しているメッセージを読み取ることで、病気は自分の生き方を変えて、人生をプラスにしてゆくきっかけにもなると確信しました。患者さんが自分の病気に主導権を持ち、病気のメッセージを受けとめて、治したい、健康になりたいという気持ちを持つことで、自然治癒力は高まり、ライフスタイルを改善するパワーも湧くはず。それを患者さんに伝え、患者さんと協力して働くことこそが医師のミッションだと思うようになったのです。

具体的な生活改善指導や効果の可視化で、患者のモチベーションを高める

特にどういった診療を重視されているのでしょう?

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当院では、病気の治療はもちろんのこと、在宅医療も含めて「予測・予防」に重きを置いています。通常の診断は症状が起きてから、これはどういう病気なのかを考えますが、それは「過去と現在」を診ることですよね。私たちは「未来」を予測し、先手を打つことで、患者さんをより重篤な状態に陥らせないことにより、健康になっていただくことに重きを置いています。例えば、血管の老化をチェックすることを重視しています。早期に問題を発見して10年後のリスクを予測し予防することで、患者さんが心筋梗塞や脳梗塞で突然死するといった不幸な顛末を回避できるのです。なぜ動脈硬化が進んでいるか、一人ひとりの原因を探り、改善に向けて食生活やライフスタイルの改善を具体的にアドバイスしていきます。糖が高い場合は夜間だけの糖質制限や食べる順番を変えるだけでも血糖値をコントロールし動脈硬化の進行をある程度抑えていけるのです。

こちらの医院、独自の治療法があれば、教えてください。

東洋医学の知識を生かして、プラセンタを体のツボに少量、注射するプラセンタ治療を積極的に行っています。例えば背骨の脇にあるツボにプラセンタを打つことで、喘息の発作や不整脈を抑える効果があることなどがわかっています。機序はまだ明確ではありませんが、その他にも、頭部のツボ20ヵ所に週1回プラセンタを打ち、2、3ヵ月ごとに認知症のレベルを検査したところスコアの改善がありました。このデータは日本抗加齢医学会でも発表しています。今後もこの治療法の可能性を模索していければと思っています。

治療で特に心がけていることはありますか?

僕はあくまで患者さんのサポーター。どんな治療やライフスタイルの改善も患者さんが病気を治したい、健康で長生きしたいという意志を持ち、ご自身が主治医になって健康長寿をめざすことが欠かせません。その「やる気スイッチ」を押すべく、臨床面でもさまざまな工夫をしています。例えば、「老化は足腰から始まる」という通説がありますが、「ロコモティブシンドローム」という寝たきりの前駆症状とされる運動器障害があるのをご存知でしょうか?長年通ってくださっている患者さんが次々とロコモティブシンドロームになり、このまま何もしないで身体能力が弱っていくと寝たきりになってしまうと危機感を感じました。なんとかしなくてはと、「ロコチェック」を導入し、同時に「ロコトレ(トレーニング)」の指導を開始しました。結果を独自に数値化し、診療のたびに患者さんにお見せすることで、最初は諦めてしまっていた患者さんも一生懸命になって治療に向き合い、患者さんの症状や意欲の改善に繋がりました。このように運動やライフスタイルのアドバイスなど、患者さんのサポーターとしての役割を果たすことに努めています。

こちらでは在宅医療にも力を入れていますが、診療の際に大切にされていることはありますか?

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今後、一層超高齢化が進む中、在宅医療のニーズはさらに高まると考え、在宅医療も一つの柱として大切にしております。熱心な3人の先生方にお任せしていますが、当院の在宅では、対話を大切にし、患者さんはもちろんのこと、ご家族の方々との絆を深めながら、栄養療法や予防医学を積極的に取り入れています。自然治癒力を引き出すことで、寝たきりだった方が元気になって立てるようになるなど、さまざまな効果が出ています。

患者が主人公。健康で長生きしたい意志を医師としてサポートし続ける

医師としてやりがいを感じる時は?

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「この患者さんは、なぜこの病気になったのか」のカラクリが診てとれて、患者さんにそこから脱出してもらえた時ですね。これもほんの一例ですが、バセドウ病の女性の患者さんが、ストレスが強くかかると恐怖からパニックになって、症状を悪化させることを繰り返していました。そのプロセスを患者さんと一緒に意識化することで繰り返しが止まり、病状が軽くなりました。突発性難聴も「聞きたくない」という強い思いが引き金になって起こるケースを何度も診てきました。リウマチも内側で葛藤を溜め込んで発症するケースが非常に多いと感じます。物理的な環境、人間関係、ライフスタイル、メンタル、様々な要因で病気が生まれています。細かくヒアリングし、全体的に病気をとらえた上で、その方が改善行動をとれるように適切なアドバイスをするのが大切だと思っています。少しでも体に異変を感じたときや、痛みを感じたときは、心やライフスタイルに何か問題があるサインです。それを受け入れ、立ち止まり、生活や心身の中にある問題を点検して取り除いていくことが治療の本質だと思います。そうしなければどんな治療をしても、最終的には再発してしまうと思います。患者さんとの信頼関係を育みながら、患者さんがご自身の問題を意識できるように、自然な形でアドバイスを続けていき、その結果、症状が改善していったとき、非常にやりがいを感じます。

先生ご自身は健康維持のために何かされていますか?

1日8000歩を目標に歩いています。通勤も徒歩ですが、歩数計を見て今日は足りないと思うと「その場ウォーキング(足踏み)」をします。10分で1200歩は稼げます(笑)。後は、柔軟体操。お風呂の中と寝る前に布団の上で、首、肩、腰を緩めます。背骨を伸ばすことも非常に重要で、自分で考案したバックストレッチ法を患者さんにもやっていただいております。食事にも気をつかい、毎日自分でお弁当を妻の分も含めて作り、魚、豆、野菜、ヨーグルトは積極的に食べていますね。また、海外の最新医療情報はマメにチェックし、確かなエビデンスだと思えば自分で試したり、ブログ(当院のホームページに入口があります)で紹介したり、スタッフに共有したりもしていますよ。

最後に今後の展望を教えてください。

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僕は普通の町医者なので、できることは限られていますが、町医者だからこそやるべきことがあると思っています。病気の予防のフロントは大学病院ではなく、普段の生活に触れている町医者が担うべき仕事だと実感しています。そして当院のように予防・治療・在宅を備えたクリニックが増えていけば、健康でお元気な高齢者が増えて、国家レベルの財政破綻を防ぐことにも多少なりとも役立つと思います。現状から未来を予測し予防していくことで、大きなアクシデントを防ぎ、皆さんが健やかに年齢を重ねていけることを、患者さんにも伝え続けたいと思います。今後は、食事と運動の指導に加え、サプリメントも上手に取り入れたり、入浴の方法や副交感神経を優位にできるメソッドも提案しながら、治療をして、皆さんのトータルな健康づくりに貢献してゆくつもりです。

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